飲食店経営に戦略と飛躍をもたらすデータ活用術~ITツール導入からデータ活用が導き出す価値とはなにか~

セミナー・イベントレポート2024.06.18

飲食店経営に戦略と飛躍をもたらすデータ活用術~ITツール導入からデータ活用が導き出す価値とはなにか~

2024.06.18

飲食店経営に戦略と飛躍をもたらすデータ活用術~ITツール導入からデータ活用が導き出す価値とはなにか~

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2024年4月、インフォマートが主催する『BtoBプラットフォーム 受発注』ユーザー向けセミナーが開催された。「ITツール導入からデータ活用が導き出す価値とは何か」と題して、「人手不足」「原価高騰」という業界の2大課題に対応するための、ITツールの導入によって蓄積されたデータの生かし方がレクチャーされた。

第1部では、株式会社ラックバッググループ代表取締役の斉田教継氏により「ラックバック式データ活用メソッド」が披露された。続く第2部では、株式会社つぼぐちフードサービス取締役の杉山裕二氏により「店舗オペレーション改革」について語られた。

目次

第1部:ラックバックグループが取り組むデータ活用DX

昨今、飲食店向けのIT化、DXが進んでいる。デジタルツールを導入し、勤怠管理から人件費を管理し、売上管理システムで売上動向を把握し、受発注システムを在庫や生産管理に活かしている。

ただし各デジタルツールからのデータを有機的に組み合わせて、さらなる効果を図るといった動きになかなか繋がらないという声も聞かれる。各ツールによって蓄積されるデータを経営に活かすことができないかという、新たな悩みが生まれているのだ。

たとえば『BtoBプラットフォーム 受発注』をとっても、まだまだ活かし切れていないデータが眠っているのが実情だ。

蓄積された「請求データ」を、会計ソフトからの集計データなどと付き合わせることで、長期的なスパンで請求の流れを見ていくこともできる。同様に「棚卸データ」を分析することで、商品ごとの使用高、過剰在庫のアイテムが把握でき、消費期限などを加味して、適正な在庫管理のために利用できる。

日次、週次でのFL、PLを把握できるため、随時現状分析が可能になり、より早く課題解決のための施策を打てることにもなる。早いサイクルでPDCAを回すことによって経営の向上へと繋がっていく。

埋もれたデータは数多く、そのデータ活用こそが、デジタルツール導入をさらに活かす方策となるのだ。その具体的な例を、株式会社ラックバッググループ代表取締役の斉田教継氏がこう話す。

株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役CEO 株式会社ラックバックグループ 代表取締役 斉田 教継 氏
株式会社ティールテクノロジーズ
代表取締役CEO
株式会社ラックバックグループ
代表取締役
斉田 教継 氏

斉田氏「業界の情報システムに携わる人から話を聞いても自社飲食企業を長年経営してきた経験からも思うのは、いわゆるデジタルツールがすごい勢いで現場に浸透してきている一方で、そのデータの二次活用に関しては完全にボトルネックが存在していました。

例えばPOSレジはメーカーごとにフォーマットや計算ルールが異なっています。なので、それぞれ異なる多くのPOSレジメーカーの素データを取得し、計算式を解読し、標準フォーマットにはめていくことが、これまでは誰にもできませんでした。

POSレジに限らず、現場で使われている様々なデジタルツールも、それぞれのデータを引っ張ってきて、1つの画面、1つのツールの中で、その飲食店、飲食業にまつわるデータ分析、データ集計が統合できれば非常に便利なのですが、それをできるツールがなかったので、結局どこもエクセルで対応するしかない状況でした。

長年携わってきて感じているのは、飲食業も製造業と変わらないということです。自分たちが製造業だという認識を持つことが重要です。その上で、日次ベースで労働時間や人件費といった人の管理、そして仕入れの管理を行います。それができなければ利益は出ません。そのため、売上を伸ばすことよりもコストコントロールの方が100倍重要だということをきちんと認識しなければいけないと考えています。

なにもかも削減すればいいというのではなく、常に適正な数字になるよう管理することが重要で、その上で売上をどう伸ばしていくかという取り組みがあるわけです。

例えば原価について、私はこれまで22店舗を出店してきて痛感したことがあります。それは簡単なことで、売り上げのスピードに合わせて適切な量を仕入れていかないと、結果的に在庫が増えてしまうということです。

家庭の冷蔵庫と同じです。買い物をして次々に冷蔵庫内におさめると、奥の方に賞味期限切れの食材が出てきてしまいます。これと同じことが飲食店でも起きているのです。仕入のコントロールが甘くなると、在庫量が増え、消費期限管理や、連鎖して提供ポーション管理も甘くなりがちです。そうした連鎖で原価が合わなくなり、原価が上振れるということが起きてくるのです。

