加工食品の食物アレルギー表示
混入している可能性があります」という表示がありますが、親としては混入する可能性が0%でないと怖いです。
「〇〇が入っているかもしれません」「〇〇が入っている可能性があります」のような「可能性表示」は禁止されています。
企業はアレルギーについて勉強しているようでも誤って理解していることがある。「乳」表示があって、乳アレルギーの方には販売できないと言われて購入をあきらめたのに、実は「乳化剤」だったことがあります。
レシチンやカゼインNaなどカタカナのものが分かりにくい。添加物が何由来なのか、きちんと書いてほしい。
乳化剤は、混ざりにくい2つ以上の液体を乳液状、またはクリーム状にする添加物で、卵黄、大豆、牛脂などから作られます。「乳」の字がつきますが、牛乳から作られる製品ではありません。表示の際には注意が必要です。
また、レシチン、カゼインNaはよく使われている添加物ですが、由来原材料が想像できないため、誤って食べてしまう場合があります。「カゼイン(乳)」などのように、由来が分かりやすいよう表記すると、消費者にとって分かりやすい表示になります。
原材料の情報は、一括表示では「少しなら食べられる人」にとっては選ぶことに役立ちません。
加工品・外食に関して、誰が見ても判る全原材料表示を望みます(義務のない表示品目は、入っているのに書かないのか、そもそも入っていないのか解りません。)食べないようにするための確認ではなく、食べたいための確認であることを知っていただきたく思います。
原材料情報や食物アレルギー表示を公開する際は、基本に立ち返り「何のために公開するのか」「どんな人に必要な情報なのか」を確認してみてください。せっかく作った表示が役に立たない、ということがないようにしたいものです。表示は「たくさんの方に食事を楽しんでもらうための情報」なのです。
情報の更新
アレルギー表示された成分表は、いつ、どの部分が改訂されたかを分かりやすく示してほしいと思います。『○月○日に赤字のところを変更しました』とあれば注意しやすい。
情報の精度を高めるためには、「更新日時」「変更予定、変更記録」「変更点の明記」が大切です。順にご説明していきます。
更新日時:アレルギー表示の「更新日時」はとても重要な情報です。更新日時が明記されていると「現在の正しい情報」だという判断材料になります。長期間変更がなく、表示内容を修正する必要がない場合でも、定期的に内容を確認して更新をすると情報の信頼性が向上します。
変更予定、変更記録(時期/場所):公開されている情報の内容と、実際の商品やメニューの中身に相違があると、表示義務違反であるだけでなく重大な事故につながる可能性があります。特に、ホームページ等で公開した情報は、実際の商品やメニューときちんと紐づけられることが大切です。原材料等を改定する際や、時期や場所によって製品やメニューのアレルゲン物質が変わる際には、下記のように変更の詳細が分かると親切です。
加工食品 「製造年月日が○年〇月〇日の製品より変更」
「製造番号######より変更」
外食 「〇年〇月〇日提供分より変更」
「6月より関西地域のみ変更」
変更点の明記:新たに食物アレルゲンを使用することになった際は注意喚起が必要です。消費者は、パッケージのデザインに変更があると、「中身が変わったのかな?」と気づきやすいようです。加工食品を使用する外食企業にとっても、変更点は見落としやすい情報ですので、重大な変更があった際には、パッケージの目立つ場所にアレルゲンを記載するなど工夫をしてみてください。
「卵を使用しています」
「新しいパッケージの商品から、卵を使用しています」
「7月より、原材料に卵を使用した商品に準じ切り替えていきます。
ご購入の際は、製造年月日をお確かめください」
情報の変更があった際は、全ての媒体に対して誤読や判断ミスを招かないように注意をする必要があります。また、変更があったことを、お客様だけでなく自社の従業員にも周知するようにしてください。
「店頭やHPに原材料一覧を提示してくださると、本当に助かります。紛らわしい表示は一番困ります。」
アレルギー表示をする際は、全原材料表示が一番ですが、現状では「アレルギー一覧表」のような形式で、〇などの記号を用いて表示をすることが多いかと思います。しかし、表形式の表示のための法律はなく、記号の意味や表記の方法が統一されていないため、「紛らわしい」「分かりづらい」と感じている方が多いようです。
アレルゲン一覧表の表記には分かりやすい位置に凡例を示しましょう。
記号の意味: 「●…アレルギー物質を使っている」
「△…コンタミネーションの可能性」
「-または空白…アレルギー物質を使っていない」
とする場合が多いようですが、「〇」や「×」を用いている場合もあります。この2つを使う際は、特に注意が必要です。事業者は「〇=アレルギー物質を使っている」と考えて表記しているのだと思いますが、消費者は「〇=食べられる」というイメージを持ちます。
また、「×=アレルギー物質を使っていない」という表現も「×=食べられない」と誤認する可能性があります。食品事業者と消費者のどちらの立場で考えるかによって、記号の解釈が変わってきてしまいます。記号による表示のルールは各社に委ねられている部分ではありますが、以下のように統一できると分かりやすいかと思います。
「●」 アレルギー物質を使っている
「△」 コンタミネーションの可能性
「-」 アレルギー物質を使っていない
「 」 (空白) 調べていない(特定原材料に準ずるもの等)
実際にアレルギーを持つ方やそのご家族のご意見を伺うと、アレルギー表示の法律通りに表記をしているだけでは、不十分なことが分かります。今回ご紹介した内容の他、「アレルギー情報の有効的な開示方法」 を参考に、再度ご確認ください。
表示は、お客様と企業を結ぶコミュニケーションの場でもあります。法律さえ守っていれば良いのではありません。表示を読むお客様のことを想像し、「伝える」ことを意識してみてください。原材料やメニューの変更を伴う食物アレルギー対応をしなくても、表示一つで、「食べられる」可能性が増えることもあります。理解しやすく、アレルギーの方の食生活が豊かになる一助になる表示を心掛けてください。
アレルギーに関する情報は下のサイトからダウンロードすることができます。
■アレルギー表示とは
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_230309_01.pdf
■アレルギー物質を含む食品に関するQ&A
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_230309_02.pdf
■アレルギー表示に関するパンフレット(アレルギー物質を含む加工食品の表示ハンドブック)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
■加工食品のアレルギー表示
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_210514_01.pdf