土佐が生んだ名産品と地元の調理法をそのまま東京へ
「わらやき屋」の看板メニューは、こだわって仕入れるカツオを藁の強火で豪快に焼き上げる「藁焼き」という土佐料理。カウンター席の目の前にある焼き場(調理場)からは、巨大な火柱が立ち上る。これが、高知名物・藁焼きの醍醐味だ。
「高知の郷土料理といえば『カツオのたたき』ですが、地元では昔からカツオには藁焼きが最高の調理法といわれ、現在も地元の飲食店などで一般的に使われています」
カツオの表面を巨大な藁の炎で一瞬にして焼き上げる。すると、カツオの旨みがギュッと閉じ込められて臭みが消え、素材そのものの味が最大限に引き立つという。高知に伝わるこの調理法を初めて東京に持ち込んだのが、わらやき屋だった。
藁焼きを集客装置に変えた緻密な店舗設計
路面店である六本木のお店は、夜になると人通りが多くなる表の通りに面して縁側を造り、外からでも鮮やかな火柱が見える設計になっている。
「藁焼きの炎を外に見せる狙いもありました。なかなかないでしょう? 店内で炎が燃え上がっている店なんて(笑)。案の定、通りを行き交う多くの方が立ち止まって店の中を覗きこんでくださいます」
「どこかいいお店はないか?」と探し歩いている最中に店の中で炎が上がっているのを見ると、そのまま炎に吸い寄せられて店に入ってしまいそうだ。
「実際、そういうお客様も少なくありません。六本木という立地上、外国人観光客の方にも非常に人気ですね」