同じように、フムスが一般家庭の食卓に浸透している光景は、イギリス・スペイン・イタリア・ドイツなど、ヨーロッパ諸国のいたるところで見られている。
料理研究家も太鼓判のヘルシー&パワーフード
では、熊谷さんから見たフムスの魅力とは、どのようなものなのだろうか。
「食品学的に、女性の体に嬉しい要素がたくさんあります。ひよこ豆は、胃腸に優しく、血を作り、お通じが良くなるんです。大豆と同様にイソフラボンも豊富ですし。薬膳的に見ても、豆は芽が出る食物なので、生命力あふれる食材として捉えられ、疲れた時に食べると、元気とやる気が湧いてくる食品とされます」
カロリーは控えめだが栄養素はきちんと含まれており、ダイエット食としても優秀だ。満腹感が得られるのでストレスも溜まりにくい。そのため、健康食・美容食ブームを背景に、日本の女性達にも人気が高まってきているのだ。
「しかしなんと言っても、フムスの一番の魅力は、単純に美味しいということですね(笑)。バターもクリームも使っていないのに、なめらかな口当たりでコクもある。イメージ的には『女性が好きそうなメニュー』という感じが強いかもしれませんが、男性にもぜひ食べていただきたいです。仕事の疲労やストレスによる無気力感や倦怠感を感じている方には、特におすすめですよ」
まさに、現代人にぴったりなヘルシーフードといえるフムス。気になるのはその作り方だが、材料も工程も実にシンプルだという。
基本のレシピと飲食店での導入ヒント
<フムスのレシピ>
材料(6人分)
・乾燥ひよこ豆 100g
・練り白ゴマ 大さじ2
・レモン汁 2分の1個分
・にんにく 1片
・クミンパウダー 小さじ1
・塩 小さじ1
・オリーブオイル 大さじ2
・パプリカパウダー 適量
作り方
(1)ひよこ豆を水洗いし一晩水に浸ける
(2)鍋に新しい水とひよこ豆を入れ、アクを取りながら柔らかくなるまで1時間ほど茹でる
(3)ザルに上げて水気を切る(茹で汁は少し取っておく)
(4)ニンニクをスライスし、オリーブオイルと一緒に軽く温める
(5)ひよこ豆と調味料をフードプロセッサーでペースト状にする(取っておいた茹で汁で固さを調整する。茹で汁の量によっては調味料を足して味を整える)
(6)器に盛って真ん中をくぼませ、オリーブオイルを注ぎ入れる。パプリカパウダーを振って完成
美味しいフムスを提供するためには、あらかじめ水煮された豆を使わずに、手作りした方が良いという。
「最近では、ひよこ豆の水煮缶やレトルトも売られていますが、手間は惜しまずに、豆から水で戻して煮た方が美味しく仕上がります。作ったフムスは冷凍保存できるので、一度に作りおきしてポーションごとに分けておけば、豆を煮る手間もそれほど気にならないでしょう」