納品書と請求書の突合作業からスタッフを解放。事務処理のIT化で接客に注力~クラシックマネジメントグループ

飲食・宿泊2022.06.21

納品書と請求書の突合作業からスタッフを解放。事務処理のIT化で接客に注力~クラシックマネジメントグループ

2022.06.21

納品書と請求書の突合作業からスタッフを解放。事務処理のIT化で接客に注力~クラシックマネジメントグループ

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福岡を本拠に60年以上にわたってゴルフ場を運営するクラシックマネジメントグループ株式会社。メジャートーナメントを開催するほか、ゴルフスタジオやプロゴルファーの育成支援やマネジメントも手がけています。

同社では、レストランで使用する食材などの仕入れ伝票と請求伝票の金額確認に人手と時間がかかっていたため、作業をIT化することで生産性を向上させました。その導入を後押ししたのが、同社に食品を配送している食品卸の岩田産業株式會社です。両社の社長にIT化の経緯から業務改善、経営理念について伺いました。

目次

取引先どうしの強固なつながりでWIN-WINの関係に

クラシックマネジメント
グループ株式会社
代表取締役 谷水利行氏

クラシックマネジメントグループ株式会社 代表取締役 谷水利行氏(以下、谷水社長):当社の事業は、日本女子オープンゴルフ選手権などのメジャー大会でも使用された「ザ・クラシックゴルフ倶楽部」がフラッグシップのゴルフ場運営です。2021年12月には福岡で室内練習場を開業しました。プロのアスリートのマネジメントをする部門もあります。

私自身は、一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会の副理事長と、福岡県ゴルフ協会の副会長も勤めています。岩田産業さんとのお付き合いは、1990年のゴルフ場オープンの時からで、レストランなどの食材の主要な仕入れ先としてご協力いただいています。

岩田産業株式會社
代表取締役 岩田章正氏

岩田産業株式會社 代表取締役社長 岩田章正氏(以下、岩田社長):当社は福岡県に本社があり、九州・山口・沖縄で外食産業向けに食品卸売事業をしています。ホテルや結婚式場、居酒屋などの外食産業がメインの取引先となります。そのひとつとして谷水社長が運営されているゴルフ場のレストランがあります。

谷水社長とのお付き合いは納品業者としてだけではありません。2015年に入会した京セラ創業者の稲盛和夫さんが主宰する盛和塾で、すでに谷水社長が福岡盛和塾の先輩塾生としていらっしゃいました。

谷水社長:岩田社長が勉強会に合流されてから、経営の話や経済状況などについて話をしながら親しくさせていただくようになりました。

岩田社長:その中で、業務のIT化の話もさせていただくようになりました。当社では、20年ほど前からお取引先のレストランの仕入れをインターネットで受ける受発注システムを導入して、FAXや電話でなくデジタル化を進めています。コロナ禍で事業の再構築を考える今、生産性を高めるためにもデジタル化比率をもっと上げていきたいと思っています。

レストラン従業員による帳票類の“神経衰弱”に絶句

谷水社長:食料品の注文は小ロット多品種で、それが毎日のように発生します。当社のメインの仕入れ先である岩田社長からも「仕入れ業務の効率化を図れないか」と相談を受け、IT化を進めることにしました。その背景には、私も課題を感じていたからです。

ある時レストランのバックオフィスを覗いてみたのです。そこでは、たたみ1枚ぐらいのテーブルに納品書や請求書などの帳票類をトランプの神経衰弱のように並べ、調理スタッフみんなで必死に伝票合わせをしていました。

これは衝撃でした。こんなことに時間を費やして、神経をすり減らしている場合じゃないぞと。そういう細かい作業から解放して、本来やるべき仕事に集中できるような環境を作らないといけないということで、岩田社長に相談に乗っていただきました。

そこで、岩田社長からインターネットの受発注システム『BtoBプラットフォーム受発注』の話があり、内容もわかりやすくサポート体制もしっかりしていたので、スムーズに導入できたのです。

岩田社長:IT化をご提案した背景は、当社にもあります。実は、コロナ禍になって間もなく、お取引先様にお叱りを受けることがありました。外食市場が下火で飲食店様はお店を閉めている状況です。そのため、私どもの冷蔵庫に賞味期限が短い商品が大量に残っていました。これをはやく売り切ってしまいたかったのです。

