大島氏:10年ほど前までは、店舗にパソコンがあるのは珍しいほうでした。でも確かに、ここ5年あまりで、ネットはあって当たり前、活用できて当たり前になっています。ITを活用して生産性を上げる話も余程でないかぎりは、以前ほど驚かなくなっています。
一方で、食材の発注は全体の約半分が、まだFAXを使って紙の送信という現実もあります。大手はシステム化されていますが、中小企業の店舗はまだまだです。
中村氏:システムが本当に価値を発揮するのは、個人店が導入し、プラットフォームとして活用できるようになってからですよね。
大島氏:今はもう、大学生くらいだと「FAXって何ですか?」っていう時代でしょう。FAXなんて見たことも触ったこともないような若い人のためにも、変えていってあげないと。

中村氏:一部のお店がどんどんIT化を進めている一方で、対応できていないお店も相当あるんですよね。IT技術を使っているお店と使っていないお店の差が、この5年間でかなり二極化してきていると感じます。
中には、きちんとやりたいと思っていても何をどう選べばいいかわからない迷子のような状態になっていて、IT化できていないお店もあります。
大事なのは、「どういうお店をやりたいのか?」「どういう価値を提供したいのか?」という原点に立ち戻ることです。その実現のためにITを使うという順序で考えないと、ツールに振り回されるだけになってしまうんですよね。
テクノロジーは手段に過ぎませんから、ITを導入することが目的になってしまってはいけない。テクノロジーによってなにを実現するのか、データをどう活かすかということを考えないと。
大島氏:大手飲食チェーンでは今後、生産性向上のため効率的にオートメーション化する店舗も増えてくるでしょう。その時、日本のレストラン産業を維持できるのは、その店にしかない価値を提供できている店だと思うんです。
そこを強みにしていくには、システムが重要になってきます。創造性やホスピタリティにより注力するため、IT化によって、できるところは効率化する必要があると思いますね。

中村氏:FOODIT TOKYOは2015年のスタート当初より「日本が世界に誇る外食産業のリーダーが一堂に集結し、飲食店におけるテクノロジーの最新動向をシェアし、未来への建設的議論を行う場」として、支持されています。
5年目となる2019年は、さらにパワーアップし、外食産業の長期的なビジョンを考える場にして参ります。ぜひご参加ください。
★当日のセッション内容はこちら★
・FOODIT TOKYO 2019総まとめ~発想の転換が、外食産業の10年を創る
・10年後、外国人客が日本人口の半数に。需要は地方に向かう ~『FOODIT TOKYO 2019』レポート(前編)
・サステナビリティなき飲食店には、お客も従業員も寄り付かない ~『FOODIT TOKYO 2019』レポート(後編)