食品卸のDXにつながるアナログ受注の改善事例まとめ

卸・メーカー2022.02.16更新:2024.03.28

食品卸のDXにつながるアナログ受注の改善事例まとめ

2022.02.16更新:2024.03.28

食品卸のDXにつながるアナログ受注の改善事例まとめ

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大手企業ではAIやIoT、ロボットなどを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが推進されている。一方で中小企業においても、ITツールの導入や社内システムの改善によってDXに踏み込む企業は多い。 

飲食店や小売店へ食材を配送する食品卸の場合、具体的にどんなDXに着手できるのか、どういったメリットや成功事例があるのか。今回は、中小の食品卸ができるDX事例について解説していく。

目次

食品卸がDXを推進すべき理由

以前から食品業界では、人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小、2024年問題・2030年問題による人材不足などが課題として挙げられる。その解決策の1つとして、デジタル技術を用いることで生産性の向上や新しいサービスの創出、ビジネスモデルの変革をもたらすDX化が求められている。 

ITツールの活用によりこれまで人員が担っていた業務の一部を処理できれば、足りない人員を補うことができる。業務の効率化やコスト削減などを目指してAIを用いた需要予測や発注の最適化に向けたシステム構築をするなど、本格的にDXへ乗り出している大手食品卸企業もある。

また経済産業省もDXを推奨しており、経営者が押さえるべき事項を明確にしたガイドライン「産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進」なども策定している。今後のDX導入に向けて参考にしておきたい。

食品卸業界が抱える課題

古いシステム・管理体制からの改善

食品卸の中には、これまで利用していた販売管理システムや在庫管理システムの老朽化が進んでいるケースも少なくない。特に自社向けに構築したシステムを運用しているケースだと、担当者の退職などで適切に管理できる人材が不足し、複雑化やブラックボックス化に繋がる。

また、社内にシステムが多数存在するなどで複雑化すると、データの集計に多大な手間が掛かる、取り扱っている情報を把握しきれないなどの問題も生まれてしまう。こうした課題は、社内システムの統合やデータの自動連携など、一元管理することが望ましい。1つのツールですべての情報を運用していれば、パソコン上にデータが散らばることもなく、引き出したい情報をすぐさま出力しやすくなる。近年のITツールには、こうした一元管理できるものも多数存在しており、社内システムの移行を検討するメリットは大きいだろう。

受注ミスによる再配達・請求金額違いの削減

食品卸は、メーカーや生産者の代わりに商品を消費地の飲食店や小売店へ届けるという、流通の中間地点にあたる。そのため、仕入先や取引先は飲食店や老健施設など、業種や業態、規模が多岐にわたり、取扱商品も多くなる傾向にある。

しかし、例えば電話で受注する際には、口頭でのやりとりとなるため伝達ミスが起こることもある。FAXの場合だと、商品名の一部が省略されている、規格や入数が書かれてない、印字のかすれで文字が読み取りづらいなどのケースも挙げられる。そうしたトラブルが発生すると、納品先との連絡や確認作業の手間が発生し、企業の生産性が低下する。

その対策のひとつに、受発注システムなどITを導入することで、業務の改善を図れる。販売管理システムと受注データを連携できれば、電話での受付やFAX・紙伝票からの転記作業がなくなる。取引履歴も確認しやすくなり、請求金額の間違いも防げるだろう。メーカー側へ発注をかける際にも、商品登録により入力作業を自動化し、よりスピーディな納品を実現することが可能だ。

またPCやスマホから操作できるものであれば、自宅や外出先で受発注データの修正や確認ができるため、従業員のテレワーク導入にも繋がる。

食品卸のDX事例3選

中小企業の場合、金銭面や技術面などの問題により、大手食品卸のような本格的なDX化がなかなか難しく導入が遅れがちになっているケースも多い。そこでDXの足掛かりとなる取り組みとして、食品卸向けの受発注システムの導入を検討するところから始めるのも1つの手だ。

受発注システムは、これまで電話やFAXで行っていた業務をデジタル化し、正確で迅速な流通を実現できるツールだ。PCやスマホ、タブレットなどの様々な端末から操作するものであれば、時間や場所を問わず簡単に受注や発注業務を行えるのが大きなメリットだ。実際に受注システムを導入した食品卸の成功事例について見ていこう。

LINE経由の受注を管理する『TANOMU』導入で処理時間が半分に~肉の山形屋

『肉の山形屋』は、福岡市にある100年以上の歴史を持つ老舗の食肉卸業者だ。同社では、取引先に応じてとんかつ用やミンチ、しゃぶしゃぶ用、ステーキ用などのカット加工や細かい重量に対応しており、商品は1,000種類以上にも及ぶ。そうした膨大な商品の受注管理には、大きな負担がかかる。FAXや電話、LINEからの注文を基幹システムへ転記し、間違いがないか確認するため、1日1時間以上も費やしていた。

しかし受発注システム『BtoBプラットフォーム 受発注』の導入で、受注内容のCSV出力による取り込みや、画面上で取引履歴を確認できるようになり、受注業務の時間を半分以上も削減することに成功している。得意先の飲食店がLINE経由で発注できる『TANOMU』を導入したことで、担当営業の受注処理作業も減ったという。

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受注の約7割をデジタル化。1日の処理時間は90分から30分に~大和物産

1946年に奈良県で創業された『大和物産』は、業務用小麦粉の取扱量が県内トップクラスを誇る総合食品商社だ。全受注のうちFAXが7割、電話が2割で、注文内容の確認に時間がかかっていた。

『TANOMU』導入後、月に約1,000件の受注のうち、700件は『TANOMU』で自動処理が可能に。以前は1件伝票に10分かかっていたが、受注が入ってクリックしてCSVに落とし込む、2分以内で対応できるようになった。

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スマホ受注で1日4時間分の業務を削減。早朝出勤や残業が解消~中村角

『中村角』は広島市に本社を置く総合食品卸だ。取引先が増えるにつれて、FAXや電話、営業担当への個別連絡など受注業務の負担に悩んでいた。

Web経由の受発注システム『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』と、LINEを使った受発注システム『TANOMU』を導入。1日4時間分の受注業務を削減でき、残業も減った。

中村角では 、受注業務のDXは会社全体で真剣に考え、全員で取り組むべき課題としている。営業任せにせず、事務員も一丸となって推進していくことでDXをより進めることができている。

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DXで今後を見据えた食品卸の生存戦略

2024年問題、2030年問題など人手不足の加速が懸念されるため、これまで以上に戦略的な施策を打ち出す必要がある。多くの食品卸の中小企業で課題となっているアナログ業務をなくし生産性を改善するためにも、DXを推し進めるのが良いといえるだろう。

労力やコストはかかるが、食品卸がDXに取り組むメリットは多い。まずは目的を明確にし、自社に見合った内容を検討していくことが必要となる。従業員の生産性を向上し企業の利益向上に繋げるためにも、業務の見直しを行い、ITツールの導入を検討してみよう。

[参考]
農林水産省「平成23年度食料・農業・農村白書(2)食品産業を取り巻く状況の変化とその対応」 

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