<生鮮食品と加工食品の分類表>
具体例 | 加工食品 | 生鮮食品 | 補足説明 | |
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農産物 | 単品の野菜を単に切断したもの(カット野菜) | ○ | 『食品表示基準』別表第二(生鮮食品一覧)の1(5)において、野菜は「収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断したもの及び単に凍結させたものを含む。」と規定されています。 | |
複数の野菜を切断した上で混ぜ合わせたもの(サラダミックス、炒め物ミックス) | ○ | 複数の野菜を混ぜ合わせたものは、それ自身が一つの製品(調理された食品)であることから加工食品となります。 | ||
オゾン水、次亜塩素酸ソーダ水による殺菌洗浄したもの | ○ | オゾン水、次亜塩素酸ソーダ水による殺菌洗浄は、一定の作為は加えることが、加工(新しい属性の付加)には至らないことのため、生鮮食品となります。 | ||
ブランチングした上で冷凍した野菜 | ○ | ブランチング処理したものは、加工食品となります。 | ||
畜産物 | 合挽肉 | ○ | 複数の種類の家畜、家きん等の食肉を混ぜ合わせたものは、それ自体が一つの調理された食品となりますので、加工食品となります。 | |
複数の部位の食肉を切断した上で調味せずに一つのパックに包装したもの | ○ | 『食品表示基準』別表第二(生鮮食品一覧)の2(1)において、食肉は、「単に切断、薄切り等したもの並びに単に冷蔵及び凍結させたものを含む。」と規定されています。また、同一の種類の食肉を混合したものは生鮮食品となります。 | ||
複数の部位の食肉を切断した上で調味液につけて一つのパックに包装したもの | ○ | 単に切断、薄切り等したものは生鮮食品としていますが、調味した場合は本質的に新たなものを作り出すことになり、加工食品となります。 | ||
複数の種類の食肉と野菜を切断した上で、調味せずに一つのパックに盛り合わせたもの | ○ | 複数の種類の食肉と野菜を組み合わせたものは、それ自体が一つの調理された食品となりますので、加工食品となります。 | ||
スパイスをふりかけた食肉 | ○ | 調味した場合は加工食品となります。 | ||
たたき肉 | ○ | 表面をあぶったものは加工食品となります。 | ||
水産物 | マグロ単品の刺身 | ○ | 『食品表示基準』別表第二(生鮮食品一覧)の3において、水産物は、「ラウンド、セミドレス、ドレス、フィレー、切り身、刺身(盛り合わせたものを除く。)、むき身、単に凍結させたもの及び解凍したもの並びに生きたものを含む。」と規定されています。 | |
マグロ単品の刺身にツマ・大葉が添えられているもの | ○ | マグロ単品の刺身にツマ、大葉等が添えられている場合、全体としてこれが一つの生鮮食品であり、主たる商品であるマグロについてのみ名称及び原産地の表示が必要です。その他の表示は不要です。 | ||
複数の種類の刺身を盛り合わせたもの | ○ | 複数の種類の刺身の盛り合わせは加工食品となります。 |
▼表示義務
「加工食品」と「生鮮食品」どちらに区分されるかによって表示義務の項目が変わってきます。
加工食品に区分されたものは、アレルゲンや製造所所在地等が必要となり、栄養表示も原則として義務付けられます。しかし、栄養表示については省略規定があり、「極めて短い期間で原材料が変更される食品」として、「複数の部位を混合しているために都度原材料が変わるもの(例:合挽肉、切落とし肉等の切り身を使用した食肉加工品など)」は表示が省略できます。
▼加工と製造
加工食品は、加工度によって「製造」と「加工」に分類されます。どちらかによって、「製造者」「加工者」の規定が変わります。一般的には、
①「製造」とは、その原料として使用したものとは本質的に異なる新たな物を作り出すこと
②「加工」とは、あるものを材料としてその本質は保持させつつ、新しい属性を付加することとあります。
また、加工食品の具体的事例が総則15に示されており、ここで「加工」と、新しい属性を付加する行為をいい、加工行為を行う前後で比較して、本質的な変更を施さない行為、が該当するとして、行為の具体的を示しています。
【総則15】について
新基準では、「小分け」が加工に分類されているのが大きな特徴です。たとえばウナギの蒲焼きをバルクで仕入れて小分けする場合、食品衛生法では製造とされていました。これまでは表示区分が曖昧でしたが、今後は「加工」に統一されます。どのような行為が製造、加工に当たるのかは上記のQ&Aの具体例の規定に沿って判断するものですが、単純に分類できない事例も多く、個別具体で判断される場合も出てきます。