フード業界に必要なDX戦略~食品卸・外食のバックオフィス編

最新ニュース2022.04.04

フード業界に必要なDX戦略~食品卸・外食のバックオフィス編

2022.04.04

フード業界に必要なDX戦略~食品卸・外食のバックオフィス編

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フード業界では、消費者の生活スタイルの変化や業界の人手不足、コロナ禍への対応、働き方改革、国内人口の減少や高齢化、消費者の嗜好の多様化、食の安心・安全、市場外仕入れの増加など、多種多様な変化が生じ、事業者は適切な対応が求められています。

このような時代だからこそ、抜本的な経営の変革が必要になるでしょう。フード業界のDXを支援する株式会社インフォマートの執行役員 杉山大介が、自社サービスをもとにした方法を解説します。

関連記事:フード業界に必要なDX戦略~電子帳簿保存法・インボイス対応編

目次

フード業界が抱えている3つの課題へのアプローチ

株式会社インフォマート
執行役員 杉山 大介

インフォマートは飲食店と食品卸など、企業間で行われている受発注のデジタル化を命題に取り組んでいます。今後はフード業界が抱える3つの課題に注力したいと考えています。

1つ目は、「受注側である卸売企業のデジタル化」です。これは『TANOMU』というソリューションによる解決を目指します。

2つ目は「データを活用して業務変革を目指すこと」であり、AIを搭載する自動発注クラウドサービス『HANZO 自動発注』による外食企業の支援です。

3つ目は「飲食店の店舗運営の効率化」です。こちらは開発中の段階ですが、飲食店に店舗運営プラットフォームを提供することにより課題解決をはかります。

卸売業者を支援する受発注プラットフォーム「TANOMU」

TANOMU』は卸売業者の受注及び販促を支援するモバイルファーストの新しいソリューションです。今後、卸売事業者は、国内消費の減少や高くても品質のよい食品ニーズの高まりを受けて、生き残りをかけた経営革新が求められると考えられます。しかし、まだまだアナログな業界であり、日々の受発注は電話・FAXが多いのが現状です。その理由は、小規模事業者がITに前向きでなく、ITシステムを敬遠しがちであることが挙げられます。

飲食業界では未だに昔ながらの電話FAXのようなアナログ発注が多く、IT化が進まないという側面があります。最近では個人のLINEを使った注文をする飲食店も増えてきたようですが、ツール活用の方法には課題も多く発生しています。 『TANOMU』はLINEを業務用として活用し、毎日利用するスマホ(タブレット)で飲食店側が発注できるツールとして展開しています。IT意識が高くない事業者でも簡単に受発注をデジタル化できます。このように、デジタル化をはかって業界の商習慣を変えていくことが重要であると考えています。

食品卸業向けアンケート
調査方法:Webアンケート
調査期間:2021年8月26日~13日
調査対象:全国のBtoBプラットフォームユーザー
有効回答数:139件

毎日利用するスマホを導線にすることで、IT意識が高くない事業者でも簡単に受発注をデジタル化できます。このように、デジタル化をはかって業界の商習慣を変えていくことが重要であると考えています。

メニュー管理による自動発注を実現する『HANZO自動発注』

2つ目のAI自動発注システム『HANZO 自動発注』は、飲食店の発注業務の課題にアプローチするシステムです。

飲食店の発注業務では、毎日営業が終了してから在庫量を確認して売上の予測を算出し、発注量を計算して発注表を作成するという日次作業が現場の大きな負担になっています。しかも発注予測は経験値に基づくため、「店長がいない」「新人店長が赴任したばかり」などの理由で正確性に欠けることもあります。

また、天候によって売上が変わったり、店舗によってメニューが異なるなどの理由で発注過多に陥りやすかったりといった問題もあります。これに伴う廃棄ロスや機会損失が、大きな経営課題となっています。

これまでの自動発注と呼ばれる仕組みは、規定在庫から不足している商品を補充することを目的としたものでした。しかし、『HANZO 自動発注』はこのような「補充を目的としたシステム」とは大きく異なります。

