2020年外食市場の動向~新規上場企業から課題解決策をさぐる

業界ニュース2019.12.27

2020年外食市場の動向~新規上場企業から課題解決策をさぐる

2019.12.27

2020年外食市場の動向~新規上場企業から課題解決策をさぐる

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2019年7月度に実施した外食産業市場規模調査によると、1人当たり外食支出額はわずかに減少したが、訪日外国人の増加、法人交際費の増加などにより、前年比0.3%増加。市場規模は25兆7,692億円の微増と推計されている。(出典:外食産業市場規模調査、一般社団法人日本フードサービス協会)。

しかし外食産業に詳しい船井総合研究所の二杉明宏氏(以下二杉氏)は、その実態に縮小の傾向が見えると読む。今回は同氏に2019年の上場企業の動向から外食市場を総括していただき、同時に2020年の外食市場の展望と新規上場予測をする。

目次

2019年の上場は3社。老舗2社に新興企業1社

2019年の上場企業予測では、上場する企業数が少ないという傾向は今後も続く、とみていた。実際に2019年に上場した企業は、創業71年のステーキのあさくま、創業52年の中華の浜木綿という老舗企業に、起業8年のダンダダン酒場を経営するNATTY SWANKY(現:株式会社ダンダダン)の3社にとどまった。上場の理由は様々あるだろうが、以下のような理由が考えられる。

2019年までの外食企業の上場社数推移

 

株式会社船井総合研究所  フード支援部 部長 上席コンサルタント 二杉 明宏 氏
株式会社船井総合研究所
フード支援部 部長
上席コンサルタント
二杉 明宏 氏

「オーナー企業が上場する場合には、経営管理を1人に依存するのではなく財務の観点、営業の観点、様々な目線で企業統治をする必要があります。長らくオーナー経営者のリーダーシップで経営をしてきたものの、事業承継を考えたときに次の時代の企業統治のあり方を整える必要があり、そのために上場という選択に向かうこともあるでしょう。

また、NATTY SWANKY(現:株式会社ダンダダン)さんの場合は、ヒットコンセプトを作り、上場によって資金を調達し素早く拡大させることによって、後発の模倣・追随を寄せ付けず、スピーディーに1番になろうという趣旨ではないでしょうか。串カツ田中さんと似ているように感じます」

ダンダダンは「肉汁餃子製作所ダンダダン酒場」の単一ブランドを関東圏中心に展開している。2014年に10店舗を達成して以降、年10店舗ずつ増やしてきたが、上場以降はさらに出店速度を早めている。

