食品表示法とは?
食品表示法とは、消費者が食品の内容を正しく理解して、適正な商品を選べるように定めた食の安全性を守るための法律で、2013年に公布された。生鮮食品や加工食品を問わず、食品を販売するときは、食品表示法の基準に基づいて原材料やアレルギー物質などを表示しなければならない。
また、法令で義務付けられた表示のほかに任意表示もあり、容器包装や加工の有無などの条件で表示すべき情報が変わる。提供する食品に合わせたラベル表示が必要だ。
食品表示の義務は製造・販売の場所で異なる
食品表示法では、消費者に販売されるすべての食品に対して食品表示が義務づけられているが、例外もある。
飲食店が客の注文に応じて弁当、そうざいをその場で容器に詰めて対面販売する(テイクアウト、デリバリーを含む)場合や、ランチタイムなどの繁忙時に備えてあらかじめ販売見込み量を容器に入れて対面販売する場合、食品表示は必要ない。これは製造者が消費者に直接販売することとなり、品質について説明できると考えられているためだ。
また、製造所と販売所が同じ施設や敷地(スーパーマーケットのバックヤード、菓子の製造小売、パンの製造小売りなど)で弁当・そうざいを調理し、容器包装したものを自ら販売する場合(インストア加工という)は表示義務があるものの、原材料名、内容量、原料原産地名など一部の項目は表示する必要はない。
ただし、セントラルキッチン(自社工場)など別の場所で製造された弁当・そうざいを別の場所にある店舗に陳列して販売する場合や、インターネットなどで通信販売する場合は、容器包装に食品表示事項を表示する義務がある。
参考:食品表示基準Q&A平成27年3月(最終改定令和3年3月17日消食表第115号)(消費者庁)
参考:早わかり食品表示ガイド(令和2年11月版・事業者向け)(消費者庁)
消費者庁が公開している食品表示法の基準に基づくと、次の表のようになる。
食品表示項目の表示義務
食品表示の項目 | 他所の施設で調理したものを販売 | インストア加工(店内調理)したものを同一施設で販売 | 客の注文に応じて容器に詰めて販売(テイクアウト・デリバリー) |
---|---|---|---|
名称 | 表示義務 | 表示義務 | ─ (表示義務なし) 繁忙時に備えてあらかじめ販売見込み量を容器に入れて対面販売する場合も表示義務はない。 |
保存の方法 | 表示義務 | 表示義務 | |
消費期限又は賞味期限 | 表示義務 | 表示義務 | |
原材料名 | 表示義務 | ─ | |
添加物 | 表示義務 | 表示義務 | |
内容量又は固形量及び内容総量 | 表示義務 | ─ | |
栄養成分の量及び熱量 | 表示義務 | ─ | |
食品関連事業者の氏名又は名称及び住所 | 表示義務 | ─ | |
製造所又は加工所の所在地及び 製造者又は加工者の氏名又は名称等 | 表示義務 | 表示義務 | |
アレルゲン (特定原材料※の成分を含む食品) | 表示義務 | 表示義務 | |
原料原産地名 (国内で製造した加工食品) | 表示義務 | ─ | |
原産国名(輸入品) | 表示義務 | ─ | |
遺伝子組換え食品に関する事項 (含有する食品) | 表示義務 | 表示義務 | |
指定成分等含有食品に関する事項 (含有する食品) | 表示義務 | 表示義務 | |
L-フェニルアラニン化合物を含む旨 (アスパルテームを含む食品) | 表示義務 | 表示義務 |
※特定原材料とは、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の7種
この他、都道府県が条例で定める食品の品質表示等(例)東京都消費生活条例に基づく食品の品質表示
弁当の食品表示の例
食品表示ラベルの作り方
弁当・そうざいを製造する場所、販売する場所、または取り扱う食材に応じて、食品のラベルには原材料名やアレルギー、消費期限、保存方法などを表示しなければならない。
具体的に食品表示のラベルを作る手順は、3段階に分かれる。
1.情報収集
食品に含まれる食物アレルギー、添加物などを確認する。仕入れ先から食品の情報が記録された「商品規格書」を取り寄せるのがいいだろう。
2.ラベルデータ作成
食品表示のルールに従って、ラベルデータを作成する。消費者庁のガイドライン「早わかり食品表示ガイド(令和2年11月版・事業者向け)」を確認しよう。
3.ラベル印刷
食品表示のラベル印刷は、専用のラベルプリンターを利用するのが最も簡単な方法だ。
ラベルプリンターには熱転写式や感熱式、ラミネート式などさまざまな印刷方式の機種があり、食品表示では感熱式のラベルプリンターがよく使われている。特に弁当や惣菜など、消費期限が短い商品向きで、導入コストも比較的安価なため、飲食店のテイクアウトには最適と言えるだろう。
なお、商品規格書の情報収集からラベル作成・印刷までを一元管理できるサービスもあるので、検討するのもいいだろう。