『HANZO 自動発注』には、メニューのデータ化を行う機能があります。多くの現場で現場任せになりがちな紙による管理が常態化しているレシピ管理を、まずはデータ化して業務運用に活かせるように変えていくところからスタートします。食材の使用量料や調理工程などを細かく管理することで発注商品の数量や店舗ごとの原価を把握し、このデータに基づいた必要な材料を自動発注するという仕組みです。

また、『HANZO 自動発注』は売上来客実績などさまざまなデータをAIによって学習し、BtoBプラットフォームと連携して最適な発注量の予測を行います。

「店舗にもうひとりのマネージャーを」がコンセプトの店舗運営プラットフォーム

3つ目の店舗運営プラットフォームは、串カツ田中ホールディングスと共同出資で設立した株式会社Restartz(リスターツ)で開発を進めているアプリです。「店舗に、もうひとりのマネージャーを」がコンセプトのアプリで、システム設計や開発、運用・保守、販促などを行ってきたインフォマートと、飲食店経営のノウハウを持つ串カツ田中が業務提携し、アプリに搭載する機能やサービスのアイディア、実証実験など、現在も開発中です。

このアプリは、人手不足や人件費の高騰、採用単価の増加などの経営課題にアプローチが可能です。また、店舗のチェック項目などの情報管理の煩雑化、HACCPの管理、運営上管理しなければならない情報が現場任せになってしまっているといった課題の解決をはかることもできます。

店舗の運用がマニュアル通り実践されているかを確かめるには、マネージャーが1人あたり複数店舗を監督し、コロナ禍であっても直接訪問しなければならないという課題があります。それだけでなく、誰が・なにを・いつまでにチェックするかも課題となっており、マネージャー業務の負担は増すばかりです。

これらを解消するために、店舗運営プラットフォームには「店舗運営の簡素化をはかるための機能」「安全・衛生にかかわるチェックリストの運用機能」「業務指導などを簡素化するための項目」などを実装する予定です。

また、データの蓄積により特に注意が必要な業務にアラートを表示する機能、コミュニケーションの円滑化のために、チャット機能も搭載します。

フード業界におけるDXの姿~今後は請求書のデジタル化が急速に進む

フード業界におけるDXは、「データ整備」と「活用」の大きく2つのフェーズにわかれています。まずは「データを整備するフェーズ」においてアナログ情報をデジタル化して「見える化」を行い、続いて「活用するフェーズ」で見える化したデータを分析し、商品やサービス業務、経営スタンスの決定などに活かしていく流れです。

その上で、分析したデータを活用することで、初めて経営に変化が生まれ、DXが実現します。この段階に到達するには、データの整備が非常に重要です。インフォマートは「データを整備するフェーズ」を重点的にサポートすることでフード業界のDX化を推し進めていきたいと考えます。

2021年8月に実施したアンケートでは、「取引先と紙のやり取りがあるか」という質問に大半の取引先が「ある」と回答されました。特に納品書は90.6%もの回答者が「紙でやり取りしている」と答えており、デジタル化は思うように進んでいないというのが現状です。

また、取引先と紙のやり取りがあると回答したなかの68.3%は「取引先が紙によるやり取りを求めているため、紙による書類の発行を続けている」と回答しています。DX推進のためには、紙の書類のデジタル化を急ぐ必要があるでしょう。

食品卸業向けアンケート
調査方法:Webアンケート
調査期間:2021年8月26日~13日
調査対象:全国のBtoBプラットフォームユーザー
有効回答数:139件

まだまだアナログな運用が多い業界ですが、デジタル化を推し進めることで人材不足やコスト増などの経営課題にアプローチしやすくなると考えられます。

電子帳簿保存法改正やインボイスの施行に伴い、今後はフード業界でも紙の請求書をデジタル化していく動きが加速します。企業は今から情報収集を積極的に行い、できるだけ早い段階でのDX推進が求められます。


インフォマートのフード業界DXソリューション

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