飲食店で活かせるおすすめマーケティング手法5選!繁盛店を生み出すための分析方法

飲食・宿泊2024.01.16

飲食店で活かせるおすすめマーケティング手法5選!繁盛店を生み出すための分析方法

2024.01.16

飲食店で活かせるおすすめマーケティング手法5選!繁盛店を生み出すための分析方法

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繁盛する飲食店を経営するためには、計画性を持って経営戦略を練ることが欠かせない。しかしどんな施策を実施すればいいのか、どういった調査が必要になるかは運営する店舗の業態などで変わってくる。

そこで集客や利益アップにつながる対策の1つとして、様々なマーケティング手法の活用が挙げられる。今回はその代表的な方法を5つ選出して詳しく解説していく。

「自店舗の改善につなげたい」「時代に合わせた施策を打ち出したい」という方はぜひとも参考にしてほしい。

目次

飲食店に必要なマーケティング活動とは?

飲食店で料理の美味しさや接客サービスの質を高めることは、売上を伸ばすために必要不可欠な要素である。しかし来店したお客様にしかお店の良さが知られていなければ新規の来店を増やすことに苦戦するだろう。加えて、自店舗の強みと顧客の求めているものがマッチしていないのであれば、せっかくの良さを活かすことが難しい。

特に近年では、コロナ禍を経て消費者行動の変化や原材料の高騰などの状況があり、飲食業界は厳しい状況が続いている。

変わり続ける飲食業界で、「どんな人がお客様となりえるのか」「お客様が何を求めているのか」を把握し、「その顧客ニーズに対してどんなサービスを提供するのか」を考え、取り組むことこそがマーケティング活動と言えるのだ。

マーケティングにおいては、ターゲットとなる顧客層や自店舗の特徴・強みを分析することから始まる。具体的にどんなマーケティング手法があるのか見ていこう。

飲食店で押さえるべきマーケティング手法5選

ここでは、飲食店で活用できるマーケティング手法5選を紹介していく。自店舗にはなにが足りないのか、どうすれば業績を伸ばせるのか検討しつつ、コンセプトにマッチした方法を模索してほしい。

環境を基に考える「PEST分析」

PEST分析とは、自店舗を取り巻く外部の環境が、どのような影響を与えるかを予測するためのフレームワークとなる。主に政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の外部要因から分析を行う。

4つの環境要因については、以下の通りだ。

Political:政治
政治的な要因としては、法改正による規制の強化や緩和、税制の改正などが挙げられる。近年でも、令和3年に食品衛生法の改正が施行されたことで、全ての食品事業者はHACCPに沿った衛生管理が義務付けられた。
Economy:経済
経済的な要因は、自店舗の財政状況などではなく、あくまで国の財務状況やインフレ・デフレなどの景気の変動が挙げられる。主に株価や為替相場、金利や失業率、経済成長率などだ。
Society:社会
社会の要因として挙げられるのは、主に消費者のライフスタイルに関する事柄となる。具体的には、人口動態や世帯数、教育水準や世論の変化、消費者の健康に対する意識などだ。特に日本では、晩婚化や少子高齢化などが代表的な例としてピックアップされることが多いだろう。
Technology:技術
技術的な要因としては、時代が進んでいくことで開発される新たな技術や科学の発展などがどのような影響を与えるかを把握する。飲食業界でも、受発注業務を管理システムへ移行、ホールスタッフの代わりになる配膳ロボットなどの技術がすでに導入されつつある。

特に飲食店は、社会の情勢の変化で大きな影響を受ける業界である。例えば、冒頭で述べたようにコロナ禍や物価高などでも集客や売上に大きく直結することから、外部要因の重要性が伺える。

こうした自店舗へ間接的に影響する外部環境のことを、「マクロ環境」と呼ぶ。一方で市場規模や競争状況、顧客動向などのお店に直接関わる周辺環境のことを「ミクロ環境」と言う。

