食品メーカーや飲食店が注意すべきステマ行為の事例
食品事業者の中には、新商品の販売や新店舗の開店に合わせて様々な広告を打ち出すこともある。その際には、以前にも増してステマ規制法の対象にならないよう注意を払わなければならない。ここからは、ステマに該当する恐れのあるものを過去の事例から紹介していく。食品メーカーや飲食店などは、下記の事例を参考に健全な宣伝・広告を心がけてほしい。
事例(1)業者へ利益提供した上での好意的なレビュー
ステマ事例の中でも特に有名なのが、飲食店のレビューサイト「食べログ」で行われていた行為だ。同サイトでは、一般の消費者が口コミの投稿や点数による評価を行う仕組みとなっている。
問題となったのは、金銭を受け取った業者が特定の店舗へ好意的な投稿を行い、サイト内のランキングを上げる行為をしたこと。およそ39社が関わっていたことから、大規模なステマとしてニュースなどで話題となった。
事例(2)インスタグラムにおける誇大広告
株式会社アクガレージのケースでは、同社の商品である「ジュエルアップ」という食品の宣伝をインスタグラムとECサイトで実施していた。しかしインスタグラムでは、広告であることを隠して投稿が行われていた。
そのステマ行為のみでは規制の対象になっていなかったものの、商品に豊胸効果があるかのように謳っていたことが優良誤認で景表法の違反となっている。課徴金として1,944万円の納付を命じられた。
事例(3)企業が広告内容を把握してないケース
ツインガーデン株式会社が販売する「B.B.B(トリプルビー)」という食品には、筋肉の増加促進や代謝能力の向上を思わせる不当な広告表示が指摘された。さらに広告へ掲載されている体験談等に使われた写真は、写真素材サイトから購入した無関係な画像が含まれていることも発覚している。
しかし広告の作成は代理店やアフィリエイターが行っており、同社はこれらの優良誤認やステマ行為の実態を把握していなかった。とはいえ、景表法では広告を委託した場合であっても基本的に広告主の責任になるため、今回のケースではツインガーデンに措置命令が下された。たとえ委託先の事業者や個人が行っていたとしても、広告主の違反になる可能性が高いことも伺える。
ステマへの理解と広告の明確化で消費者に伝わるPRを
近年では、YouTubeやツイッターなどのSNSで高い影響力を持つ人物が数多く存在している。そんな中、企業自らが宣伝するよりも特定のインフルエンサーに宣伝やPRを依頼する方がメリットとなるケースも多い。
しかし法規制が行われる2023年10月からは、これまで以上にステマ行為への理解を深めておかなければ、景表法違反などのリスクが伴ってくる。また依頼先のインフルエンサーなどが無意識にステマを行わないよう、自社でレギュレーションやルールを作っておくことも重要だ。
消費者からの信頼性を一度失ってしまうと、以前のような信用を回復することはなかなか容易ではない。広告・宣伝手法の理解や依頼先との適切な意思疎通、消費者への誠実さを持った企業活動を意識してもらいたい。