今でこそ人気の高いハイボールだが、この業態をスタートさせた2011年当時は、まだブームの走りだ。しかし、看板にも掲げている「骨付鳥、からあげ、ハイボール」の相性の良さを訴え続け、現在では4割ほどの客が1杯目からハイボールをオーダーするまでに至った。
ハイボールといえば、男性客が好むイメージだが、ウイスキーの中にフルーツ、グラニュー糖を漬け込んだ自家製の「漬け込みハイボール」は女性にも人気を博している。『がブリチキン。』に来たらまずハイボール、という店側のコンセプトは、着実に浸透し、まさに店の看板ドリンクと言える。
低FL比率の秘密は「店の狭さ」にあり?
『がブリチキン。』の名を聞いて、飲食関係者の間で話題になるのは『フード・レイバーコスト比率』(以下FLコスト比率)の低さである。ご存知のとおり、FLコスト比率は(原材料費+人件費)÷売上高×100で求められ、この値が低ければ低いほど、店に残る利益は大きくなる。
通常、FLコスト比率は平均55%が理想とされているが、『がブリチキン。』では、これを50%前後まで抑え、高い収益を上げている。ここでもメイン商品の、『骨付鳥』がカギを握っているようだ。
「メイン商品の『加工』を業者に委託することが、FLコストを抑えるポイントになっています。当社では、セントラルキッチンから『仕込み済』の商品を、各店舗に配送しているので、店舗での調理を最小限に抑えています。また、食肉加工の部分でコストを削減できているので、鶏肉の品質は落とさず提供できるのです」
また、キッチンでの作業が簡略化されているため、店員一人あたりの生産性が高いのもポイントだ。さらに店舗自体を小型化できるメリットも生まれているという。
「店舗が小さい分、売上に対しての『家賃比率』を減らすことができます。またキッチンも小さくてすむため、ギリギリまで客席数を増やすことができます」
最大限までフロアのスペースを確保した上で、さらに意図的に坪当たりの席数を増やして、一層の活気やにぎわいを演出する。また、一部の店舗を除いては、ドアを開け放したオープンな造りにすることで、活気やにぎわいが店の外にまで伝わるように工夫しているという。
しかし、客ひとりあたりのスペースが狭いことは、ともすれば不満にもつながるのではないだろうか。