新型コロナウイルスの位置づけがインフルエンザと同様の5類に移行
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が5類になった後の感染対策について、加藤厚労大臣は2023年3月31日の会見で、これまで飲食店などに推奨してきた店舗の入口での検温や消毒、パーテーションの設置などは求めず、「事業者それぞれの判断に委ねる」と見解を示している。
そのほか、基本的対処方針や業種別ガイドラインも廃止され、感染症対策の方法については個人や事業者に一任する方針だ。
マスクの着用 | ・着用の有無は基本的に個人の判断に委ねる ・ただし高齢者などの重症化リスクの高い人への感染を防ぐため、場面によってはマスクの着用を推奨する |
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手洗い等の手指衛生、換気 | ・基本的な感染対策として引き続き有効とする |
「三つの密」の回避、人と人との距離の確保 | ・感染拡大時において、高齢者など重症化リスクの高い人は、換気の悪い場所や、不特定多数の人がいる場所を避けること |
参考:厚生労働省「加藤大臣会見概要」
参考:内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室長「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけ変更に伴う業種別ガイドラインの廃止及び位置づけの変更に際しての事業者の取組への支援について(依頼)」
国の基準が変わるも、9割が飲食店の入店時にマスクしたいと回答
コロナ禍以降、政府はマスク着用を推奨してきたが感染者数の減少に伴い、マスク着用は個人の判断に委ねるとともに、他者にマスク着脱を強いることがないよう呼びかけている。ただし、感染リスクが高い高齢者が集う場所や、医療機関では、マスクの着用が依然として推奨されている。
一方、株式会社ぐるなびが3月に飲食店の利用者に対して行った調査結果では、店員からの接客時にマスク着用が好ましいと考える人が全体の57%に上ることが明らかになった。
飲食店で他の来店客に対して「食事する時以外はマスクを着用してほしい」が28.8%、「食事が始まったらマスクを着用しなくても気にならない」が36.8%、「着席したら外してもいいと思う」が23.2%、「入店前からマスクは必要ない」が11.2%という結果となり、「入店時にはマスクを着用していた方が良いと考える」が約9割を占めている。
政府の指針としては、マスク着脱は個人の意思を尊重しているが、飲食店の利用者からは依然として半数以上の人が、マスク着用での感染対策が望ましいと考えているようだ。
新型コロナウイルス5類移行後の各都道府県の対応について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の位置付けが5類へ引き下げられるのに合わせ、各都道府県では飲食店の第三者認証制度を廃止、もしくは新制度への移行を発表している。エリアによっては、2023年5月8日以降は認証ステッカーの掲示を取りやめるよう呼びかけるところもあるが、第三者認証制度の代わりになるような新制度を設置する場合も見られる。
北海道 | |
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青森県 | |
岩手県 | |
宮城県 | 国の基本的対処方針が廃止されることから、同方針に基づく本県の「選ぶ!選ばれる!!みやぎ飲食店コロナ対策認証制度」を令和5年5月7日で終了 |
秋田県 | |
山形県 | |
福島県 | |
茨城県 | |
栃木県 | |
群馬県 | |
東京都 | |
神奈川県 | |
埼玉県 | |
千葉県 | |
山梨県 | |
新潟県 | |
富山県 | |
石川県 | |
福井県 | |
長野県 | |
岐阜県 | |
静岡県 | |
愛知県 | |
三重県 | |
滋賀県 | |
京都府 | |
大阪府 | |
兵庫県 | |
奈良県 | |
和歌山県 | |
鳥取県 | |
島根県 | |
岡山県 | |
広島県 | |
山口県 | |
徳島県 | |
香川県 | |
愛媛県 | |
高知県 | |
福岡県 | |
佐賀県 | |
長崎県 | |
熊本県 | |
大分県 | |
宮崎県 | |
鹿児島県 | |
沖縄県 |
新型コロナウイルス5類移行後も、誰もが快適に過ごせる店作りを
コロナ禍のピーク時に客足が途絶え、経営に大打撃を受けた飲食店業界。感染症法上の位置付けが5類に移行することで、大型飲食チェーン店を筆頭に店舗内での感染対策も徐々に緩和され、従業員のマスク着用を完全に任意とする動きも見られる。
しかし、来店客からは飲食店の従業員や他の来客のいずれに対しても、マスク着用を求めているようだ。国の基準では、他者のマスクの着脱に関して強いることがないようにと定められているから、どちらの立場を取ったとしても問題はない。
だからこそ、「マスク着用派」と「マスクなし派」の両方が快適に過ごせるように、人と人との間隔を確保することや換気を心がけることが今後も求められるだろう。