四半世紀近い歴史には紆余曲折あり。挫折から生まれた新業態
【Q】2018年は自然災害が多く、中でも西日本豪雨では、ご出身地の広島にも大きな被害がありましたね
広島から上京し、東京・神田に広島お好み焼き店「Big-Pig」をオープンさせてまもなく25年になります。今回、実家のある町に被害があったわけではなかったのですが、ふるさとへの強い思いはずっと持ち続けていますので、何か力になりたいと思い、被災した東広島市に出向いて家屋の土砂をかき出すボランティアに参加しました。
すると、それを知った外食企業の友人たちが『Big-Pig神田カープ本店』を貸切にして、復興支援の募金飲み会を企画してくれたんです。その売上などを寄付金にしたのですが、広島県知事に直接手渡すことができたのは、知名度のあるスポーツ選手や芸能人以外では異例のことと聞いて、東京の飲食店の熱い「広島愛」が伝わったのかなと大変嬉しかったです。(代表取締役 森口康志氏<以下、森口社長>)
【Q】『Big-Pig神田カープ本店』は、「広島とカープ」一色のお店ですね
「Big-Pig」は、かつて5店舗ありましたが、10年ほど前から店舗数を本店1店に絞り、より広島に特化させた、「カープ酒場」をコンセプトとしています。店内にスコアボードや、みんなで試合観戦できるモニターを10台設置してカープ戦を全試合放送し、試合がある時はユニホームを着たファンでいっぱいになります。その様子から「カープファンの聖地」と呼ばれることもあります。(森口社長)
お好み焼きに欠かせないソースはもちろん、鮮度を保てる食材はすべて広島からの直送です。広島の郷土料理も豊富にご用意しています。社長や私をはじめ、スタッフに広島出身者が多いのも特徴です。(取締役営業管理部 部長<以下、管理部長>)
【Q】創業時は、どんなお店だったのですか?
創業店は、普通の広島お好み焼き屋でした。私はもともと飲食とは無関係のサラリーマンで、転勤先の東京に美味しいお好み焼きがなかったのを機に、自分でやってしまおうと脱サラして始めたのです。(森口社長)
【Q】ほぼ未経験からはじめて、順調に売上を伸ばしていかれたのですね
とはいえ、悩みもありました。大阪などの関西風お好み焼きは、一般的に店側が用意した具材を、お客様が自ら鉄板で焼いて仕上げます。しかし、広島のお好み焼きは、生地に具材を層にして盛り、ひっくり返した横でソバを炒めてと、技術が必要で作業も多く、店側が焼かなければなりません。
すると、お客様から「遅い」とお声をいただくこともあります。極端な言い方ですが、関西風は具材を出すだけだし、セルフスタイルはいいなあとずっと思っていました(笑)。 (森口社長)