「システムを導入したことで、FLコスト比率がスタッフにも一目でわかるようになり、経営の“見える化”が実現できました。もちろん一朝一夕に到達できたわけではありません。本当の意味でFLコスト比率の重要性を理解してもらうのに、2年ほどかかりました」
当初は店舗の売上げ管理もノートに手書きしていた状態で、パソコンに触ったこともないというスタッフもいたほどだったそうだ。システム導入への抵抗もあったというが、「パソコンぐらい触れないようじゃ、恥ずかしいぞ」と、ハッパをかけながら、徐々に操作方法を教えていったという。
「運用を開始するまで苦労しましたが、経営状態を“見える化”したことで、スタッフの意識も変わってきました。以前は食材を多めに発注し、2~3日使わずに寝かしておくこともありましたが、今では無駄な在庫を極力持たないようにして、一人ひとりが適正な数を発注するように心がけています。そのおかげで、より新鮮な食材を使った料理を、お客様に提供できるようになりました。大切なのは、お客様が喜んでくれたら売上げに返ってくるという意識を、全員が持つことです。そこから、より良くしていこうという提案が出てくるのです」
沖縄の人間が作るからこそ、本物の沖縄料理になる
もうひとつの改善は、現場への思い切った権限委譲だ。メニューの見せ方や盛り付けの工夫などは、思いついたら積極的に投げかけをするが、基本的なメニュー作りについては各店舗に任せている。定番メニューのゴーヤチャンプルも、店舗ごとに味が違うという。
「関西出身の自分が口を出しても、エセ料理になってしまう。本物の沖縄料理をお出しするには、やはり沖縄の人間が作らなければと考えています。そもそも沖縄料理は、宮廷料理を除けば明確なレシピなどない家庭料理です。各家庭で味付けが違うように、各店舗で味が違うのも当然だと思っています」
あくまで“沖縄の人が作るから沖縄料理”という考え方を貫いているのだ。
「沖縄出身のお客様が家族で来店され、『沖縄に戻ってきたようだ』と、お褒めいただくこともあり、大変嬉しく思います。これからも本物の味を大切にしながら、沖縄料理を発信していきたいですね」
“一回やってみたらええんちゃうかな”
今後の展開について小嶋氏は、もっと業態の幅を広げていくことも構想している。
「例えば『リトルコリアン』『リトル中華』とか。そこで得たノウハウを『リトル沖縄』にフィードバックさせるのも面白いですね」
同社では、自社工場で島豆腐と沖縄そばを製造している。この2品は沖縄以外ではなかなか手に入りにくい食材だったため、“それなら自分らで作ってしまえ”と自社製造を始めたものだ。
「どんなことでも“一回やってみたらええんちゃうかな”と思っています。アカンかったらやり方を変えればいい。新しいことは尻込みせず、どんどんやるべきです」
株式会社リトル沖縄オーバーシーズ
住所:東京都江戸川区臨海町6-3-2
事業内容:飲食店の経営、島豆腐・沖縄そば・調味料製造
公式HP:http://www.little-okinawa.co.jp