FOODCROSS conference 2022トークセッション~業態開発・接客・女性キャリアなどの課題をさぐる

セミナー・イベントレポート2022.11.08

FOODCROSS conference 2022トークセッション~業態開発・接客・女性キャリアなどの課題をさぐる

2022.11.08

FOODCROSS conference 2022トークセッション~業態開発・接客・女性キャリアなどの課題をさぐる

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フード業界の関係者が手を取り合い、共に未来を考えて成長していくためのオンライン&オフラインのハイブリッド型イベント『FOODCROSS conference 2022』が9月22日、寺田倉庫 WHAT CAFEにて開催された。

会場では5つのトークセッションが実施され、外食企業のリーダーたちが業態開発や接客、女性のキャリア形成など様々な課題を語り合った。

目次

<トークセッション01:いまの時代に選ばれる業態開発、お店づくりとは>

第一部では、今この時代でも選ばれる店舗を開発・展開し、順調な飲食経営を行っている下遠野氏、天野氏、大山氏の3名に“業態とお店づくりのポイント”を語った。

フードスタジアム株式会社 代表取締役/一般社団法人レストランテック協会 専務理事 大山 正 氏
フードスタジアム株式会社 代表取締役
一般社団法人レストランテック協会 専務理事
大山 正 氏
>株式会社スパイスワークスホールディングス 代表取締役社長 下遠野 亘 氏
株式会社スパイスワークスホールディングス
代表取締役社長
下遠野 亘 氏
マニアプロデュース株式会社/マニアインポート株式会社 代表取締役社長 天野 裕人 氏
マニアプロデュース株式会社
マニアインポート株式会社
代表取締役社長
天野 裕人 氏

 

ヒット業態を作るには「確固たる軸」が必要

大山氏「下遠野氏は寿司やビストロ、天野氏は餃子・小籠包などでヒットを重ねています。選ばれる業態開発には“確固たるブレない軸づくり”が必要ということで、お二人が大事にされている基本の軸を3つずつ挙げていただきました」

 業態開発の基本軸

スパイスワークスHD 下遠野氏マニアプロデュース 天野氏
素材
文化
調理法
単一業態
味が良い
差別化

 

下遠野氏「焼き鳥業態を例に出すと、素材は鶏肉。文化のところに和食や、もっと掘り下げて焼き鳥文化や炉端など、焼くという行為の文化が入ります。調理法では、炭を使って焼くなどといったように分解することで業態を表現しやすくなりますし、お客様にも理解されやすくなります。

たとえば、当社のお寿司なら素材は魚、文化は寿司文化や和食、調理法は握る、となります。そしてこの素材の魚を肉に変えるだけで、当社が以前運営していた肉寿司という新業態ができあがるのです。TTP、徹底的にパクるという言葉がありますが、繁盛店をただマネするだけではなく、素材・文化・調理法の3要素に分解して新業態を作ることができれば、独自性が生まれるのではと思います」

天野氏「当社は皮から作る餃子がウリですが、僕は単一業態がすごくいいと思っています。お客様や従業員にも分かりやすいし、餃子を美味しくすればお店全体のレベルが上がるので、単一業態が良いですね。2つ目の「味が良い」は絶対に外してはいけない基本です。3つ目の「差別化」は、どんどん類似業態が出てくるので、その中で何が明確に違うのかをしっかり考えるべきだということです。当社でいうと、餃子を皮から作るには高いスキルが必要なので参入障壁が高い。そういった点を考えて業態を作っています」

大山氏「飲食店側の軸がブレてしまうと、スタッフやお客様にもブレが生じて、店の良さが伝わりません。基本軸を大事に、コロナ禍でも強い食事業態を開発してほしいですね」

<トークセッション02:開業から経営まで。人気コンサルによるリアルお悩み相談会>

第二部では、一般社団法人これからの時代の・飲食店マネジメント協会代表理事を務める山川氏が、飲食店の開業から経営まで、視聴者が抱える悩みをその場で解決していく参加型のトークセッションを行った。

