飲食店のセルフオーダーシステムとは?メリット・デメリットを解説

最新ニュース2023.07.21

飲食店のセルフオーダーシステムとは?メリット・デメリットを解説

2023.07.21

飲食店のセルフオーダーシステムとは?メリット・デメリットを解説

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コロナ禍以降、飲食店では非接触型のシステム導入が一般化しつつある。メニューをオーダーする際、来店客がタブレットや二次元コードを読み取ってスマートフォンから注文する光景は、今や珍しくない。

こうしたセルフオーダーシステムには、業務効率の改善や、人件費の削減などに有効というメリットがある。その反面、来店客とのコミュニケーションが減ってしまう、機器の故障などのデメリットも存在する。本記事では、飲食店におけるセルフオーダーシステム導入の背景とメリット・デメリットについて紹介していく。

目次

セルフオーダーシステムとは?

セルフオーダーシステムとは、飲食店などでスマホやタブレットを使用して注文する仕組みのことである。各席に設置されたタブレットや、来店客のスマートフォンで店舗のメニューを開き、そこから注文ができる。注文された内容はサーバーを経由し、キッチンへと伝達されるため人件費削減や人的ミスを防ぐことが可能だ。食事が終ったあとは、会計ボタンを押すことで自動的に合計金額が表示される。POSレジと連動させることで、会計処理も自動で行えるため、従業員の業務負担を大幅に削減できる。

株式会社リクルートが運営するホットペッパーグルメなどが2023年3月に飲食店経営者を対象に行ったデジタルツールの導入効果に関するアンケート調査では、システムを導入したことで何らかの効果があったと回答した経営者は82.4%だった。デジタルツールを導入することにより、50.3%の経営者が売り上げアップに効果を感じたと回答していることから、今後もセルフオーダーシステムに注目が集まることが推測される。

参照:ホットペッパーグルメ「デジタルツール導入に関心のある飲食店経営者は45.5%と微増 現在の経営課題で「食材費の削減/最適化」を挙げる経営者が増加 デジタルツール導入で「何らかの効果を感じている」82.4%

セルフオーダーシステムが広まった背景

コロナ禍で大打撃を受けた飲食業界では、安全に食事を提供しようとさまざまな対策を講じた。その一つが非接触で注文できるセルフオーダーシステムだ。

急速に広まったセルフオーダーシステムだが、当初は人手不足の対策として活用されていた。オーダーや会計処理の業務負担を削減することで、従業員がコア業務に専念でき、店の回転率を上げることができるので、コロナ禍以前からセルフオーダーシステムを導入していた飲食店も少なくない。

セルフオーダーシステム導入のメリット

セルフオーダーシステムを導入することで、飲食店にはさまざまなメリットがある。ここでは4つのメリットを紹介する。

1. 来店客の好きなタイミングで注文できる

一つ目のメリットは来店客の好きなタイミングで注文できるため、オーダーする際の待ち時間が掛からないという点である。従業員の状況に関係なく、来店客の好きなタイミングで注文できるため、追加注文の機会損失を防ぐことができる。

2. 従業員の負担と人件費の削減

二つ目のメリットは、従業員の工数が大幅に削減できる点である。来店客から注文を聞いて、伝票に記入し、その内容を厨房に伝える、という人手に頼った方法だと料理を提供するまでの工数が多く、従業員の頭数も必要だ。

店舗の規模が一定以上ある場合、セルフオーダーシステムを導入することで、人的ミスを防ぎながら人件費や業務工数の削減が可能だ。

3. 簡単にメニュー表を変更できる

三つ目のメリットは、メニュー表の作成や印刷が必要ないという点だ。季節に合わせた新しいメニューを提供する場合、店内のメニュー表をすべて作り替える必要があり、多くの時間とコストが掛かる。

しかしセルフオーダーシステムを導入している店舗なら、パソコンやタブレット上で簡単に変更が可能である。データを印刷して各テーブルに設置するといった作業も必要ないため、メニューの改正が容易となる。

4. 多言語対応が可能

四つ目のメリットは、多くのセルフオーダーシステムで複数の外国語に対応しているという点である。外国語での対応が得意な従業員がいない場合、外国人からの注文に手間取ってしまうこともあるだろう。

インバウンドの需要が徐々に回復している今、飲食店においても多言語対応が求められるシーンが増えている。インバウンド需要の完全回復に向けて外国語対応が可能なセルフオーダーシステムを導入しておけば、言語の問題で頭を悩ます状況が大幅に減るだろう。

セルフオーダーシステム導入のデメリット

一方、セルフオーダーシステム導入で考えられるデメリットは以下の4つである。

1. デジタル機器の操作が苦手な人がいる

セルフオーダーシステムを導入する飲食店が増えたとはいえ、デジタル機器の操作に不慣れな人も多い。最近では高齢者層もスマートフォンなどを日常的に使用する人が増えているが、新しい機器を操作するのに抵抗を感じる人もいる。特に客層の年齢が高い店舗では、セルフオーダーシステムの導入について慎重に検討した方がいいだろう。

もし導入するなら、文字やボタンが大きく、誰でも見やすいシステムを選び、従来の注文方法でも受け付けるなど、ターゲット層に合わせた配慮を検討してみよう。

2. 来店客との交流の減少

オーダーを対面で取ると、来店客に直接おすすめのメニューなどを説明できるため、そこで店と来店客との交流の機会が生まれる。来店客とのコミュニケーションを重視している店舗であれば、セルフオーダーサービスの導入はそういった機会を減少させることになる。

3. 端末やネットワークトラブルの発生のリスク

セルフオーダーシステムは、ネットワーク障害や機器の故障といったトラブルが発生する可能性がある。飲食店には小さい子どもも来店することから、機器の故障につながる行為をしてしまう場合もあるかもしれない。

セルフオーダーシステムを導入するなら、以上のような緊急事態に備えて、従業員にトラブル時の対応や手作業によるオペレーションもレクチャーするべきことを考慮しておこう。

4. 店舗の規模によっては経費維持費に負担がかかる

セルフオーダーシステムを導入する最大のメリットは、従業員の人件費削減や店舗の回転率の向上だ。しかし、機器の導入時にかかる費用だけでなく、ネットワークの維持費や電気代が月々の必要経費に加算されるため、今の業態でシステムを導入して利益につながるのか検討するべきだ。

特に従業員が1~2人の小規模飲食店では、業務負担の軽減にはなるだろうが、人件費削減には期待できない。セルフオーダーシステムを導入するならば、今後の店舗運営の方向性も含めてしっかりと考えておく必要があるだろう。

自店舗に合った導入の検討を

セルフオーダーシステムを導入することで、人件費や業務工数の大幅な削減が実現可能だ。しかし、セルフオーダーシステムの導入には相応のコストと来店客とのコミュニケーション機会の減少というデメリットもある。

店舗規模次第では、システムの導入により従業員の業務負担の軽減にはつながるかもしれないが、全体の支出は増える可能性もある。今一度、自店舗の規模や客層、コストパフォーマンスを加味して導入を検討しよう。


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