300店超のうなぎ専門店をFC展開
【Q】FC展開のスピードが驚異的ですね。
代表取締役社長 山本昌弘氏(以下、山本社長):FC事業を立ち上げるきっかけは、うなぎの調理機器を開発した会社の社長と知り合ったことです。専用の調理機器のおかげで「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」といわれる職人がいなくても調理できるオペレーションを構築できました。おかげで安くておいしいうなぎを提供でき、FC加盟店を伸ばす理由となったのです。
出店についても2等3等立地への出店戦略などと言われますが、あえてそうしている訳ではありません。1等地の物件を取ろうとすれば、物件情報を早めに入手する必要がありますし、情報があっても良い物件ほど2、3社が競合するため費用も時間もかかってしまいます。
鰻の成瀬は競争相手の少ない立地で、手早く出店していった方が次に繋がると考えています。1等立地を避けるという意味ではなく、そもそもフィールドが違うのです。
【Q】FC加盟店のサポート体制を教えてください。
山本社長:FC店舗の出店に際して、物件は出展希望の方に見つけていただいています。それを弊社のスーパーバイザーが検討させていただき、オープンサポートのメンバーを交えてご支援しています。現在、4名の開業サポートメンバーが全国を飛び回っているほか、開業後はFC加盟店さんからの相談窓口を2名のメンバーで対応しています。
FCでの多店舗展開で累積する管理本部の課題
【Q】本部機能も少人数のようですね。
山本社長:当社のバックオフィス業務は会社設立時から経理の石井ひとりに任せていました。ただ、周囲のメンバーから「そろそろ石井が倒れるぞ」という声を聞くようになったんです。
バックオフィス統括部 部長 石井亜理氏(以下、石井部長):仕入管理をIT化する前は70店舗以上の発注や経理処理を1人で対応していたので、いつも忙しくしていたと思います。ただ、私も何が問題だったのか未だに把握できていません(笑)。各店舗の仕入管理については、うなぎは専門商社のフォーマットで発注していますが、それ以外の漬物、お吸い物、調味料、調理手袋といった備品類などは、各店から本部に発注が入ります。その内容を本部が集約して業者に発注します。
そのやりとりのほとんどがFAXでした。そのためFAXが届いた・届いてない、字が読めない、注文した数と違うといったやりとりが付いてまわっていたのです。
店舗の方でも紙詰まりを起こして送れなかったとか、携帯カメラで撮った発注書の画像をメールで送ってくるケースもありました。また、本部でも複合機のメモリがいっぱいになり、コンビニのFAXを使うこともしばしばでした。コンビニではFAX送信だけで1週間に4~5000円かかっていました。
より深刻だったのが、各店が支払う仕入品の決済方法が売掛でなく現金だったことです。店舗からの発注を本部が受け、本部で各業者に発注していましたが、仕入品は業者から各店舗に直接納品されます。その際、小口現金による着払いで決済していました。このため各店舗は常に現金を用意しておく必要があったのです。
一方で、本部からの請求書発行の問題もあります。本部が仕入れたものについては、月末に本部から各店舗に請求します。金額を集計して請求書を一斉に送付していましたが、月に200件以上の請求書を送っていました。いま思えば、経理業務を相当圧迫していました。
店舗拡大してもIT化で管理本部はスモールなまま
【Q】仕入管理のIT化はどのように進めたのでしょう?
山本社長:インフォマートの営業担当者が来ていただいたのがきっかけで、2023年12月に『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入しました。事務処理が楽になるならと即座に決めました。効果は相当大きかったようです。
石井部長:いまとなっては有り難いとしか言いようがありません。まずFAXから解放されました。コンビニ通いも発注漏れもゼロです。店舗での仕入品の支払も現金でなく売掛になりました。日々の小口現金を用意しなくて済むようになったので、加盟店から大いに歓迎されました。
受発注システムの導入当初は操作方法が分からないとか、データの出し方が分からないなど、いくつかの問題がありました。しかし、そのほとんどが説明書を読んでいないだけで、すぐに解決しました。
何より、カスタマーセンターの対応がとても親切でした。すぐに繋がるし、ちょっとしたことにも丁寧に回答していただけます。加盟店から問い合わせがあっても、こちらが対応できないときは「カスタマーセンターがとても親切ですので、ぜひそちらに」と誘導しています。
請求書業務も大幅に短縮しました。『BtoBプラットフォーム受発注』から取引内容のCSVデータをダウンロードして、請求書を発行する会計ソフトに取り込めば完了です。
FAXから開放されたことで業務が軽減され、正確さが増しました。仕事の半分が自動化されたような感覚で、仕入以外の経理業務に専念できています。今後、ますます出店が続いても、通常業務が圧迫されることはないと思います。店舗数は多くとも経理1名で回していけるというのは、理想的な姿だと思います。
【Q】300店舗を達成されました。今後はどのように展望されますか?
山本社長:メイン食材のうなぎは外国産なので、為替が上がれば原価も上がります。このため、為替変動がある度に痛手を受けていました。ならば、海外に出店して売上をドル建てし、うなぎの買い付けもドル建てにすれば、為替変動に影響されることなくうなぎを調達できます。これを国内のFC加盟店さんに卸せば、FCオーナーさんの負担も抑えられるでしょう。
FC本部は、FC加盟店の利益向上のために動くものです。そういう狙いもあり、今後海外展開を進めていきます。2024年10月には香港2号店をオープンしました。台湾はいま現地法人設立のために動いており、韓国でも出店がほぼ決まっています。まずはアジアからスタートして、将来はオセアニア、ヨーロッパ、アメリカへも足場を広げていきたいです。
フランチャイズビジネスインキュベーション株式会社
所在地:滋賀県高島市今津町桜町2-1-3
設立:2020年9月2日
代表者:代表取締役社長 山本昌弘
公式ホームページ:https://fbi-consulting.jp/