DXで経営を効率化することは必要不可欠

一般社団法人これからの時代の・飲食店
マネジメント協会 代表理事
一般社団法人レストランテック協会 顧問
山川 博史 氏

さまざまなコストが上昇する中、DXで経営を効率化することは必要不可欠になっている。

山川氏「飲食店の経営では、FLRE比率を考えなくてはなりません。FLRE比率とは、売上に占める食材費(Food)+人件費(Labor)+家賃(Rent)+水道光熱費(Energy)の割合のこと。これまではFLRの3つとされてきましたが、水道光熱費が高騰する中で4つ目のEnergyも重要になっています」

特にDXで削減できるのは、採用・教育にかかる資金も含めた人件費だ。

山川氏「難しい機能をたくさん入れるのではなく、すぐできそうなシンプルなものを導入することが大切です。たとえば受発注に時間がかかっているのであれば、インフォマートさんに相談したらいいし、教育が上手くいっていないとか、採用コストがどんどん上がっているのであれば、僕たちが提供するオンライン教育システム『これマネ教育DX』などを使う方がいい。ポイントは経営者だけでなく、一緒に働くスタッフやお客様がその仕組みを取り入れることによって楽になった、楽しくなったと思えるかどうかです。逆に、社長がまた変なプロダクトを持ってきた、自分たちの仕事が増えて面倒だ、と思われるDXは良くないです」

会場から寄せられた「食材費の高騰による値上げを、お客様にどう伝えるべきか」との質問に山川氏は、「黙って値上げするよりも正直に、『本当に申し訳ないですが、この部分だけ少し値上げさせてください』と伝えた方が理解度は深まる」とアドバイスした。

山川氏「飲食店が注目すべきは、客単価の高いお客様ではなく“客単価の低いお客様の月間利用数を増やすこと”です。客単価が1万円で、1ヶ月に1回しか来店しないお客様と、客単価が1500円で、1ヶ月に10回来てくれるお客様を比べると、「月間客単価」は後者が合計1万5000円となり、前者を上回ります。そのため、一度の客単価を上げようと頑張るよりも、「1杯のビールと枝豆だけでもちょっと顔を見せてくださいね」と感謝を伝え、1000円を10回使っていただけるようになった方がいい。そのようなお客様に5年、10年と継続して通ってもらい、長く貢献してくれるファンを作っていくことが大事です」

<トークセッション03:輝く女性のキャリアとは?現役リーダー&店長が描く未来予想図>

第三部では、飲食業界における女性のキャリア形成に焦点を当て、実際に業界で活躍されている村上氏、長井氏、大森氏の3名が中心となり、現在のキャリアステージに至った経緯や、女性ならではの働き方、今後の展望をご自身の経験を踏まえて語った。

株式会社大地 株式会社チャレンジ・ザ・フューチャー サービス事業部課長兼エステ事業部長 村上 ひかり 氏
株式会社大地
株式会社チャレンジ・ザ・フューチャー
サービス事業部課長
兼エステ事業部長
村上 ひかり 氏
株式会社國屋 ろばた 翔 店長 長井 菜摘 氏
株式会社國屋
ろばた 翔 店長
長井 菜摘 氏
株式会社イタリアンイノベーションクッチーナ Re.TOSCANA三軒茶屋店 店長大森 胡桃 氏
株式会社イタリアンイノベーションクッチーナ
Re.TOSCANA三軒茶屋店 店長
大森 胡桃 氏
株式会社LEAD LIVE COMPANY 取締役副社長 一般社団法人レストランテック協会 顧問 遠山 啓之 氏
株式会社LEAD LIVE COMPANY
取締役副社長
一般社団法人レストランテック協会 顧問
遠山 啓之 氏

 

キャリアを築けた要因は「横のつながり」

遠山氏「外食企業では、多くの女性社員やアルバイトが活躍しています。一方、彼女たちの多くが3年ほどでキャリアのステージを上げづらいという課題に直面しました。先駆者やロールモデルがいない中、お三方はどのようにキャリアを築いていったのですか」

大森氏「私は学生時代、飲食でアルバイトをしていたのですが、当時の店長を見て、自分は絶対やりたくないと思っていました。ですが入社後に勉強を兼ねて、上役の方々に美味しいお店に連れて行っていただき、さまざまな繋がりができたことによって、この人たちを支えたいという思いが芽生えたのです。店長はできなくても、店長を支える二番手でいたいなと。そんなとき、異動のタイミングで他社の女性社員さんと知り合う機会があり、飲食で働く女性ってこんなにカッコ良いんだと感激しました。それから、いま横にいる長井菜摘さんに相談をしたところ、「店長の見ている世界を知らなかったら本当の二番手として支えることはできない」とアドバイスをいただき、店長になろうと決意できたのです」

