付帯意見
この他に、答申書では消費者委員会の問題意識として、いくつかの付帯意見が追記されています。以下にその概要を記します。
1. 義務表示の増加に伴い、製品上に表示する文字がかなり小さくなっているため、消費者が安全性に係わる表示を見落としてしまいかねない。現在の食品表示は製品上への表示が対象だが、インターネットでの表示を表示制度の枠組みに組み入れて活用する方策検討も検討すべきである。 2. 加工食品の原料原産地表示制度は、国際的にはほとんど類例のない制度となる。このため、海外との商取引に影響がでないように、各国からの質問等があった場合には、丁寧に制度に関する説明を実施することを望む。 3. 経過措置満了の際に製造過程にあれば表示義務を課されないといった誤った解釈がされないよう、基準案の修文、もしくはQ&A等での丁寧な解説を望む。 |
経過措置期間が2年延長。その間に事業者がすべきこと
答申書に記された施行日・経過措置期間の内容を引用します。
(2)施行期日、経過措置、今般の基準改正による原料原産地表示の対象とならない製品の範囲 |
経過措置期間はパブリックコメント案では平成32(2020)年3月31日までとなっていましたので、2年延長された形になります。この背景には、寄せられた意見に「経過措置期間として、あと1~2年ほしい。原料原産地対象商品が多く、調査・システム対応・切替えなどを段階的に交換する必要がある」といった実行可能性に関する懸念の声が多かったことによります。このため、消費者委員会食品表示部会では、新制度への移行に漏れをなくすために期間の見直しに至っています。
答申書のまとめと今後の動向
全体的にみたときの大きな変更点は、経過措置期間が2年延長された点であり、その他の詳細な情報(例外表示の判断基準や根拠資料の保管ルールなど)については、2017年9月1日公開のQ&Aにて確認することになります。これで一連の検討会が終わり、原料原産地の改正案は正式に施行されました。
制度が改正されれば、事業者は消費者と取引先事業者の双方から、主な原材料(重量の多いもの、使用を強調されているもの等)の原料原産地に関する問い合わせが増えることが予測できます。そうした問い合わせがあった際に、いつまで経っても回答できない、もしくは分からないといった状況は避けなければなりません。
正確に早く回答できる体制を整えるには、とりわけ「根拠資料の保管」がポイントになります。まずは手元の規格書などの管理体制の見直しを早めに進めていくことが大切となるでしょう。
参照
消費者委員会食品表示部会
答申書
新たな原料原産地表示制度に関するQ&A
※最新の情報は新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報(消費者庁)をご覧ください。