近年話題のVRやeスポーツを取り入れた、ホテル・旅館のファンづくり

業界ニュース2022.04.28

近年話題のVRやeスポーツを取り入れた、ホテル・旅館のファンづくり

2022.04.28

近年話題のVRやeスポーツを取り入れた、ホテル・旅館のファンづくり

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コロナ禍で大打撃を受け、ホテルや旅館などの宿泊業は苦境に立たされている。しかしこのような状況下でも、VRやeスポーツなど新たな需要を掘り起こしたサービスを展開していたり、MAツールを導入し集客を戦略化したりする企業が出てきている。

当面は続くとみられる宿泊業の苦境を打開するためには、創意工夫あふれる取り組みによってファン作りを進めることが重要だ。そこで今回は、他社と差別化をはかり、ファン作りのための新たな取り組みにより成果を上げている宿泊業の事例を紹介する。

目次

ファン獲得のための新たな取り組み事例

宿泊業において、新たなファンを獲得するためにさまざまな取り組みが試みられている。
本記事では、下記5つの事例を紹介する。

・VRを効果的に活用した「てしま旅館」
・eスポーツ体験ホテルを運営する「e-ZONe ~電脳空間~」
・MAツールの導入で集客改善をはかる「阿蘇プラザホテル」
・文豪気分を味わえるプランが人気の「鳳明館」
・外出しなくてもひと味違う遊び体験ができる「ホテルグリーンコア」

旅館をVRで体験 てしま旅館のVR取り組み事例

山口県阿知須温泉の「てしま旅館」では、コロナ禍が影響してキャンセルが多発する状況下にあった。そこで、宿泊したいと思っていたが止む無くキャンセルしなければならなくなった宿泊客向けに、VRを活用して「旅館側から顧客のもとに出向く」というコンセプトの「VRてしま旅館」というサービスを開始した。

VRてしま旅館では、「VRを活用して、てしま旅館の施設を体験できる」「自宅にふぐ会席を配送し、旅館の味を楽しめる」という2つのサービスを提供している。

VRを活用した施設体験では、VRのリアリティでまるでてしま旅館の天然温泉に浸かっているような気分になれたり、猫庭で遊ぶ体験ができたりするのが特徴だ。また、ロビーや客室で寛ぐなど実際に宿泊したときのシチュエーションを想定した体験機会を提供することで、「宿泊できなくても宿泊気分を味わえる」という顧客体験につながりファン作りを促進するきっかけになっている。

 さらに、「福ふく会席」と名付けて全国各地のご家庭に、てしま旅館自慢のふぐ会席を配送し、てっさやふぐの身皮焼き、てっちりなど、山口県名物のふぐの魅力を体験できるサービスも魅力のひとつだ。

 前述のVRによる宿泊体験は福ふく会席を購入することで体験できる。

ホテルに宿泊してeスポーツ体験 e-ZONe ~電脳空間~の事例

近年人気を博しているeスポーツを体験できるホテルが登場し始めている。なかでも「eスポーツに特化したホテル」と「eスポーツ専用の客室があるホテル」に分かれており、eスポーツに特化したホテルは建物やフロアの全てがeスポーツを楽しむための作りになっているのが特徴だ。

大阪の「esports hotel e-ZONe ~電脳空間~」は、eスポーツ特化型ホテルとして2020年に営業を開始したホテルで、「ゲーミングフロア」には全部で72台ものゲーミングPCが3フロアにわたって設置されている。各階には55インチの大型モニターが用意されており、プレイ中のゲーム画面を投影したり、大会の配信画面を映し出したりすることで大迫力のゲーム観戦が可能だ。

 また、宿泊フロアにはカプセルタイプで男性専用客室78部屋・女性専用客室9部屋の計87部屋の客室が用意されている。ほかにも3部屋限定の個室があり、人数分のベッドとハイスペックPCが備わっているため、個室内でも存分にゲームを楽しめるようになっている。