PEST分析では、まず「マクロ環境」を調べることで、世間の顧客ニーズをあぶり出すことが目的となる。

PEST分析の飲食店での活用例

Political:政治
・緊急事態宣言やまん延防止措置の発令
・営業時間の時短要請、酒類の提供時間の制限
・コロナ給付金の制定
・GoToイートやGoToトラベルなどの実施
Economy:経済
・観光や飲食業界の需要減少
・メニューのデリバリー、テイクアウトサービス需要の増加
Society:社会
・巣篭もり需要や外出自粛の傾向
・集団飲み会の減少、少人客の増加
・オンライン飲み会やリモートワークの普及
・感染症対策への意識向上
Technology:技術
・タッチパネルやセルフレジなどのIT技術
・QR決済や配膳ロボットなどの非接触テクノロジー
・デリバリーサービス向けアプリ
・ECサイトやSNSを活用した事業拡大

コロナ禍を参考にしているが、このようにした分析内容から自店舗で活用できる要素を取捨選択する。ECサイトを開設しネット通販を始める、テイクアウトやデリバリーサービスの導入、店内の入念な清掃やアルコール消毒の徹底などによるコロナ対策など様々だ。

市場を把握し顧客ターゲットを絞り込む「STP分析」

STP分析は、市場を細分化することで自社に最適な顧客を見つけ、より効果的なマーケティングを実施する手法となる。主に「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の3つから分析を行う。

Segmentation:セグメンテーション
セグメンテーション(集団などの区分を分けること)では、対象となる市場や顧客などの情報を細分化し、市場の全体像を把握する。
Targeting:ターゲティング
細分化したセグメントをもとに、適切な市場規模なのか成長性はあるかなどを考慮し、ターゲットとなる顧客層を選定する。
Positioning:ポジショニング
ターゲット層の顧客に対して、自店舗でどんなサービスを提供するのかどのような方針にするのか決定する。自社の利点や特徴を顧客に伝えることで、他社との差別化を図ることが重要だ。

STP分析の飲食店での活用例

例えば飲食店の場合、以下のような分析を行うことで、効果的なマーケティング施策を立案することが可能となる。

Segmentation:セグメンテーション
・職業:サラリーマンやOL、主婦や学生、外国人観光客など
・年齢:10~20代の若年層、30~40代の中年層、50代以上の高齢者
・性別:男性や女性、その他
・顧客ニーズ:グルメ志向やヘルシー志向、コスパ重視や飲み会需要など
Targeting:ターゲティング
・若年層や学生:SNSを活用した広告キャンペーンの実施、クーポンの配布
・女性客やヘルシー志向:低カロリーメニューの充実
・外国人観光客:メニュー表の多言語化、翻訳アプリの活用、原材料の表記
Positioning:ポジショニング
・コスパ重視向けの顧客に低価格でボリュームのあるメニュー提供
・お昼に来店するオフィスワーカーや主婦向けにランチメニューの充実
・個人客向けに1人でも快適に過ごせる店内空間の構築、1人座席の数を増やす

顧客・競合・自社の環境を考える「3C分析」

3C分析とは、企業が直面する3つの要素「顧客、市場(Customer)」「競合(Competior)」「自社(Company)」を分析し、成功するための要因を見出す手法となる。

Customer:顧客、市場
顧客の分析では、「業界の市場規模や推移」「顧客のニーズや消費行動」などの要因を明確化していく。そのために必要な手法として挙げられるのが、「マクロ環境」や「ミクロ環境」の分析となる。前述したPEST分析などを活用することで、より深く掘り下げられるはずだ。
Competior:競合
競合の分析では、主に周辺の同業他社に関する特徴や強み、経営状況や繁盛する仕組みを把握することが目的となる。例えば、競合店の売上や利益率、来店客数や顧客単価などの数値化されたデータを検証することが有効だ。他にも、顧客からの意見や評価、業界トレンドなどの調査を行う。
Company:自社
上記の分析を元に、自社の様々な観点を分析することも必要となる。主に売上高や市場シェア、販売ルートや技術力、経済価値や希少性などのできる限りの要素を挙げておきたい。

