代替肉とは?大豆ミートの商品開発事例と食品表示ルール

業界ニュース2022.03.01更新:2023.07.11

代替肉とは?大豆ミートの商品開発事例と食品表示ルール

2022.03.01更新:2023.07.11

代替肉とは?大豆ミートの商品開発事例と食品表示ルール

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大豆や小麦、えんどう豆など植物由来の原料を使って作られる代替肉。ベジタリアン向けのメニューとして取り入れている飲食店もある。では、代替肉とはどのように作られ、活用されているのか、メリットとデメリットに分けて解説する。

食肉の代替品として注目される背景や、食品メーカーの商品開発事例、食品表示ルールもまとめているため、導入検討している事業者は参考にしていただきたい。

目次

代替肉(だいたいにく)とは?

代替肉とは、大豆や小麦、えんどう豆など植物由来の原料を使用した食肉に近い食感の食べ物のことを指し、大豆ミートやフェイクミート、プラントベースミートとも呼ばれている。近年では、中小から大手まで様々な食品メーカーが商品化しているほかファストフード店を始めとした飲食店でも導入されており、注目度が上がっている。

代替肉の市場規模

株式会社グローバルインフォメーションによると2020年の41.9億米ドル、大豆由来の肉が45.0%を上回るシェアを獲得しており、2027年には123億2,000万ドルに上ると予想されている。

日本でも最近ではスーパーやコンビニでも代替肉製品を目にする機会はあるが、少し前まで代替肉の消費者はマクロビオティックや菜食主義者がほとんどで、一般的にそれほど認知されていなかった。代替肉が注目されるようになった背景には、世界規模での人口増や気候変動が進む先にある食料不足がある。特に将来的に後進国が経済的に発展することで食生活が変容し、肉の需要が高まると予測されていることから植物由来でタンパク質を摂取できる代替肉が注目されるようになった。

 代替肉というと、その味に疑問を抱く人も少なくないだろう。しかし日本の食品メーカーでは代替肉を美味しく食べられるよう様々な開発を進めており、植物由来のチキンナゲットやピザ、焼肉などバラエティー豊富な料理が提供されている。このような商品が市場に出回るようになってきたことから、一般的な消費者からも注目を集めている。

代替肉のメリットとデメリット

続いて、代替肉を導入する際に考えられるメリットとデメリットをまとめた。

メリットデメリット
・環境への負荷を軽減できる
・持続可能な食料需給につながる
・新しい顧客へアプローチできる
・食肉と比較して割高
・食肉でないと取れない栄養がある
・畜産・食肉業界への影響

主なメリットは、畜産業に比べて温室効果ガスの発生や森林伐採を抑えられるため環境への負担を軽減し、長期的に持続可能な食料自給に繋げられることだ。さらにベジタリアンや低カロリー志向の消費者へのアプローチも可能となる。

その反面、まだ食肉と比較すると開発コストがかかるため導入が割高となる。また、ビタミンB12やカルシウム、鉄など動物性たんぱく質といった食肉でないと摂りにくい栄養素が代替肉では摂りにくいこともデメリットといえる。

食品メーカーによる代替肉の商品開発事例

続いて、食品メーカーなどが近年開発した代替肉を使ったメニューについて紹介する。餃子や担々麺、春巻きなどミンチ肉を使った料理から、素材の味が求められる焼肉まで幅広い肉料理が植物性の代替肉で再現されている。

企業名商品名特徴
昭和産業・たっぷり大豆ミートのボロネーゼソース大豆ミートを使ったパスタソース
DAIZ・ミラクルミートの餃子
・ミラクルミートのハンバーグ
・ミラクルミートの唐揚げ
・ミラクルミートのツナ
・業務用ミラクルミート(基材タイプ)
発芽大豆由来の植物肉。ミラクルミートのツナ、餃子、ハンバーグのほか、基材タイプの業務用も販売
ネクストミーツ・NEXTチキン1.0 オリジナル香草焼き
・NEXTハラミ
・NEXT牛丼
・NEXTチキン1.0 タンドリー風味
代替肉の焼肉を開発。一般的な焼肉より脂質が半分以下、タンパク質は約2倍。チキンの香草焼き、チキンのタンドリー風味、牛丼なども販売
ブイクック・大豆ミートのしぐれ煮ヴィーガン惣菜の定期宅配サービスを提供
グリーンカルチャー・台湾風本格春巻き
・リグリア海のジェノベーゼ
・Green唐揚げ(大豆ミート)
・プラントベース・ナゲット
・Green餃子(大豆タンパク)
外食向けの規格に合わせた製品を販売
日清製粉ウェルナ(旧・日清フーズ)・Smart Table 大豆ミートの汁なし豆乳担々麺
・Smart Table 大豆ミートのガパオまぜ麺
ミンチ肉の代わりに国産大豆の大豆ミートを使用
カバヤ食品・これが大豆!?手羽先味大豆を手羽先風味の味付けをしたお菓子

