【Q】半歩先の食は、どのように探すのでしょうか?
同じ業界の人たちとつるんでいては、ダメだと思います。まったく違う業界の方々で、自分の店の顧客にしたいと思う人たちと密に付き合うことが大切です。その方達が何を求めているか、食だけでなく、日々何をしているか、どんな本を読んで、どこで遊んでいるのかといったことを通じて、なんとなく見えてくるんです。
【Q】そうした付き合いのなかで見えてきたモノとは?
大きなテーマとしては「健康」ですね。やはり毎日外食ばかりしているようなタイプの人ほど、健康を気にしています。ただし、健康ばかりを追いかけすぎるとそれも失敗してしまいます。私の場合それが「発酵」というテーマでした。
味噌や麹といった、日本の伝統的な食文化をもう一度再認識して提供することで、外食を通じた新たな健康ブームを作ろうと思っていました。
でも、本当の意味で「健康」にハマっていく人って、段々外食をしなくなるんです。そのバランスが難しかったですね。今の私だったら「健康」をチラッと感じさせるぐらいにすると思います。
「任せる」ことで生まれるスタッフの責任感とやる気
【Q】スタッフ教育は、どのようにお考えですか?
特に教育ということはしていません。その代わり、営業中に私がひとりの客として、お店に行くようにしています。私は飲食業というのは現場が全てだと思っていますので、料理もお酒もないところで、あれこれ話すよりも、現場でひとりの客として気づいたことを、その場で指摘するようにしています。
【Q】スタッフに任せることの難しさもあると思います。
以前は人に任せることができず、何でも自分でやりたがって失敗したこともありました。でも、私から何も言われなくても頑張っているスタッフの姿を見て、全部指示するよりも任せてしまえばいいと気づいたんです。
【Q】任せる範囲はどの程度まで、任せているんですか?
まず、お店のコンセプトとしての大きなテーマは、スタッフとも話しますが私が決めています。次に、名物となるメインのメニューは何度も試食をして、オペレーションも完璧に仕上げていきます。でも、その他のメニューに関しては、ほぼ料理長に任せていますね。