包装資材からポリ袋まで、約10万アイテムを取り扱う専門商社
【Q】事業内容について教えてください。
営業統括本部 特販営業部 副部長 冠野 哲宏氏(以下 冠野氏):当社は1920年に包装材料の卸問屋として創業しました。現在は従業員約800名のグループ企業となり、札幌から福岡まで全国16拠点に営業所を構えています。
主な取扱商品は紙袋、包装紙、ポリ袋、食品容器、梱包資材、文具事務用品など自社開発商品を含めておよそ10万点以上、約2,000社から仕入れる豊富な品揃えが強みです。全国営業所管轄の得意先様は5,000社以上にのぼり、特注品を含めた幅広い商品を販売しています。お客様からは「どこに聞いても取扱いがなかったものが、シモジマさんにはありました」と感謝されることも多く、そうした声が営業現場のモチベーションになっています。
当社には、社員が皆でアイデアを出し合う企業風土があり、年に一度、役員から派遣社員まで全員参加の商品企画コンテストがあるほどです。現場やお客様の声を商品開発に生かすのが得意な会社だと思います。販売チャネルはECに加え直営店舗が42店舗、その他には「パッケージプラザ」という名称でフランチャイズチェーンも展開しており、グループ加盟店は約220店舗になりました。
【Q】どのような業務を行っていますか。
冠野氏:営業部には16拠点の営業所があり、それぞれの得意先様のご要望に合わせた商材を提案しております。私が在籍する特販営業部は、量販店、飲食店、食材卸、メーカーなどに向けた直接販売を行う部門で、注文に関しては全て業務課の方でまとめて対応しています。
FAX受注では時間がかかる上にミスも発生しがち
【Q】受注業務ではどんな課題がありましたか。
営業統括本部 東京支社 東京業務課 次長 新藤 大介氏(以下 新藤氏):当社ではこれまで、FAXによる受注が全体の約30%を占め、手作業での受注データ入力にかなりの作業時間をかけていました。商品1つひとつに商品コードが振られているのですが、商品コードの記載がなく商品名のみの発注書では、まずは受注担当者がカタログから商品コードを探す作業が必要です。
さらに基幹システムに入力する際には1束が100枚入りの商品なら100枚など入力しやすく書き換え、今度はそれを入力担当者が基幹システムに入力して紙ベースでチェックリストを出力し、また別の担当者が注文書とチェックリストを照らし合わせてミスをチェック。間違いがあった場合は別の者が修正し、最終的にデータを確定します。コードの記入、入力、見直しと最低3人の人員が必要で、ミスやトラブルがあった場合はダブルチェックのためにさらなる人員が必要でした。
また当社ではポリ袋ひとつとっても多種多様な商品があり、1束100枚入りの商品を「1束」と書くお客様もいれば「100枚」と書く方もいます。そのために「束」と「枚」を間違えて手配してしまうなどのミスがあり、特にFAXの量が多い時期にはトラブルが発生しがちでした。
【Q】FAX発注書が残ってしまっていた理由は何でしょうか。
冠野氏:1番の要因は、フォーマットの問題です。WEB発注への切り替えやFAXの形式変更をすべての得意先様に求めるのは難しく、当社側で得意先書式に対応できるOCRを導入して対応する必要があったのです。また、実は15年ほど前にOCRのシステムを入れていましたが、当時は読み取り精度が悪く、決まったフォーマットでないと読み取ってくれませんでした。
当社では、もともとEDI比率80%を目指していましたが、『発注書AI-OCR(invox)』を入れる前の時点では70%。目標達成と業務効率化のためにも、再びOCRのシステムを導入すべく複数社で検討していました。『発注書AI-OCR(invox)』は、信頼のあるインフォマートのサービスで安心感がありましたし、サポート体制も万全。まさにこれが当社の課題を改善できる仕組みだと思い、トライアルを経てすぐに導入を決めました。すでに『BtoBプラットフォーム 受発注』を使用しており、基幹システムと連携済でしたので開発費用を抑えて導入できたのも良かったです。
【Q】導入する際に準備されたことはありますか。
新藤氏:まずは各部署のチームにリーダー役を置き、読み取りしやすいフォーマットでFAX送信いただいている得意先から処理していきました。1番のポイントは、受注担当者を限定せず全員にシステムを使ってもらうようにした点です。管理者IDを持っている社員しか使用できないようにしてしまうと、その人だけに業務や知識が偏ってしまい属人化に繋がるため、あえて全員で覚えるようにしたことでスピーディーに定着したと思います。
最初は抵抗感があった人も、実際に使いながら小さな成功体験を重ねて少しずつ慣れてもらいました。その中で1人ひとりに「自分にもできる」という意識改革が起き、スキルアップにもつながったと感じています。当社のさまざまな立場の社員が一丸となる社風も活きたのかもしれません。
受注処理にかかる時間と人的コストが半減
【Q】導入後の効果はいかがでしょうか。
新藤氏:現在では全体で月約3万枚のFAXのうち、4,000~5,000枚を『発注書AI-OCR(invox)』で基幹システムに取り込んでいます。『発注書AI-OCR(invox)』を使用したフローでは、発注書のFAXをアップロードして画面上で念のために確認。そこから当社の基幹システムに連携して再度確認し、データを確定するという流れです。手作業による入力が大幅に削減され、作業時間は半分に。これまで3名以上の人員が必要だったのが、実質1~2名でも対応できるようになりました。
OCR機能による読み取りのミスやエラーは現在、全体の1割未満です。そのエラーも基本的には手書きの発注書のもので、フォーマット化されているものであればほとんど読み取りのエラーは起こりません。最初はミスがあってもAIで学習して次回以降は正しく反映されるため非常に助かっています。
全員で使い方を覚えたことで、業務担当者から「このFAXはOCR処理できるのでは」という提案が頻繁に来るようになり、デジタル化に前向きな風潮を作ることができました。AIの学習効果を積極的に試す人も多く、EDI比率は導入前の70%から80%に向上。目標を前倒しで達成できる見込みです。自分たちの取り組みが数字として目に見えるのが、皆のモチベーションになっていると思います。
月間1万枚の処理を目指し、さらなる生産性向上を目指したい
【Q】今後の展望についてお聞かせください。
冠野氏:現在の月間処理数は約5,000枚ですが、読み取れるフォーマットを増やして月1万枚を目指しています。そうすれば1人当たりの生産性もさらに上がるでしょう。今後は適用するFAXのフォーマットを増やし、他の部門でも『発注書AI-OCR(invox)』を使ってみたいですね。
たとえば経理では、仕入先から届いた納品書を一部EDI連携していますが、まだまだEDI化できる余地があります。そうした部分もシステムを上手に活用してデータにまとめることで、全社でDXを進めていきたいですね。
株式会社シモジマ
株式会社シモジマ
創業:大正9年(1920年)
設立:昭和37年(1962年)4月26日
代表者:代表取締役社長 笠井 義彦
本社所在地:東京都台東区浅草橋五丁目29番8号
事業内容:卸売販売
・紙製品事業:紙袋・包装紙・紙器
・化成品・包装資材事業:ポリ袋・粘着テープ・食品包装資材・紐リボン・その他包装資材
・店舗用品事業:POP用品・文具事務用品・店舗雑貨・アパレル関連資材・園芸関連資材
公式ホームページ:https://www.shimojima.co.jp/index.html
公式オンラインストア:https://shimojima.jp/shop/default.aspx
WEBカタログ:http://www.shimojima.co.jp/products/catalogue/