■外食事業を展開する上場企業

■上場:東1=東証1部/東2=東証2部/東M=東証マザーズ/JS=ジャスダック/名2=名証2部/名セ=名証セントレックス/福証=福岡証券取引所

上場年月会社名市場売上高主な展開ブランド
2019年10月浜木綿(はまゆう)JS52億円(2019年7月期)「中国料理 浜木綿」
2019年6月あさくまJS94億円(2019年4月期)「ステーキのあさくま」
2019年3月NATTY SWANKY(現:株式会社ダンダダン)東M39億円(2019年6月期)「肉汁餃子製作所ダンダダン酒場」
2018年10月ギフト東M90億円(2019年10月期)「横浜家系ラーメン」
2017年12月一家ダイニングプロジェクト東M70億円(2019年3月期)「こだわりもん一家」
「博多劇場」
2017年3月スシローグローバルホールディングス東11,990億円(2019年9月期)「スシロー」
2017年3月力の源ホールディングス東1274億円(2019年3月期)「一風堂」
2017年2月ユナイテッド&コレクティブ東M66億円(2019年2月期)「てけてけ」
「the 3rd Burger」
2016年9月串カツ田中ホールディングス東M76億円(2018年11月期)「串カツ田中」
2016年6月コメダホールディングス東1303億円(2019年2月期)「珈琲所 コメダ珈琲店」
2015年10月バルニバービ東M115億円(2019年7月期)「ガーブ」
2015年4月海帆東M49億円(2019年3月期)「昭和食堂」「えびすや」
2015年3月ゼネラル・オイスター東M37億円(2019年3月期)「ガンボ&オイスターバー」
2015年3月エスエルディーJS43億円(2019年3月期)「kawara CAFE&DINING」
2014年12月SFPホールディングス東2377億円(2019年2月期)「磯丸水産」「鳥良」
2014年12月ヨシックス東1179億円(2019年3月期)「ニパチ」「や台ずし」
2014年10月すかいらーくホールディングス東13,663億円(2018年12月期)「ガスト」「バーミヤン」
2014年9月ホットランド東1324億円(2018年12月期)「築地銀だこ」「銀のあん」
2014年7月鳥貴族東1358億円(2019年7月期)「鳥貴族」
2012年12月チムニー東1456億円(2019年3月期)「はなの舞」
「さかなや道場」
2012年9月エー・ピーカンパニー東1245億円(2019年3月期)「塚田農場」
「四十八漁場」
2011年6月イートアンド東1291億円(2019年3月期)「大阪王将」
2008年3月物語コーポレーション東1589億円(2019年6月期)「焼肉きんぐ」
2007年11月ブロンコビリー東1235億円(2018年12月期)「ブロンコビリー」
2007年10月ドトール・日レスホールディングス東11,292億円(2019年2月期)「ドトール」「星乃珈琲店」
2007年8月アークランドサービスホールディングス東1243億円(2018年12月期)「かつや」「からやま」
2007年7月きちりホールディングス東192億円(2018年6月期)「KICHIRI」
2007年4月ホリイフードサービスJS66億円(2019年3月期)「忍家」
2007年3月DDホールディングス東1509億円(2019年2月期)「九州熱中屋」
「わらやき屋」
2007年3月銚子丸JS193億円(2019年5月期)「すし銚子丸」
2007年1月JFLAホールディングスJS643億円(2019年3月期)「牛角」「おだいどこ」
2006年12月ダスキン東11,586億円(2019年3月期)「ミスタードーナツ」
2006年12月東京一番フーズ東146億円(2019年9月期)「とらふぐ亭」
2006年12月WDIJS297億円(2019年3月期)「カプリチョーザ」
「巨牛荘」
2006年12月ライフフーズJS131億円(2019年3月期)「ザめしや」「街かど屋」
2006年12月JBイレブン名272億円(2019年3月期)「一刻魁堂」
2006年11月ジェイグループホールディングス東M149億円(2019年2月期)「芋蔵」
「ほっこり」
2006年10月ゼットン名セ150億円(2019年2月期)「Aloha Table」
2006年9月ペッパーフードサービス東1635億円(2018年12月期)「いきなり!ステーキ」
2006年4月ハブ東1115億円(2019年2月期)「HUB」
2006年2月トリドールホールディングス東11,450億円(2019年3月期)「丸亀製麺」「とりどーる」
2006年2月丸千代山岡家JS128億円(2019年1月期)「ラーメン山岡家」
2006年1月サンマルクホールディングス東1700億円(2019年3月期)「サンマルクカフェ」
2005年9月クリエイト・レストランツ・ホールディングス東11,192億円(2019年2月期)「かごの屋」「しゃぶ菜」
2005年6月関門海東245億円(2019年3月期)「玄品」
2005年4月フジタコーポレーションJS42億円(2019年3月期)「ミスタードーナツ」のFC
2005年2月ワイエスフードJS16億円(2019年3月期)「山小屋」「ばさらか」
2004年7月東和フードサービスJS113億円(2019年4月期)「椿屋珈琲」
「ダッキーダック」
2004年3月ワイズテーブルコーポレーション東2137億円(2019年2月期)「XEX」
2004年3月フライングガーデンJS73億円(2019年3月期)「フライングガーデン」
2003年12月カルラJS76億円(2019年2月期)「まるまつ」
