ステマ規制法の概要
広告表示を規制する景品表示法(景表法)とは
事業者が広告表示する際、内容は景品表示法(景表法)で規制されている。不当表示となる種類は「優良誤認表示」「有利誤認表示」「商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあると認められ内閣総理大臣が指定する表示(指定告示)」の3つだ。これらのケースに該当する場合には、景表法違反の恐れがあるとして消費者庁などからの調査、行政処分や課徴金の納付義務などの罰則が科されることもある。
禁止される 不当表示 | 概要 |
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優良誤認表示 (5条1号) | 商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示 (例) ・黒毛和牛を使用したメニューのように表示していたが、輸入牛肉だった ・有機野菜を使用したように表示していたが、一部の野菜は違うものだった |
有利誤認表示 (5条2号) | 商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示 (例) ・期間限定、数量限定、特価と表示していたが、通常販売と変わらなかった |
指定告示 (5条3号) | 商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあると認められ内閣総理大臣が指定する表示 (例) ・無果汁の清涼飲料水等についての表示 商品の原産国に関する不当な表示 おとり広告に関する表示 ほか |
[参考]消費者庁「景品表示法 表示規制の概要」
しかし、現在の景品表示法では市場に溢れているステマ行為を完全に規制することはできない。
ステルスマーケティングに対する景品表示法の適用関係
ステマ規制項目が景表法5条3号に追加
ステマの規制を強化するため、新たな不当表示の規定が景品表示法5条3号に追加され、2023年10月1日から施行される。ステマの定義は次のように指定されている。
●一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示
●事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの
[参考]消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(PDF)
この規定の追加により、ステマに該当する疑いがある場合、消費者庁からの事情聴取や関連資料の提出が求められることもある。
どんな行政処分があるのか
消費者庁の調査により違反が認められた場合には、企業が行っているステマ行為の撤回と再発防止を求める「措置命令」が出される。またその命令に違反してしまうと、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される恐れもある。
ただし広告の表示内容に対して、企業が関与していないケースについては規制の対象にならない。具体的には企業が無料サンプルなどを提供していても、第三者が自主的に投稿や発信していた場合などが挙げられる。