当社の売上を上げたいという気持ちだけが強くなって、いつもより積極的に商品のご案内をしていました。そうしたなかで、お客様から「お店が閉まっているのに、どこにそんなものを買う余裕があるんだ」「状況をわかっていながら営業にくる意味がわからない」と叱られました。

結局は、自分たちの考えをお客様に押し付けているだけではダメだと反省し、どうするべきかと、あらためてイチから考え直しました。その結果、やはり飲食店様の売上を上げるお手伝いをすることと、コロナ禍を機会に固定費を低減していくお手伝いをすることの2つが自分たちの使命だと思いました。固定費低減とは、従業員の余計な時間の削減です。その手段として、これまでに導入していた受発注システムを取引先に進めていこうという判断になったのです。

谷水社長:おかげさまで、当社でも2021年12月に受発注システムを導入しました。しかし、現在はまだ取引先の3割がインターネット受発注の仕組みを利用されていません。当社のゴルフ場では、例えば養鶏場から卵を仕入れたり、専門業者から砂利や砂を仕入れたりしています。専門的な取扱品が少なくありません。

そういった商品は取引先も限られるでしょうから、仕組みを変える必要がないと思いますが、いまだにFAXによる注文、手書きの納品書、請求書などが当たり前で、会計を締めるときなど非常に時間を要します。期日までに請求書を送っていただけなかったり、納品書と請求書の金額が違っていたり、先方のデジタル化が進まないことで、不要な作業が残っています。ただ、仕入れ先の7割はデジタル化できましたので、全体的な人的労力は非常に合理化できたと感じています。

岩田社長:実は今回、谷水社長へインターネット受発注システムを紹介したことで勉強になったことがあります。当初、説明に伺ったときには、厨房の仕入れのみの導入提案でした。その時に谷水社長が「ちょっと待って」と。「せっかくだから厨房だけでなく、購買全体に広げていこう。もっと効率が上がるはずだ」とお話されていました。しかも対象となる取引先が400社以上あるというのです。それを聞いて衝撃が走りました。よいものは全面的に取り入れる。その決断の早さに脱帽いたしました。

谷水社長:せっかくのお話でしたから、最大限に利用しないともったいないですからね。

岩田社長:頭では分かるのですが、実行となるとなかなか難しいものがあります。


仕入れ金額の計算を自動化する発注システム

時間をお金で買う、という経営の発想を

岩田社長:導入効果について、もうすこし伺います。厨房スタッフの“神経衰弱”のお話がでました。その課題は解消されたのでしょうか?

谷水社長:はい、神経衰弱から解放されて飲食の経理関連が一番恩恵を受けたと思います。もっとも大きなメリットは、やはり発注に関する時間の削減です。私どもはほぼ年中無休で営業していますが、業者さんによっては土日に対応していないこともあります。そういう業者さんに商品を発注しようとすると、電話かFAXかインターネットになります。

電話はもちろん、FAXだと相手がお休みのときに受信ができているのかわからないことが少なくありません。注文したくても、月曜日にならないと発注できないとなるとストレスを抱えたまま持ち越すことになります。24時間いつでも発注できるというのは、現場では非常に役立っていると感じます。

結果として、1日の仕入れにかける人員と時間を30%ほど削減しています。それだけでなく、仕入れに関連した業務で棚卸の時間が60%、経理業務で30%ほどの作業時間が減り、生産性が上がりました。それに、ペーパーレス化に伴う伝票の保管場所や保管作業に付随するコストの削減も進みました。電子帳簿保存法にも対応していますので、法律が変わったからといって、大きく準備する必要もなくなりました。

「お金で時間を買う時代」といわれますが、コストの比較には、作業時間をどれだけの費用でペイできるか比較するという視点が重要になってきます。地方のサービス業は、これまで人海戦術で賄ってきた過去があります。都会に比べて労働力もそれなりに確保できたので、システム化するより人数をかけて対応するという体質が染み付いています。ITより電卓があればいい、という傾向がありました。

当社でも週40時間の労働時間のルールの中で、完全週休2日制に移行いたしました。それには時間をかけて人数を投入すればどうにかなる、という考え方から根本的に脱却する必要があります。費用が多少かかったとしても時間が短縮できるのであればITに投資しようという判断です。

岩田社長:その背景にあるのは経営理念ということになりますか。

谷水社長:そういっていいかもしれません。京セラ稲盛さんの経営哲学も、時間あたりの採算性を大事にしています。1時間でどれだけの付加価値を生み出したかということが大事で、そのために投入する労働時間をとにかく減らす前提でものごとを考えないといけないと思います。

