一番のポイントはその提供方法にある。プラスティック製のタワーに盛りつけることで、来店客に見た目でインパクトを与え、イベント感を演出できる。飲食店やカラオケ業態、ビアホールなど、パーティー要素のあるお店にはぴったりだ。しかも調理時間はわずか1分というから、忙しい厨房にはうれしい限り。
今回は発売前に都内の飲食店で行ったトライアルの評判も含め、ハインツのマーケティング本部・網谷英之さんにお話を聞いた。
きっかけはオニオンリングタワーの成功
洋風ソース系商品の大手として認知度の高いハインツだが、近年はポテトフライなどのスナック系商品の開発にも積極的に取り組んでいる。チーズリングの誕生は、同社が2年前に発売したオニオンリングの成功が密接にかかわっている。
「“世界で愛されるカジュアルグルメ”というコンセプトで、『ザ・グローバル ディッシュ』というブランドを展開しており、スカイツリーが開業するタイミングに合わせて、プラスティック製のタワーにオニオンリングを通してお客様にご提供する『オニオンリングタワー』というメニューを提案しました。こちらがとても好評だったため、他にもタワーを使ってインパクトのある商品が作れないかと。それで幅広い世代に愛されているチーズを使ってみようということになり、チーズリングの開発が始まりました」
揚げ時間1分という個性
とはいえ、リング状のチーズフライというありそうでなかった商品の開発は、オニオンリングのようにスムーズにはいかなかった。
「チーズはそもそも揚げるものではないですし、試作段階ではチーズが衣から漏れてきてしまうということがありました。漏れを防ごうとチーズを固くしすぎると、今度は食べづらくなってしまい、チーズに求められるなめらかな舌触りが損なわれてしまう。そのバランスは非常に難しかったですね」
試行錯誤を繰り返し、ようやくひと口サイズのチーズリングが完成した。
「チーズリングは180℃の油でたったの1分で調理が完了します。揚げ物はどうしても揚げ時間が3分、4分とかかってしまうことが多いのですが、この時短は忙しい飲食店さんにとってはメリットになるだろうと思いました」
テスト導入した飲食店から好評の声「ファーストオーダーに最適」
実際にハインツでは、発売前に都内の飲食店でトライアルとしてチーズリングを導入してもらい、その評価をもらっているが、そこでもやはり調理時間の短さは高く評価されているという。
「弊社のオニオンリングを使っていただいている都内のアイリッシュパブにチーズリングのトライアルをお願いしたのですが、そのお店からは『チーズリングの調理時間は1分、オニオンリングは2分半、その違いは大きい』『オーダーが入って、お客様をお待たせせずにすぐ出せる』といったお言葉をいただいております」