長井氏「ちなみにその言葉は、私が当社の女将から実際に言われた言葉なんです」

遠山氏「お店の枠を超えて、縦や横の繋がりを持てたことで視野が広くなったのですね。自社だけではなく、横の繋がりが大事ですね」

組織への愛情もモチベーションになる

長井氏「私もアルバイトから入社したのですが、料理長になってからは良いお店に連れて行っていただく機会も増え、横の繋がりが充実しました。そこで出会った星付きのお店の大将さんがお店に来てくれたり、料理長勉強会に出席させていただいたり。当初は不安もありましたが、社長夫婦に背中を押されて、今は店長をしています」

遠山氏「料理長から店長になるには、どんなきっかけがあったのですか」

長井氏「コロナ禍の1年目に、炉端 翔の店長が不在になってしまったんです。私はそのお店が大好きだったので、絶対にお店をなくしたくないとの思いで店長を引き受けることにしました」

遠山氏「人との繋がりがあったからこそ、お店や会社を好きになり、愛情を持てたというわけですね。お店を絶対なくしたくない、もっと良くしたいという感情は、女性の方が強い気がします」

女性が少ないからこそ、期待されて頑張れる

村上氏「飲食業界には女性が少ない分、注目してもらいやすいというメリットもあります。私は飲食業界の労働時間が長い、休みがない、給料が安いというイメージを変えるために教育システムを作り、社員を定着させるためにロープレを導入し、“○○のためにはどうすればいいか”と考えてやっていく中で、注目して評価していただけました。女性が少ないからこそ、やる気さえあればきっと花を咲かせられると思います。期待されると、女性は頑張れますからね」

大森氏「今回のイベントもそうですが、働く女性のいろんな話が聞けて、こういうふうに働いていいんだという選択肢が見つかるとモチベーションが上がります。女性同士でつながる機会や、セミナーや勉強会などの場を作っていただけるだけでもありがたいですね」

<トークセッション04:CROSSCAFEで実演『接客×テクノロジー』の新たな価値とは>

第四部では、遠山氏と竹田氏が登壇。少ない人員でもサービスレベルを上げ、ホールスタッフの働き方に影響を与える“テクノロジー”に焦点を当て、新しい接客と活用方法について紹介した。

株式会社ケイノーツ 代表取締役 竹田 クニ 氏
株式会社ケイノーツ 代表取締役
竹田 クニ 氏
株式会社LEAD LIVE COMPANY 取締役副社長 一般社団法人レストランテック協会 顧問 遠山 啓之 氏
株式会社LEAD LIVE COMPANY
取締役副社長
一般社団法人レストランテック協会 顧問
遠山 啓之 氏

 

「テクノロジーとバディを組む」という発想

遠山氏「人手不足のためにモバイルオーダーや配膳ロボットを導入しても、活かせていない飲食店は多いと感じています。というのも多くの飲食店は接客がマニュアル化されており、そこにテクノロジーが入ると余計に無機質で寂しい感じが加速してしまうからです。飲食業界はテクノロジーで駄目になる可能性すらあります」

竹田氏「接客業務を分解して、“ここは機械で置き換えて問題ない”や“テクノロジーで空いた時間でこういう点を強化すべき”といった分析は、意外と進んでいないように思います」

遠山氏「そこで私が提言したいのは、テクノロジーとバディを組むという思考です。モバイルオーダーや配膳ロボットを活用し、空いた時間でお客様の要望を汲み取る“パーソナライズな接客”を磨いていきます。たとえばマニュアルだと「いらっしゃいませ」で終わるところを、雨が降っていたら「雨の中ありがとうございます」と声をかけ、ご提供の際に「クラフトビールの○○です、1杯目に最高ですよ」と一言添えるなど、トップレベルの人たちが感覚的にやっている接客を、皆ができるようになるのが理想です」

竹田氏「経験が浅いスタッフの場合、業務で手一杯になって余裕がなく、マニュアル接客しかできない場合もあります。テック活用によって時間的な余裕ができれば、そうした課題も解決できますね。接客力の底上げができると、次は接客力の高いスタッフが高待遇を得られる仕組みも必要です。パートやアルバイトさんたちにやりがいを持っていただくためにも、しっかり評価する仕組みが大切です」

