これでは、いかにスペースや仕入れのメリットがあるとはいっても、利益が下がるのではないだろうか。
「実は『ドリンク持ち込みサービス』を利用される方のほうが、単価の高いメニューを注文される傾向にあります。どうやら『お酒の金額が浮いた分、奮発して少し高めのカキを頼んでみよう』という心理が働くようです。店側としては看板商品のカキを食べていただければ嬉しいですし、品質が高いものを食べて頂ければ、それだけうちの店の印象も良くなります。またお客様のコストパフォーマンスがあがれば、結果的に満足度向上や、リピート率の向上につながります」
かき小屋のカキは、一般的なオイスターバーと比べてリーズナブル。それでも客単価にすると3,500円前後をキープできているという。持ち込み代を除いても、3,000円以上の料理がしっかり注文されているとわかる。
「お客様の中には、自宅からドンペリなど高級なお酒を持って来て盛り上がる方もいます。好きな酒と召し上がるので、料理も一層おいしく感じていただけるのでしょう」
ありきたりなラインナップで酒類を提供せず、自慢の食材に絞って勝負をすると決めたことが勝因だろう。今回取材で訪れた新橋店も2012年にオープンをして、わずか3か月でキャンセル待ちの出る人気店となっている。
各テーブルをまわって直接セールス
持ち込みスタイルは、顧客満足度の向上だけでなく、人件費の削減にも一役買っている。
「通常の飲食店であれば、お客様の飲み物がなくなる度に、オーダーを受けに伺いますが、ドリンク持込みのお客様の場合はそれがありません。最初に水と氷のセットをサービスでご提供し、あとは補充に伺うだけです。オーダーを打ち込む手間もなく、オペレーションとして非常にシンプルです」
新橋店の客席数は78席とかなりの広さがあり、しかも連日ほぼ満席が続いている。しかし、満席時でもホールスタッフは4人程度。厨房、洗い場、予約の電話担当を含めても1日のスタッフは7~8人の少人数で対応が可能という。