 さらに高性能な配信環境を備えた「ハイスペックストリーミングルーム」を擁しており、ゲーミングデバイスや配信デバイス、ボイスチェンジャーアプリなど、配信に必要な環境が網羅されている。旅行中などでも配信が可能な環境を提供しているのも同ホテルの魅力のひとつだ。

MAツールの導入で集客改善 阿蘇プラザホテルの事例

従来の阿蘇プラザホテルは、旅行代理店を中心に予約を募っていた。近年では「じゃらんnet」「楽天トラベル」などのOTA(Online Travel Agent)経由の予約も受け付けるようになっていたが、「個人客は旅行代理店やOTA経由ではなく、検索経由で直接阿蘇プラザホテルのサイトへ訪問していることも多く、直接予約したいというニーズがあるのではないか」と感じるケースが増えていた。

 そこでターゲットの顧客に直接情報発信するために、阿蘇プラザホテルではMAツールの「SATORI」を導入し、集客改善に取り組み始めた。これまでマーケティングに取り組んだことのないスタッフが、集客改善のためにさまざまなアイディアを出し合いながら顧客へのアプローチを計画中だ。メールマーケティングを行うためのメールアドレス取得を目的とした顧客への創業60周年はがきの送付や、プレゼントキャンペーンなどの実施、さらに予約ページへ誘導するキャンペーンのポップアップ表示や、Facebook広告との連携施策を検討するなど、マーケティング実践企業への変貌を遂げている。

原稿が終わるまで缶詰!文豪気分で執筆に集中 鳳明館の事例

東京都文京区本郷にある鳳明館では、チェックインしてから原稿が書き終わるまで旅館から出られない「文豪缶詰プラン」を提供している。宿泊客が文豪になった気分を体験できるようにさまざまなオプションが用意されており、希望時間になると編集者扮した旅館のスタッフが「先生、進んでますか?」と客室に電話をかけてくれるサービスは無料で利用可能だ。

 さらに文豪気分を高めるための「レトロな文机の貸し出し」や、チェックインからチェックアウトまで執筆をサポートし、時には買い出し等も代行する「担当編集者チームの編成オプション」など、遊び心のあるサービスが揃っている。

 原稿執筆やモノづくりなど、作業に集中したい「お一人様」の宿泊客も積極的に取り込める文豪缶詰プランは、コロナ禍で減少した需要を補い、さらには話題性を獲得して宿泊客増加にもつなげる新しいアイディアだといえるだろう。

ホテルにいながら家族で楽しめるアトラクション体験 ホテルグリーンコア本館の事例

埼玉県のホテルグリーンコア本館では、毎月事前に決められた開催日に館内でプチアトラクションを体験できる。コロナ禍で外出が制限されるなか、「外出しなくても家族で遊べる場を作りたい」というホテル側の試行錯誤によって生まれたサービスだ。

 プチアトラクションの内容は子どもひとりで走行可能な電動カートの「クレイジーカート」や、オリジナルラケットを使った「ピンポン」、妖怪退治をコンセプトとした射的風の「シューティングゲーム」など全6種類で、宿泊客なら無料で利用できる(プチアトラクションのみの利用は子ども1名500円)。

 コロナ禍で遠方に外出を控えている家族にホテルでひと味違う遊び体験を提供し、満足度を高める試みといえる。

柔軟な発想でオリジナリティーあふれる新たなビジネス展開を

コロナ禍で苦境に立たされているからこそ、企業が独創性を活かしたファン作りのための新たな施策に取り組み、逆境にも負けない企業に転換していくことが求められている。

今回紹介した比較的新しい技術であるVRを活用した宿泊体験や、新たな文化になりつつあるeスポーツを取り入れたホテルのように、新しい技術やコンテンツを活用して柔軟な発想でビジネスを発展させていくことが重要になるだろう。


宿泊業従業員の生産性を高める『BtoBプラットフォーム受発注』

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