企画から工場移管まで。開発担当者が担う新商品づくり
アイス専業メーカーの赤城乳業が年間に発売する新商品の数は、想像以上に多い。「ガリガリ君」以外にも「ガツン、と」「旨ミルク」など様々なブランドで、年間100後半から200種類の新商品を作っているという。
そして驚くべきは、新商品を生み出す開発担当部署の人数だ。新商品200種に対し、開発担当者は15名程度。ひとりが1年間に受け持つ商品数としては多いと言えよう。さらに開発担当者の業務範囲にも、赤城乳業らしさが表れていた。
「正直なところ、社員数が少ないので若手も含めなければやっていけないという事情があります。ただ、その中で他のメーカーさんとの違いがあるとすれば、アイデア作りから工場で大量生産するまでの工程を、開発担当が一貫して受け持つことでしょうか」(新井氏)
メーカーが新商品を開発・生産する際は、マーケティング部門からのデータを元に商品企画部門が企画。研究部門と連携しながら開発部門が商品を具体化し、工場の現場担当者へ引き渡す、というように分業制を敷くことが多い。
だが、赤城乳業ではこの流れをひとりの開発担当が一貫して管理するのだ。原料や資材を発注・開発する開発購買チーム、デザインチーム、現状の課題や将来へ向けた研究を担当するチームのメンバーと的確な連携が求められる。若手であっても、同様にこなさなければならないという。
「この体制には幾つかのメリットがあります。まず、開発スケジュールを短くできる点。さらに、生産現場とのコミュニケーションが取りやすい点。もうひとつ、特に若手の開発担当者に言えることとして、新商品のアイデアを考えた熱量を損なわず商品化まで持っていける点です」(新井氏)
「開発を長年経験すると、企画段階で『これは工場で作れないだろう』と思うことがあります。その点、若手はそれがピンとこないからこそ、突拍子もないアイデアを実現しようとする。若手の開発者が企画から工場移管までを担当することで、お客様に伝えたかった商品の魅力やポイントをブレさせることなく届けられるのです」(岡本氏)