関西スタイルの「ユルい店」を武器に東京へ
【Q】東京進出はいつ頃から考えていらっしゃいましたか?
関西で出店を加速していた頃にも、東京出店のリサーチを進めていました。でも、東日本大震災があって白紙に戻ったんです。それで昨年、「11期目に入る2015年からは何をすべきなのか」を考えていたときに、「新生バルザルの新たな一歩として、東京に出したい」という思いが強くなっていっていきました。ちょうどその頃『太陽の会』(※)に入会して、東京の飲食店経営者の方々とお話する機会が増えたことも影響していると思います。
それで物件を探していたら、たまたま蒲田(東京都大田区)で良い物件が出て、すんなり決まったんですよ。これはもう「神様が行けって言ってるんやろうな」と。
※太陽の会…東京で行われている外食オーナーの経営塾。
【Q】蒲田という立地を選んだのはなぜですか?
渋谷とか新宿とか恵比寿とか、いきなり大きな街からスタートする必要はないと思っていました。いずれは出店するかもしれませんが、我々が目指しているのは「街のコミュニティスペース」ですから、まずはしっかりと街に根を張ることが重要だったんです。
それで最終的に赤羽と蒲田に絞り込んだんですが、蒲田のほうが僕の好きな街の匂いが強かった(笑)。下町の雰囲気というか、人間臭さというか。大阪でいうと天満みたいな感じでしょうか。蒲田店の女性店長は地元が天満なんですが、最初に連れて行った時に「どう思う?」って聞いたら「いけそうです。全く違和感がありません」って言い切りましたからね(笑)。
【Q】進出されてからの手応えはいかがですか?
まだ4ヶ月ほどですが、ありがたいことに坪20万円前後はキープできています。もうちょっと欲しいところですが、ウチはスロースターターなんで、そういう意味ではちょうど良い滑り出しをしてくれたと思っています。
【Q】逆に、関東から関西への進出で苦戦されている企業が多いようですが。
偉そうなことを言える立場ではないですが、やはり客単価のギャップじゃないでしょうか。居酒屋やバルといった業態で、毎回4000円払うという文化は東京にしかないと思うんですよ。それをそのまま関西で当てはめていることが、大きな原因ではないでしょうか。ただ、上手にやられているケースもありますよね。ポーションを減らして商品価格も下げるとか。
あとは、商習慣の違いもあると思います。簡単に言うと、東京はスマートな「ビジネス」、関西は泥臭い「商売」という感じでしょうか(笑)。