店内でもお客を楽しませるユニークな仕掛けがあった。焼き場は店内のどこからでも見える位置に設けられ、火柱を望む特等席「藁焼きカウンター」は予約が絶えない人気ぶりだ。
「焼鳥屋さんなどでは焼き場とカウンター席の間に仕切りガラスを設けているケースが多いですが、わらやき屋はここもあえて完全オープンの設計にしました。目の前に立つ火柱の熱気を肌で感じながらパチパチと焼ける音も聞いていただけます。ただ、火の粉や煙が客席に行ってしまわないよう、焼き場とカウンターの間は安全な距離を取り、しっかりとした換気扇も設置しています」
店外に向けては客を吸い寄せる〝看板〟として、店内ではお客を飽きさせない〝舞台装置〟として藁焼きの魅力を最大限に引き出している。
地元高知県民も認める食材へのこだわり
藁焼きメニュー以外にも『のれそれ』『どろめ』など、地元高知で愛される珍味を積極的に取り入れて人気メニューに育てている。
「メニュー開発で意識したのは高知県出身のお客様です。店に来て故郷の味を懐かしんでもらい、お連れの方には『高知の食べ物はこんなに美味しいんだぞ!』と自慢できる料理の提供に努めました。それは同時に、高知に馴染みのないお客様にとっては驚きや感動となります。『今まで食べてきたカツオのたたきとは全然違う!』という驚きがあれば、きっと店のファンになって頂くことができる。そこには自信を持っていますね。
例えばですが、初めて入った飲食店でも2回目は行かないという方も多いと思います、その理由の多くが『なんとなく』です。それを踏まえたうえで〝また来たくなるようなお客様の心に残る店づくり〟を常に意識しています」
その思いは、現場で働く店舗スタッフのユニークな接客にもしっかりと共有されている。