周囲の競合店舗や市場の現状を把握することは、自社に足りない弱みや他社が持っていない強みを発見しやすい。こうした要因を分析することで、自店舗が成功するためのマーケティング戦略を立てられるからだ。

3C分析の飲食店での活用例

自社を含めた周囲の環境や市場を知ることは、繁盛する店舗を作る上で欠かせない。特に飲食店の場合、業態によって顧客が求めるニーズや店舗の売り方も大きく変わる。

例えば、牛丼チェーン店のような店舗だと以下のような分析を行う。

Customer:顧客、市場
・牛丼チェーン店はリーズナブルな価格と迅速な料理の提供というイメージを確立
・大手3社がほとんどのシェアを獲得
・客層の割合は男性が多くを占める
・低価格で手軽に食事を済ませたいサラリーマンや学生が多い
Competior:競合
・素早い提供速度と低価格を実現したメニューで薄利多売の傾向、客席の回転率を重視
・安定した品質の食事を提供
・テレビCMなどのマス広告を展開
・都心部から地方まで幅広く進出
Company:自社
・他社にはない独自のメニュー展開
・低価格志向よりも厳選された食材を使用した高級感が強み
・テイクアウトだけでなくデリバリーサービスも導入
・おしゃれな店内で女性客も利用しやすい雰囲気づくり

内部・外部の強み弱みを捉える「SWOT分析」

SWOT分析は、自社の飲食店や商品の内部環境と外部環境をリストアップして分析する手法となる。主に内部環境とは自社の「強み」「弱み」のことで、外部環境は「機会」「脅威」の4つの項目が挙げられる。

Strength:強み
強みは、自社の経営資源(ヒト、モノ、カネ、ノウハウなど)においてポジティブとなる要因のことを指している。店舗の長所や推したいところを洗い出していく。なぜ顧客が自店舗に訪れてくれるのかを深掘りすると、より明確に強みを見出せる。
Weakness:弱み
一方で弱みは、自社のネガティブな要因となるもの。競合他社と比べてどんな点で劣っているのかや負けているのか、顧客が他社を選ぶ理由などを検討する。
Opportunity:機会
機会は、会社や従業員を取り巻く環境のことで、店舗でコントロールできない外部的な要因を指している。市場や社会情勢の変化などで、ビジネスチャンスとなるポジティブなものを検討する。
Threat:脅威
そして脅威は、機会の反対にネガティブとなる外部環境の要因のことである。情勢の変化により市場規模が縮小する、競争が激化するものがあればピックアップしておきたい。

SWOT分析の飲食店での活用例

SWOT分析は、上記で紹介したPEST分析や3C分析などで洗い出した情報を盛り込むことで、より詳細な分析を行いやすい。

例えば外部環境である機会や脅威は、PEST分析によって抽出できる。内部環境における強みや弱みは、3C分析でピックアップした項目を盛り込んでいくことなどだ。具体例としては、以下のような要素が挙げられる。

Strength:強み
・ヘルシーな食材や低カロリーメニューの充実
・SNS映えする色鮮やかな料理
・デリバリーサービスの導入による販売ルートの確保
・豊富な座席数とパーテーションの設置による感染対策
Weakness:弱み
・人手不足による従業員の負担増
・原材料のコストが高い
・店舗のブランド力や認知度が低い
Opportunity:機会
・健康志向や食の安全に関する意識の高まり
・デリバリーサービスやECサイトなどの需要拡大
・SNSの普及
Threat:脅威
・新型コロナやインフルエンザの拡大による外出自粛
・物価高による原材料の高騰、メニュー価格上昇で個人消費の落ち込み
・少子高齢化による労働人口の減少

