アルコールチェックの対象事業者と罰則
飲酒検知の強化は、2022年4月1日から一部施行されていて、ドライバーは運転前後に第三者による顔色や呼気の確認が義務付けられている。そして2023年12月からはアルコール検知器を導入することが課せられ、酒気帯びのチェックをした際は、用紙などに記録し1年間保管する必要がある。
また、自宅から取引先へ直行直帰するなど対面での酒気帯び確認が難しい場合は、カメラなどでドライバーの顔色や声の調子を第三者が確認するとともに、アルコール検知器でも測定しなければならない。
施行日 | 義務付けられる業務 |
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2022年4月1日から | ■運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。 ■酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること |
2023年12月1日から | ■運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うこと。 ■アルコール検知器を常時有効に保持すること。 |
乗車定員10人以下の自動車を5台以上、または定員11人以上の自動車を1台以上使用している事業所では、社員の中から安全運転管理者を選び、公安委員会へ届け出することも求められている。また20台以上の自動車を使用している事業所では、20台ごとに1人、副安全運転管理者の配置も義務付けられている。なお自動二輪車(原動機付自転車を除く)は1台を0.5台として計算する。
安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなかった場合、5万円以下の罰金が課せられる。詳しい情報は、警視庁のHPを確認してほしい。
参照:警視庁「安全運転管理者等法定講習」
酒気帯びチェック項目は7つ
酒気帯びの確認内容を記録する際に必要となる事項は下記の通りである。
・確認者名
・運転者名
・自動車登録番号、または識別できる記号や番号など
・確認日時
・確認方法
(アルコール検知器の使用の有無、対面ではない場合、どのように検査したのか)
・酒気帯びの有無
・指示事項
飲酒運転での行政処分については検出されたアルコール濃度により、罰則が異なる。呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上の場合、免許取消で欠格期間は2年間だ。0.15mg/l以上0.25mg/l未満のアルコール濃度が検出された場合は、免許停止。免許停止期間は90日間となる。
酒気帯び運転の基準値を超える、呼気1L当たりのアルコール量の目安として、0.1~0.2mgに相当するのはビール中びん1本、日本酒1合、焼酎0.6合だ。無論、微量なアルコール量であったとしても、飲酒は通常より判断能力が鈍る原因となるため、運転する際はたとえ少量だとしても絶対に飲酒してはいけない。
基礎点数 | 罰則 | |
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◼️酒酔い運転 (正常な運転ができない状態) | 35点 | 免許取消し 欠格期間3年 |
◼️酒気帯び運転 呼気中アルコール濃度 0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満 | 13点 | 免許停止 期間90日 (※1) |
◼️酒気帯び運転 呼気中アルコール濃度 0.25mg/l以上 | 25点 | 免許取消し 欠格期間2年 (※1、2) |
(※1) 前歴や、その他の累積点数がない場合
(※2)「欠格期間」とは運転免許が取り消された場合、運転免許を受けることができない期間を指す
飲酒運転は同乗者や、酒を提供した飲食店にも罰則がある
酒気帯び運転者を事業者から出してしまった場合、その事業者以外にも、同乗者や、車両を提供した人、または酒類を提供した飲食店などに対しても罰則が課せられることも覚えておこう。
対象者 | 罰則 |
---|---|
・ドライバー | ・酒酔い運転をした場合 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・酒気帯び運転をした場合 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
・車を提供した人 | ・ドライバーが酒酔い運転をした場合 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・ドライバー酒気帯び運転をした場合 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
・酒類を提供した人 ・同乗した人 | ・ドライバーが酒酔い運転をした場合 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 ・ドライバーが酒気帯び運転をした場合 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
参考:警察庁「みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」」
アルコール検知の記録システムも提供されている
アルコール検知器を使った記録について、どのように管理するべきか頭を悩ませている事業者もいるのではないだろうか。最近では、業務管理サービスを提供するパイオニア株式会社がビークルアシストという酒気帯び有無の確認結果の記録・保存を行う管理システムを開発した。これにより日報画面で各ドライバーの記録を確認・編集できるようになったという。使用する事業車両が多い場合は、こうしたシステムを導入することで、酒気帯び確認のし忘れを防ぎ、管理者側はよりスムーズにチェックしやすくなるだろう。
職場の管理体制を整えてアルコールチェックの強化を図ろう
今回の法改正の発端となった事件の被告は、公判で「飲酒運転は悪いことだという認識がありつつも、飲酒を止められなかった」と供述した。
飲酒運転の検知が強化されたのを機に、日々の業務の中で管理体制の強化を図るとともに、従業員の飲酒実態の把握を徹底することが各事業者で進められている。飲酒運転をした場合、どのような処罰が下されるのかの指導と、勤務時間前に飲酒したら必ず申し出させることを徹底し、社内での協力体制を整えることが飲酒運転防止への第一歩となるかもしれない。
(参考)
◼️ 「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令等の施行に伴う安全運転管理者の業務の拡充について【通達】(PDF)
◼️ 飲酒運転防止 -公益社団法人アルコール健康医学協会
◼️ 飲酒運転防止対策マニュアル(PDF)