贅沢食材を気軽に食べてもらいたい
炭リッチの不動の人気メニュー、名物「炭焼きフォアグラステーキ串」。味もさることながら、大きなフォアグラを炙り焼きにするという豪快さが嬉しい。
しかもこれを北海道の店舗では、1串390円で提供しているというから驚きだ(※東京店では輸送費の関係で500円)。この価格設定はどこから来ているのだろうか。
「27歳で独立したタイミングで、店に欲しかったのは、それを目当てに人が訪れてくれるような、看板メニューでした。どうせ看板メニューをつくるなら、自分が食べたことがない高級食材がいいとリストアップして、あれこれ試行錯誤していました。
『炭焼きフォアグラステーキ串』を作った時に思ったのは、『おいしいけど、串焼き1本として考えたら390円くらいが妥当かな』と。それは素材の問題ではなく、純粋に自分が払える酒のお供としての感覚でした。串1本1,000円だとしたら、どんなに美味しくても高すぎるじゃないですか」
原価を完全に無視してしまったため、当時の原価率は、100%を超えていたという。それでも価格を上げようとしなかったのは、平野氏の根底に気軽に贅沢感のあるメニューを楽しんで欲しい、という思いがあったからだ。
他にも炭火焼き牡蠣やステーキなど、北海道産の産直食材がメニューに並ぶが、どれも手頃な価格で楽しめる。
店舗拡大で、生産者の悩みに答える
炭リッチはオープン当初、夫婦で経営する個人店にしようと考えていたという。しかし1号店出店から、わずか4ヶ月後に2号店、さらに3ヶ月後には3号店、翌年に東京の浜松町で4号店をオープンさせている。その方向転換の裏に何があったのだろうか。