国内・海外合わせ14ヶ所の工場で加工食品を生産
【Q】冷凍食品のパイオニアとして、市場をリードされています。
品質情報センター所長 伊藤 昭雄氏(以下 伊藤氏):ニチレイグループは戦後の1945年に設立され、主力の冷凍食品を扱う加工食品事業と低温物流事業を中心に水産・畜産事業、バイオサイエンス事業、不動産事業などを展開しています。
グループの年間売上高は約6,000億円です。我々ニチレイフーズは冷凍食品と一部のレトルト食品を製造・販売し、2021年度の売上高は約2,400億円、冷凍食品メーカーの売上ランキング1位となっています。国内には10ヶ所に工場があり、海外では中国、タイ、アメリカと計4つの工場が稼働しています。
ブランドステートメントは「ほんの少しの、その差にこだわる。」で、「本格炒め炒飯®」に代表される米飯類や、「特から®」、春巻き、ハンバーグなどのおかず類、今川などのおやつ類に力を入れて開発・発売しております。家庭用だけでなく業務用の調理冷凍食品も豊富に取りそろえ、売上高では家庭用よりも業務用がやや多い割合となっています。
年間13,000件の規格書に、13名で対応
【Q】お二人が所属する「品質情報センター」では、どのような業務を行っているのですか。
伊藤氏:主にニチレイフーズの規格書対応を行っています。商品情報を基幹システムに入力するインプットチームと、その商品情報を規格書の形でお客様に提供するアウトプットチームに分かれ、合計21名が従事しています。
品質情報センター(九州) マネージャー 梅津 曜子氏(以下 梅津氏):お取引先様からは、営業経由で規格書の提出依頼が来ますので、私はその受付業務を担当しています。営業からの依頼を受け、品質情報センター内で担当者に作成を振り分けたり、実際に規格書を作成・確認・提出したりする業務が中心です。
【Q】規格書対応のフローについて教えてください。
伊藤氏:規格書には大きく分けて2つ、原料メーカーから回収する原料規格書と、卸企業様へ提出する自社製品の製品規格書の2種類があり、自社製品の規格書のみでも年間約13,000件を超える件数に対応しております。
卸企業様に提出する製品規格書に関しては、約13,000件のうち『BtoBプラットフォーム規格書』で対応している件数は年間約3,000件となります。『BtoBプラットフォーム規格書』のベーシック対応については、基幹システムと『BtoBプラットフォーム規格書』をRPAで連携させ、半自動化したところ、規格書対応にかかる時間は大幅に短縮できました。
更に、これまでは実際に規格書の依頼から提出するまでには、社内で多くの時間をかけて対応していました。まずは卸企業様から営業に依頼があり、営業担当が我々品質情報センターに対応を依頼し、我々は作成した規格書を営業に回答し、営業が卸企業様に送り届けるというフローでした。
営業担当を介すことで連絡漏れや対応遅れが発生するリスクもありますし、卸企業様にとっても納期までに規格書が出てきたかどうかを確認する手間がかかります。このフローを効率化できないかということと、食品業界の規格書の標準化、シングルインプットでPITSの考えに近いという事もあり、規格書情報をWeb公開して取引先様が情報取得できる『食品情報DB』を導入することにしたのです。
システムでの提出数を50%削減、依頼ミスもゼロに
【Q】『食品情報DB』の導入効果はいかがですか。
伊藤氏:まずは具体的な効果を測るため、お取引先様の中でも利用頻度の高い1社との間で試験導入をしました。その結果、取引先の卸企業様が規格書を自由に取得できる状態となり、これまで規格書対応にかかっていた煩わしい過程をすべて無くせることが分かったのです。業務フローの削減は、自社の営業だけでなく卸企業様にとっても大きなメリットとなるため、取引先全体に広げることにしました。
梅津氏:NB(ナショナルブランド)の業務用商品の規格書736点をすべて登録し、システムでの提出数を50%ほど削減できています。営業担当者からも「社内間での依頼ミスがなくなった」「規格書対応がなくなり、楽になった」との声が届いています。
得意先からも「常に最新の情報を取れるため、非常に助かっている」と好評です。規格書情報を取得できるだけでなく、直接確認できるため、給食関連の得意先におかれましては、栄養士さんたちからも便利だというお声をいただいています。何より私たち品質情報センターの業務が一部定型化できたことで、特徴のある規格書を求められるお客様への対応など、定型化できない業務にかける時間を増やせたのが大きいです。
業務の「誰でも化」を目指し、標準化を進めたい
【Q】今後の展望を教えてください。
伊藤:『BtoBプラットフォーム規格書』と『食品情報DB』の活用で業務効率化ができましたが、今後データベース同士の連携がより重要になっていくと思います。たとえば現状だと、規格書の基幹システムに入っている情報の正確性を書き写してチェックしなければならないため、データ連携によって確かな情報が自動的に出力される仕組みが理想です。
これからの社会は労働人口が減少し、働く人の年齢も上がっていきます。その際、我々には「仕事をどこまで分かりやすくできるか」がますます求められるようになるでしょう。我々が取り組みたいのは、デジタル化を通じた業務の標準化、つまり「誰でも化」です。定型的で誰でも対応できるような仕事にする。そうすることで、難しい専門的な仕事に社員が特化できるようになります。
規格書の仕事は奥が深く、やってみると意外と難しいのです。今はまだ定型業務の方が少ないため、『BtoBプラットフォーム規格書』のベーシック対応以外についても、DXを通した「誰でも化」を目指していきたいと考えています。
株式会社ニチレイフーズ
創業:2005年1月5日(株式会社ニチレイの持株会社体制への移行に伴い設立)
本社所在地:東京都中央区築地6丁目19番20号 ニチレイ東銀座ビル
事業内容:冷凍食品・レトルト食品・缶詰・包装氷等の製造・加工並びにこれらの製品の販売
公式ホームページ:https://www.nichireifoods.co.jp/