「飲食なんて簡単」という鼻っ柱を折られて気付いたこと
【Q】飲食業に携わるようになった経緯を教えてください。
もともと、自分で何かの会社を経営したい気持ちが強かったんです。銀行などの金融や石油エネルギー関係にも興味はありましたが、どちらも将来独立するにはハードルが高い業界です。食べることも昔から好きだったので、食品はどうかと畜産メーカーに就職して、商売の基本を学びました。
独立のきっかけは、鶏肉の部署で企画を任されていた時、冷めてもやわらかく、肉汁が逃げない鶏肉を扱ったことでした。当時は唐揚げブームでもあり、「唐揚げ専用鶏肉」として商品を売り出しているうちに、唐揚げで飲食店をやったらいいんじゃないか、と思いついたのです。
2011年、東京・練馬に唐揚げ専門の居酒屋「AkiTaka」をオープンすると、狙いは大当たりで、1年で利益も出ました。ところが、2年後に出店した2店舗目は大コケして、3ヶ月で閉めることになったんです。
【Q】失敗の原因は何だったのでしょうか。
正直に言えば、1号店の成功で私が思い上がっていたんです。その時は飲食業なんて簡単だ、どこにでも出せば売れるだろうと、深く考えてはいませんでした。食に対する思い入れも希薄なまま経営していたんです。結局、そういう気持はお客様にも伝わってしまうんですよね。