<トークセッション05:これからのSweets業界、飲食業界に必要なことは技術力と『○○力』!~食へのこだわり、技術力高い業界人対談企画~>

トークセッションの最後を飾る第五部では、江藤氏と狩野氏が登壇。多様化するニーズに対応する職人の技術や、愛される商品を生み出す商品開発、生産者の魅力を伝えていく大切さなど、これからの時代に求められていくものとは何なのか?をテーマとして、必要とされる「○○力」について語った。

株式会社和音人 代表取締役 外食SX 代表 一般社団法人レストランテック協会 顧問 狩野 高光 氏
株式会社和音人 代表取締役
外食SX 代表
一般社団法人レストランテック協会 顧問
狩野 高光 氏
株式会社イートクリエイター unis / PAYSAGE / LA NOSTALGIE Chef Pâtissier 江藤 英樹 氏
株式会社イートクリエイター
unis / PAYSAGE / LA NOSTALGIE Chef Pâtissier
江藤 英樹 氏

 

生産者とのコミュニケーションから生まれる発想力

数々の名店でシェフパティシエを歴任した江藤氏と、社会課題を解決するCSV経営をリードする若手経営者の狩野氏。バックグラウンドの違う2人が語る、「発想力・洞察力」「提案力」「発信力」。

江藤氏「今の時代は付加価値が大事です。そのためにも、私は生産者さんのもとを訪れ、埋もれている素晴らしい食材をどんどん発掘しています。情報は農家さんから直接いただくこともあれば、アポなしで訪問することもあります。皆さん真剣に取り組んでいらっしゃるので、最初は多少ピリピリすることもありますが、最終的には打ち解けていろんな情報をくださいます」

狩野氏「僕たちも山形で7年間、農業の事業をしています。生産者に会いに行く飲食人は、意外と少ないですよね。でも今後は垣根を取り払って、食のサプライチェーン全体で産業課題に取り組んでいかなくてはならない。それには人間関係が大切なので、生産者と直接コミュニケーションを取ることがますます重要になってくると思います」

愛される商品づくりはお客様の声から

江藤氏「お客様が求めていることを知るには、製造ばかりでなく店頭に立ってリアルな声を聞くのが一番です。「今度はレモンタルトを作ってよ」などとお声がけをいただくと、背景にある無数のニーズが想像できます。その声をスタッフにもきちんと共有するよう心がけています」

狩野氏「愛される商品を作るためには、現場で声を聞くことは大事ですね。以前、2年ほど現場に出なかった時期があるのですが、どんどんお客様と離れていってしまう感覚がありました。できたものをただ出すのではなく、お客様の声から商品を作るマーケットインの発想が必要だと思います」

濃いファンを作って発信してもらうことが大事

江藤氏「個人としてはInstagramで発信していますが、SNSだけに頼らず、実際に足を運んで生産者の声を拾うことも重要だと考えています。先日も北海道の日高町で、80歳のおじいちゃんが作った食用のほおずきを見つけました。地方の魅力的な食材を東京に持ち帰って、たくさん使わせていただくのも発信ですし、地方のお手伝いをさせていただく中で、地元の高校生と一緒に取り組む様子を地元のテレビに取り上げてもらうこともあります。これもひとつの発信です。ほかにも鹿児島や北海道の旅館でオリジナルのお土産を開発したりしています。今後も地方創生の観点から、日本全国が盛り上がるコンテンツを発信していきたいですね」

狩野氏「先ほどの商品開発とも繋がりますが、消費者と共に作っていく商品は魅力的です。たとえ僕たちにそこまで発信力がなかったとしても、消費者が発信して、つなげてくれる。地方創生に際しても、フォロワー数というよりは濃いファンを作ることが重要だと思います」

フード業界が手を取り合い、大きく発展するために

FOODCROSS conference 2022のトークセッションイベントでは、外食に関わるもの同士がつながり、共に発展していく方法を議論した。テクノロジーの活用やダイバーシティの推進、生産者との関わりなど、時代に合わせて変化していくフード業界。今後も“つながり”を大切に、さまざまな取り組みで業界を盛り上げていきたい。

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