 

代替肉を使用する際に注意したい食品表示ルール

肉や魚が入っていないのに植物肉を使用した商品のパッケージには「大豆肉」「ノットミート」「植物ツナ」と表示されていて、一見すると何が入っているのか分かりにくい。そのため、景品表示法上、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽った表示の仕方は問題になるのではないかと考える人もいるだろう。消費者庁のHPを参考に、代替肉を使った商品の名称をつける上で気をつけたい点を6つの項目に分けてQ&A形式でまとめた。

質問回答
代替え肉の商品名に「大豆肉」や「ノットミート」と表示することは景品表示法上問題になるか?商品名とは別に「お肉を使用していません」「大豆を使用した商品です」などと消費者が誤認しない表示であれば、景品表示法上の問題にはならない。
大豆の代替肉を使ったハンバーグの商品名に「大豆からつくったハンバーグ」と表示することは景品表示法上問題になるか?「大豆からつくったハンバーグ」との表示を見た消費者の中には、代替肉の使用割合が100%だと認識する人もいる。
このことから代替肉の使用割合が100%でない場合は、商品名とは別に代替肉の使用割合を表示するなどの工夫が必要。
消費者が代替肉の使用割合が100%ではないのに100%であるかのような表示になっていなければ、景品表示法上問題にはならない。
食品添加物の香料に植物由来ではないものを使用した場合、商品名に「大豆ミート」と表示し、「100%植物性」と併記すると景品表示法上問題になるのか。文化や宗教などから完全にベジタリアンを貫く消費者もいることから、商品名とは別に「原材料は植物性です(食品添加物を除く)」などの表示が必要。
大豆、野菜等から作った代替魚の商品名に「代替魚」、「植物ツナ」、「代替マグロ」と表示することは景品表示法上問題となるのか。商品名とは別に「野菜で作りました」「魚を使用していません」「魚不使用」と表示するなど、消費者が魚ではないのに魚であるかのように誤認する表示になっていなければ、景品表示法上問題となることはない。
大豆で作った代替肉で調理して作ったハンバーグなどを飲食店で提供する場合、メニュー名などでどういった点に注意すればよいか。大豆の代替肉で作ったハンバーグのメニュー名には、「ハンバーグ」という表示に加えて「大豆を使用」「肉不使用」などと消費者の見える場所に記載する必要がある。
このような表示をハンバーグと書かれた場所からかけ離れたところに記載した場合も消費者が誤認する可能性があり、問題となる場合がある。
植物由来の食品について、原材料名はどのように記載すべきか。食品表示基準において、原材料名は「最も一般的な名称をもって表示する」ことが必要。
大豆から作られている代替肉の場合は、「大豆」「大豆加工品」などと記載すること。

 

食品メーカーは、どの商品に代替肉が使用されているか情報管理を徹底する必要がある。エクセルなどでは情報の更新や検索がしにくく煩雑になるので、ITツールを利用するのが現実的だろう。

代替肉も選択肢の一つに

国内食品メーカーでも代替肉の様々な開発が進んでいる。将来的に世界的な食糧不足が問題視される中、環境への負荷を抑えて生産できる代替肉に注目されており、代替肉が当たり前のように選択される日も近いかもしれない。

[出典]
消費者庁「プラントベース食品関連情報
消費者庁「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について
農林水産省「代替肉の類型
財務省「ファイナンス令和4年5月号 - 代替肉市場について

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