栄養成分表示の計算方法
食品表示法に基づく食品表示基準では、消費者へ販売される食品に栄養成分表示が義務付けられている。必ず、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量に換算したもの)の5つを表示する必要がある。
表示する値は分析する方法とデータベースから計算する方法のふたつあるが、一般的な飲食店であれば計算する場合でいいだろう。データベースの例としては、文部科学省が公開している日本食品標準成分表のほか、事業者団体が作成したデータベース、加工用原料製造者等による原料の栄養成分表示値等がある。
冷凍・冷蔵でテイクアウト販売する場合は、許認可が必要になるケースも
飲食店は「飲食店営業許可証」を取得しているので、その範囲内でのテイクアウトは可能とされている。だが、場合によっては別の許認可が必要になる場合がある。たとえば、とんかつ定食屋がとんかつ弁当を提供するのは何ら問題ないが、調理前の冷凍とんかつをお持ち帰り用として販売するには、食肉販売業の許可が求められる。提供するメニューによっては複数の許可が必要になるケースもあるため、注意しなければならない。
以下のような食品を販売する場合、それぞれに該当する許可を所轄の保健所に別途申請することが定められている。
許認可が必要なものの例
乳飲料 | 乳製品製造業・乳類販売業 |
アイスクリーム | アイスクリーム類製造業 |
食肉(生) | 食肉販売業 |
食肉(加工品) | 食肉製品製造業 |
鮮魚介類 | 魚介類販売業 |
弁当・惣菜 | 食料品等販売業 |
お菓子・パン | 菓子製造業 |
生めん | めん類製造業 |
冷凍品 | 冷凍冷蔵業 |
一般的に製造業の許可は高度な設備が必要で、飲食店が取得するのはかなり難しいが、販売業の許可であれば比較的とりやすい。上記以外にも別途許可申請が必要なケースはあるので、テイクアウトやデリバリーを始める際は、必ず事前に、管轄の保健所に確認しておくべきだ。
食品表示に迷ったら、保健所に相談しよう
もし、食品表示に迷ったら、独自で判断せずに管轄の保健所に問い合わせて確実な回答を求めてほしい。食品表示は、食物アレルギーを持つ客にとっては命に関わる重要な情報だ。消費者の安全や企業の信頼のためにも、しっかりと確認してから記載しなければならない。
消費者の食の安心・安全のためにも食品表示をしよう
飲食店が食品販売を始めるには、食品表示法に基づいた適切なラベル表示と、取り扱う商品に応じた各種の許可申請が必要になる場合がある。食品表示は事業者の義務であり、消費者の安全と健康増進、食にかかわる企業の信頼性を確保するためには知らなかったでは済まされない。今あらためて、適切に対応しておきたい。
食の安全性に対するニーズにも合わせて、食品表示も適切に行っていこう。
【参照文献】
■平成二十七年内閣府令第十号 食品表示基準(e-Gov法令検索)
■食品表示法(衆議院)
■食品表示法等(法令及び一元化情報)(消費者庁)
■食品表示基準Q&A平成27年3月(最終改定令和3年3月17日消食表第115号)(消費者庁)
■知っておきたい食品の表示(令和2年11月版・消費者向け)(消費者庁)
■食品表示法の概要(平成25年6月)(消費者庁)
■初めて栄養成分表示をする方へ 食品表示基準における栄養成分表示(消費者庁)
■食品衛生の窓加工食品「一般用加工食品の概要」(東京都福祉保健局)
■食品衛生の窓加工食品「営業許可種類一覧」(東京都福祉保健局)
■【よくある質問】飲食店で持ち帰り(テイクアウト)・出前(デリバリー)を行うには(渋谷区)
※最新の情報は食品表示法等(法令及び一元化情報)(消費者庁)をご覧ください。