1.配車システム
ドライバーの人数、運行する台数、積み荷の数量といったデータを収集することで最適化を図る。運送の遅延や、リードタイムなどを数値化し、市場変化に対応できる配車システムをAIによって構築する。代表例として、株式会社ライナロジクスが提供するLYNA2などがある。
2.積載方法
輸送容器、車両サイズ、積載方法を見直す。特に積載方法では画像認識技術などを活用し、積み荷の効率的な積載法や可否をAIに判断させる。最適な積載方法がシミュレーションできる株式会社カリテ・ソリューションズのVMS Solverなどがある。
3.運行管理・ルート
トラックの輸送ルートに関しては、ドライバーの経験則に頼るところが大きい。しかし、GPSや天候も含めた運行状況をデータ化することで、最短ルートの提示が可能になる。すでにアメリカでは、ARI(Automotive Resources International)社が行うトラックの運行を効率化するビジネスにおいて、92万台のトラックについた各種センサーやGPSの位置情報をビッグデータとして活用している。日本のトラックの登録台数は約130万台と言われており、その数字の大きさに驚くだろう。
販売動向などのデータからAIが自動発注
また、小売業や飲食店などでの在庫管理や発注にも、AIが活用されると佐藤氏は話す。
「この商品がなくなってきたから発注をかけよう、というのでは人手もかかるしタイムラグも発生します。例えば電子タグやPOS、売上データなどで数量を管理し、販売動向や気象のデータ等を活用した需要予測を行い、自動で発注をかけるシステムを導入すれば、然るべきタイミングで配送され、業務の効率化につながります。また、発注する個数に関してもデータが蓄積されてくれば、配送効率を考慮した最も効率の良い数をAIが自動で発注もできるようになります」
需要予測と発注のバランス、配送に関わるデータ連動など、AIを活用したサプライチェーンの完成が待たれる。
物量予測AIで、倉庫スタッフのシフト作成も
物流業界では、トラックによる輸送だけでなく、物流センターの物量予測も重要な課題だ。そこで、物流センター向けに、物量予測と庫内スタッフのシフト作成を行うAIサービス「AI CROSTA(エーアイクロスタ)」を提供する株式会社PAL に話を聞いた。
物流の現場では、センター長などのベテラン社員の経験による物量の予測をもとに、必要なスタッフの数を決めることが多いという。
「流通各社や委託を受けた物流会社は、発送作業の内容を基幹システムから紙に出力し、それをもとにピッキング、箱詰めなどを行い、トラックに積み込みます。多くの場合、誰がどの作業をしたかといった情報は、その紙に手書きされています」(株式会社PAL 佐藤貴重さん)
紙に記載された物流情報は、データ化されることなく捨てられているという。その中には、“どれだけの物が入出荷されたのか”という貴重なデータも含まれている。
また、使用している基幹システムが古く、納品先ごとの出荷商品情報などのデータも数カ月分しか残すことができない企業が多いのも実情だ。これでは、昨年の同じ時期にどの程度の物量があったかを知ることができない。ではどうすればいいのだろうか。
「まずは、基幹システムからデータをダウンロードし、保存しておくことです。データ分析することで、ベテラン社員に頼ることなく未来の物量を予測することができます。また、紙に記載されている作業実績をデータ化することも必要です。記録をもとにスタッフのスキルを数値化すれば、自動的に最適なシフトを組むことができます」(株式会社PAL 佐藤貴重さん)