物流が完全無人化される未来
2017年3月、政府が検討しているAIの商業利用に向けた工程表が、「人工知能技術戦略会議」で発表された。その中で、労働人口減少によるドライバー不足が深刻な物流分野について、2030年ごろまでに、輸送や配送を完全無人化する方向性が示された。
「トラックドライバーの需給見通しはギャップが大きく、必要ドライバー数に対して全く供給が足りていません。全体の数が年々減少しているだけでなく、特に大型トラックのドライバーは深刻で、年齢構成比を見ると20代が減り続け、逆に60代以上が増える傾向にあります。これは長時間労働や低賃金の影響で、成り手が少なくなっているのが大きいですね」
そう話すのは、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)のJILS総合研究所・佐藤修司所長だ。同研究所は、物流の円滑化を実現するため、輸送・保管・包装情報などを総合的にマネジメントする機能(ロジスティクス)に関する調査及び研究を行っている。
物流の完全無人化までは、多くの技術革新が必要だと考えられる。では現状、ドライバー減少に対する解決法はないのだろうか。
「トラックの運行効率が低いことも問題です。例えば納品先に到着したトラックが、荷降ろしなどの作業の順番待ちで待機させられることがあります。平均でも、1運行につき2時間弱もの待ち時間が発生しているのです。こういった待機車両の解消を図るためにも、AIを活用したロジスティクスの改善は必須といえます」
オペレーションとAIサービス
では実際に、AIが活用できるのは、どういった分野になるのか。具体的なオペレーション別に見ていこう。