実際の施策に落とし込むためにはクロスSWOT分析

そしてSWOT分析の結果から、具体的なマーケティング戦略を実施するにはクロスSWOT分析を実施したい。こちらは上記で挙げた「強み」「弱み」「機会」「脅威」を掛け合わせることで、実際の対策に落とし込む手法だ。

例えばコロナ禍を例に「強み×脅威」を掛け合わせてみると、座席数を減らして席同士の間隔を広めたり1人用のカウンター席を増やしたりすることで、感染対策をより強化して集客につなげられる。

他にも「強み×機会」「弱み×機会」「弱み×脅威」などの組み合わせでそれぞれの戦略を立てることが大切だ。

自社商品・サービスの戦略を立案する「4P分析」

4P分析は、「Product:製品」「Price:価格」「Place:土地」「Promotion:販促」と4つの「P」について分析し、実際のマーケティング戦略を立案するための手法となる。

Product:製品
自社で提供するメニューやサービスの内容について検討する。具体的には、料理の品質や味、盛り付けや調理工程などの多方面から分析することが重要だ。
Price:価格
提供するメニューやサービスの価格について検討する。単純に値段が高いか低いかだけでなく、原料コストや顧客の相場観、競合他社との比較、ブランド価値なども検討することが重要だ。
Place:立地、流通
店舗の立地や販売ルートなどについて検討する。飲食店において店舗立地や周辺環境は、集客に直結する重要な要素となるため慎重に考えよう。新規出店を考えているのであれば、ターゲットとする客層の多い場所を選定したいところだ。
Promotion:広告、販促
店舗やメニュー、サービスなどの魅力を伝えるには、より効果的なプロモーション方法を検討することが必要不可欠だ。近年ではマスメディアだけでなく、SNSの普及によりソーシャルメディアを活用した宣伝方法も多い。

4P分析の飲食店での活用例

まずは顧客のニーズを把握し、それに見合ったサービスを提供するためにも、STP分析によって消費者が求めるものと自社の方向性を合致させた基本戦略が必要になってくる。

その上で4P分析では、「製品」の改善を行うのか「価格」で勝負するのか、「広告、販促」に力を入れるのかを検討しなければならない。

Product:製品
・看板メニューに人気の高い料理を選定
・ランチやディナー限定のセットメニューを追加
・サイドメニューやドリンクの追加
Price:価格
・看板メニューの値段を500円などのワンコイン価格に設定
・原価率の高いサイドメニューをセット商品として低価格で提供
・配膳ロボットの導入などで人件費を抑え、競合他社よりも安い価格設定を実現
Place:立地、流通
・駅前などの人通りが多い場所に店舗を構える
・ウーバーイーツや出前館などの宅配サービスを導入
・飲み会需要に対応できる宴会場などの増築
Promotion:広告、販促
・X(旧Twitter)やInstagramなどで企業アカウントの開設・広告展開
・店舗アプリを作成し、予約サービスやクーポンの定期的な配布を実施

4P分析は具体的な施策を行う際に活用できるが、いきなり上記の4つの要素から構想を練ると、飲食店経営者の「こういう店舗を作りたい」という気持ちが主軸となってしまうこともあるため注意しよう。

マーケティングは飲食店を知ってもらう手段の1つ

数多くの分析方法の中から、自社にマッチしたマーケティング手法を実施するには、客観的な分析や地道な調査が求められる。しかし有効活用できれば、時代や顧客ニーズの変化に合わせて飲食店の売上増加に繋がる。

そして自店舗の売りを活かすためには、提供するメニューやサービスに対して興味関心を持ってくれそうな消費者に伝えることが重要になる。

まずはターゲットとなる顧客層や自店舗における料理や接客、お店の雰囲気といったコンセプトを定め、揺るぎない土台を構築した上でマーケティング施策を実施していこう。

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