岩田社長も同じだと思いますが、当社では企業経営の目的や意義として「全従業員の物心両面の幸福を追求する」ということがあります。サービス業だから土日休めなくて当たり前とか、朝から晩まで働くのが当たり前とか、そういうことからの脱却が必要です。ワークライフバランスを考え、ご家庭での時間も大切にしてもらいたいし、何も朝から晩まで会社に詰めて生産性の低いことを長時間やらなくていいと考えています。

岩田社長:その経営理念の結集と思いますが、御社は「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)」に認定されています。おめでとうございます。

谷水社長:ありがとうございます。これは岩田社長のおかげでもあります。この認定には、「残業が少ない」とか「休日がきちんと取れるか」とか「有給が正しく取れるか」など、いくつかの指標があります。ただし、当社は認定を取るために業務の改善をしてきたのではありません。岩田社長からご紹介いただいたITツールを取り入れ、お金で時間を買うという発想もあって、結果として認定いただいたのです。

より魅力的な飲食業・サービス業になるために

岩田社長:様々な業務で合理化の手応えがあったようですが、残された課題といえばどんなところでしょう?

谷水社長:ゴルフ場全体をみれば、例えば芝生の手入れは、圧倒的に人的労力に頼らざるを得ません。最近ではGPSを使った無人の芝刈り機が実用化されてきています。誤差が1センチしかないという高性能のものまで出てきていますが、従来型のものに比べて値段が3倍ぐらいします。ただ、ここは業界全体で無人化の方向に行くだろうという感触はありますね。

その他には、対人による接客を減らして、Web予約やチャットボットなどの導入を図っていくことも可能です。ですがこれは接客業でありながら接客しない方向に舵を切らないといけないというところがあり、接客したくて接客業を選んだ従業員に接客しないように頑張れ、と言わなくてはいけません。発想が逆ですから、実際問題として進めていくのが困難であるという課題を残しています。

岩田社長:ゴルフ場とはいえ接客業ですから、どこに重点を置くかという問題になってきますね。

谷水社長:人による接客でお客様を心地よくお迎えし、お見送りするというのは、ゴルフ場が提供するサービスの中では情緒的機能です。ゴルフ場のメインの商品は、やはりゴルフコースの提供ということにつきます。そこを強化することが差別化の最大の要因になると考えていて、2023年から外国人のデザイナーを入れて、コースの大改造に入ります。その上で6年後に日本女子オープンを開催する計画で、いま主催者である日本ゴルフ協会と協議を進めているところです。

岩田社長:接客はもちろん、本来のサービスである基本的機能のところを、もう一度強化し直そうということですね。基本的機能といえば、最近一緒に仕事をさせていただいた際、勉強になったことがあります。

御社のゴルフ場のキャディさんとお話していて、難なく稲盛さんの経営12箇条を口にしたことにビックリしたことがありました。人材教育についても、徹底していると感心いたしました。

谷水社長:特別なことをしているわけではありません。私は、会社あるいは提供する商品というのは、全従業員の意識の総和だと思っています。ですから冷めた人がいると、サービスも商品もやっぱりそこから冷めていってしまいます。その意味で、従業員の間に格差はもうけたくはありません。全従業員に同じ話をすることから、意識の格差はなくなっていくと思います。

飲食サービス業界に、人材が集まるためのモデルづくり

岩田社長:実は私にはある思いがあって、サービス業にしても飲食業にしても、この業界に入りたいという人が増えるような状況ができるといいと思います。その点で、今回この対談の話をとてもいい機会だと捉えています。谷水社長がゴルフ場のIT化を進めてきたという事例がモデルとして伝わっていく。それが大事なことだと思います。

さらに言えば、そのお手伝いを取引業者である当社が担うことができたことも、手前味噌ながら、とてもうれしく感じています。お客様と弊社がWIN-WINの関係をつくり、また別の業者とそういう関係を結んでいくことができます。こうやって業界のボトムアップが図られていけば理想的だと思っています。今後とも、ぜひ切磋琢磨しあうことができれば本望です。

谷水社長:それはこちらの思いでもあります。今後ともよろしくお願いします。


仕入れ金額の計算を自動化する発注システム

クラシックマネジメントグループ株式会社

本社所在地:福岡県宮若市倉久1-3
事業内容:ゴルフ場運営事業、スポーツマーケティング事業、スタジオ開発事業
公式ホームページ:https://cm-g.co.jp/

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