そんな仕掛けとして外せないのが、SNSだろう。SNSでの拡散は今や外せないプロモーションだが、具体的にはどう活用すればいいのか。写真、頻度、文体、など、SNSならではの販促方法はあるのか?
「商品の良い所ばかりを並べた広告宣伝文句だけのような文章は、やはりダメでしょう。買い手は、そういった広告宣伝文句をかなり鋭い目で見抜いてしまうので、使うなら気をつけて使った方がいいですね。押し付けではなく、コミュニケーションをしているという考え方が大切です。例えば、友達に話すようなイメージですね。友達に勧められなかったり上手く伝えられないものを、面識もない人たちが『良いな』とは思いません」
また、商品のバックボーンを含めたストーリーの押し付けも、敬遠されやすいという。
「商品のストーリー作りは重要で、前提としてしっかりやらなければいけないと思います。ただ、それを発信する上で、どのように、どれくらい語るのかが大切です。熱い思いはあるにせよ、それをダイレクトに語り過ぎてしまうと、買い手は『そんなことばかり語られても…』と感じてしまうでしょう。買い手がまず知りたいのは、商品そのものについての情報ですから。また、SNSならSNS、WEBならWEB、紙なら紙と、その媒体の向こうに居る相手のスタンスはそれぞれ違うので、媒体に応じた語り方も大切です」
お客様のニーズを掴む、バリエーション展開と実店舗の活用
また、アイテム数や容量などバリエーションをもたせた展開も仕掛けの一つだ。
「選択肢を用意した方が、買い手にとって選ぶ楽しみがあります。また、売り手にとっても1つのアイテムだけで勝負するよりは、ある程度バリエーションを用意して売れ行きを見ながら絞り込んでいく、または広げていくなど、マーケティングもしつつ商品開発をした方がいいと思います。売り手が考える適正な容量や品質が、必ずしも買い手のニーズに合致しているとは限りませんから」
そして、さらなる仕掛けとして笹田氏が考えるのは、実店舗との連動だ。
「EC一本よりも実店舗という“場所”を持っているショップは強いです。何といっても買い手の顔が見えるので、反応が分かりやすい。それに、売るだけが実店舗の役割ではありません。実店舗だからこそできることは、いくらでもあります。ECが出始めた頃は、『実店舗での販売は時代に合わないからECへ』といった流れもあったかと思いますが、これからは実店舗をいかに活用するかが、一つのカギとなると思います」
今後も右肩上がりで伸びていくと予想される、食品のお取り寄せ。WEB媒体を介してのやり取りは食いつきも離れるのも早いといわれるだけに、その特性を知った上で対策や仕掛けを講じることが重要だ。