日々のデータのなかから、まず売上を見て、次に仕入原価と人件費を見ることを日課として、各店長、店舗スタッフにはお願いしています。もちろん最初にやるべきは売上の予算を的確に立てることです。それは、どの程度予算に忠実に仕入れをしていくかに繋がります。予算の立て方が甘いと仕入れが甘くなり、原価が合わなくなってきます。

検品・受領の部分をきちんと毎日把握していくことが重要です。これを怠って月末まで整理しなければ、すべて検品・受領するのと同じなので、業者が間違っているのかどうかさえ、気づくことができません。

日常的な数字をみて、これをフル活用できている人間は社内にもわずかでしょう。ですが、PDCAを1人でもきちんと回せるようにすること、会社としてはデータを活きた情報として整理しておくことが重要だと思っています」

第2部:ITツール導入から「飲食店DXを前へ」進める取り組み

次に登壇したのは、株式会社つぼぐちフードサービス取締役の杉山裕二氏だ。同社で取り組みがはじまっている「店舗オペレーション改革」がテーマとなった。

株式会社つぼぐちフードサービス 取締役 杉山 裕二 氏
株式会社つぼぐちフードサービス
取締役 杉山 裕二 氏

杉山氏「本題に入る前提として、私どもは仕出し弁当や慶弔料理・各種ケータリングサービス等を事業としております。

この業界では、地元に大相撲の巡業がきたので、突然2000食、3000食のお弁当を作ってくれ、などという注文が入ることがあります。突然言われても夜中に働いてくれる人なんて簡単には確保できません。そういうときに技能実習制度や高齢者事業団を利用するなど、様々に取り組んできました。

そういうなかで長年のテーマとして抱えていたのが、『人の育成』と『紙の管理』という問題でした。

『人の育成』という点でいえば、全体の業務の中でもベテランのパートさんの頭の中にだけ存在していて、それがアウトプットされていない仕事が少なくないという問題があります。業務の手順、気を付けるべき点、ミスが起きがちなシーンなど、一部のスタッフだけのノウハウがあり、それを他のスタッフに教育する時間がありません。そのため、そのノウハウを戦力として生かすのに時間がかかっていまいます。

一方で『紙の管理』の問題では、日々HACCPに従って温度や湿度の管理から、機械の点検まで行っています。ほかにもチェックシートに従って管理されている工程が多くあります。それらのデータは、日々の管理のためには役に立っていますが、紙のまま管理されており、ほかへ応用・活用されているわけではありません。また複雑な管理手続きを要するために、かえってヒューマンエラーが起きかねない部分もあります」

この課題を解決するために、つぼぐちフードサービスではインフォマートの『V-Manage』を導入した。このサービスを使えば、日々の「いつ、なにをする?」というタスクを設定でき、またそれを「どうやって行うか」という手段を明記し、「どう実施したか」の完了報告まで一元化して管理することが可能になる。

杉山氏「導入にあたって、まずは特定のスタッフに属人化されていた業務の洗い出しを始めました。業務ごとに問題点と解決方法を明確にし、分類し、システム化しました。その作業には時間がかかりましたが、すべての業務が見える化できたという印象です。

あらゆる業務と手順をシステム化できたので、あとは時間軸に沿って割り振れば設定は完了です。これでベテランが休もうと、新人が担当しようと、誰でも業務が遂行できるようになりました。業務の属人化がなくなったのです。

同時に、紙の管理問題については、チェックリストもシステムに『やるべきこと』として載せることで、記録漏れや指定時間にやるべきことがずれ込むこともなくなりました。

例えば、従業員は日々、体調管理のチェック表に記入します。一方、体調チェック表への記入は手間がかかります。自分の体調は自分が把握しているので、いちいち毎日同じような体温を記入することに意味を感じなくなり、出社時に記入しなければいけないのに、帰る前に慌てて記入する人も少なくありませんでした。

でもこのチェックを『V-Manage』に入れて、10時に時間指定しておくと、チェックし忘れた場合にエラーとしてアラートを出してくれます。タスク管理だけでなく、時間の管理もしてくれるので漏れがなくなりました。

日々発生する帳票類の管理やFAXのやり取りも『V-Manage』に集約したので、ペーパーレス化にも繋がり、データベースとしても機能していくと思います。展開している小さい惣菜屋では、パートさんがこのシステムを使って店を回せるようになっています。どうしても人材とその能力を考えると、出店を増やしたくてもできませんでした。でも『V-Manage』を導入したことで、管理が行き届かなくなる心配もなくなると思います。

地方では超高齢社会を迎えて、自ら料理を作れない高齢者が増えています。その意味では、惣菜屋の需要が見込めるため、ビジネスチャンスといってもいいでしょう。このシステムのメリットを活かして出店を増やしていけると考えています」

ITツールの“活用”がDXにつながる

デジタルツールの普及が進むなか、それらツールから得られるデータの有効活用は次なる飛躍へと直結する。それぞれのITツールの機能を再確認し、様々なデータ活用術を知ることが、飲食店事業者にとっては当面のタスクと言えるだろう。

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