2003年3月ひらまつ東1109億円(2019年3月期)「レストランひらまつ」
2003年3月三光マーケティングフーズ東2107億円(2019年6月期)「金の蔵」「月の雫」
2002年12月あみやき亭東1321億円(2019年3月期)「あみやき亭」
2002年12月テンポスホールディングスJS301億円(2019年4月期)「ステーキのあさくま」
2002年12月フジオフードシステム東1361億円(2018年12月期)「まいどおおきに食堂」
2002年4月ピエトロ東196億円(2019年3月期)「ピエトロ」
2001年8月大戸屋ホールディングスJS257億円(2019年3月期)「大戸屋」
2001年7月日本マクドナルドホールディングスJS2,722億円(2018年12月期)「マクドナルド」
2001年5月くら寿司東11,361億円(2019年10月期)「くら寿司」
2001年4月ジー・テイストJS247億円(2019年3月期)「とりあえず吾平」
「村さ来」
2000年12月魚喜東2125億円(2019年2月期)「回転寿司魚喜」
2000年10月ダイナックホールディングス東2360億円(2018年12月期)「響」「魚盛」
「鳥どり」
2000年2月壱番屋東1502億円(2019年2月期)「CoCo壱番屋」
1999年12月グローバルダイニング東299億円(2018年12月期)「ラ・ボエム」
「権八」
1999年11月うかいJS139億円(2019年3月期)「うかい亭」
1999年10月コロワイド東12,443億円(2019年3月期)「甘太郎」
1999年9月ハイデイ日高東1418億円(2019年2月期)「中華食堂 日高屋」
1999年4月梅の花東2194億円(2019年4月期)「梅の花」
1998年6月かんなん丸JS35億円(2019年6月期)「庄や」
「日本海庄や」のFC
1998年4月サイゼリヤ東11565億円(2019年8月期)「サイゼリヤ」
1997年9月幸楽苑ホールディングス東1412億円(2019年3月期)「幸楽苑」
1997年9月安楽亭東2163億円(2019年3月期)「安楽亭」「七輪房」
1997年8月ゼンショーホールディングス東16076億円(2019年3月期)「すき家」「ココス」
1997年6月柿安本店東1443億円(2019年2月期)「三尺三寸箸」
「柿安」
1996年11月マルシェ東185億円(2019年3月期)「酔虎伝」
「八剣伝」
1996年10月ワタミ東1964億円(2019年3月期)「ミライザカ」
「三代目鳥メロ」
1994年12月カッパ・クリエイト東1787億円(2019年3月期)「かっぱ寿司」
1994年11月アトム東2532億円(2019年3月期)「ステーキ宮」
1994年7月大庄東1610億円(2019年8月期)「庄や」「やるき茶屋」
1994年6月小僧寿しJS54億円(2018年12月期)「小僧寿し」
1993年7月プレナス東11539億円(2019年2月期)「ほっともっと」
「やよい軒」
1993年7月ココスジャパンJS574億円(2019年3月期)「ココス」
1993年7月ハチバンJS82億円(2019年3月期)「8番らーめん」
1993年6月ジョイフル福証728億円(2019年6月)「ジョイフル」
1993年3月王将フードサービス東1816億円(2019年3月期)「餃子の王将」
1991年9月サガミホールディングス東1266億円(2019年3月期)「和食麺処 サガミ」
1991年8月元気寿司東1420億円(2019年3月期)「元気寿司」「魚べい」
1990年10月松屋フーズホールディングス東1981億円(2019年3月期)「松屋」「松のや」
1990年8月日本KFCホールディングス東2743億円(2019年3月期)「ケンタッキーフライドチキン」
1990年1月吉野家ホールディングス東12023億円(2019年2月期)「吉野家」
「はなまるうどん」
1989年11月グルメ杵屋東1410億円(2019年3月期)「杵屋」「そじ坊」
1989年11月銀座ルノアールJS79億円(2019年3月期)「喫茶室ルノアール」
1987年12月B-RサーティワンアイスクリームJS200億円(2018年12月期)「サーティワンアイスクリーム」
1987年11月木曽路東1450億円(2019年3月期)「木曽路」「素材屋」
1986年11月テンアライド東1154億円(2019年3月期)「天狗」「テング酒場」
1986年11月フレンドリー東268億円(2019年3月期)「フレンドリー」
「源ぺい」
1985年11月モスフードサービス東1662億円(2019年3月期)「モスバーガー」
1985年10月リンガーハット東1469億円(2019年2月期)「リンガーハット」
「浜かつ」
1984年3月SRSホールディングス東1445億円(2019年3月期)「和食さと」「さん天」
1978年10月東天紅東169億円(2019年2月期)「東天紅」
1978年8月ロイヤルホールディングス東11,377億円(2018年12月期)「ロイヤルホスト」
「てんや」
1963年6月ヴィア・ホールディングス東1267億円(2019年3月期)「備長扇屋」「パステル」
1963年6月精養軒JS34億円(2019年1月期)「上野精養軒」

※2016年に作成した情報を元に、各企業のHPやプレスリリースを参照し、編集部で追加
※市場、上場年月、売上高は四季報、各社ニュースリリースより


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