■酒場たかや
旨肴七輪炙(うまあてしちりんあぶり)(600円)
東京都千代田区神田三崎町2-2-13 八千代ビル1F
「酒場たかや」では、日替わりで旬の野菜と魚介を七輪であぶるお通しを提供している。刺身として出すものと同じ魚介を使うことで、鮮度のアピールにもなると語る。
「お通しは、日本酒のあてに合うものを意識しています。七輪で提供するのは、気分を和食に切り替えていただくスイッチとしているのです。また、お客様とのコミュニケーションツールとしても活躍します。食材の説明だけでなく、あぶっていただく際のアドバイスなどで店員とお客様の距離感が近づき会話も弾んでいますね」(酒場たかや)
■食楽たわら
小松菜といかげそのナムルとブロッコリとアスパラのお浸し(300円)
東京都目黒区自由が丘1-29-7 自由が丘横丁
“本格的な和食をリーズナブルに”というコンセプトの「食楽たわら」では、日替わりで2皿一組のお通しを出している。
「お通しは、日本酒に合う2品を考えてお出ししています。仕込み時間は、長いときは半日くらいかけることもあります。チャージ代という意識はなく、提供する料理に期待を持っていただくためのサービスとして捉えています。たとえば本マグロの刺身なども、お通しとしてお出しすることもあります。原価は高くなりますが、日替わりならではのお楽しみで、お客様にも喜んでいただけています」(食楽たわら)
店の顔として、満足されるお通しを
店側の都合だけでお通しを提供していては、お客は絶対に満足しないと小林氏は語る。
「お客様が本当に求めているものかどうかを考えて作っていれば、喜ばれるお通しができるでしょう。形だけで出すのではなく、自店が本当に出したい料理なのか、お店の顔なのかと考えれば、出来合いの品で間に合わせるようなことにはならないはずです」(小林氏)
紹介した店舗はいずれも、お通しを「店の顔」としてとらえ、それぞれ工夫をこらしながら、お客を楽しませることを心がけていた。お客から「お通しは要りません」と言われる頻度が高い店は、今一度、飲食の楽しみのひとつとして見直してみてはどうか。
取材協力:「飲食人大学」(株式会社RETOWN)小林真也氏