世界最大級のマンモス市場。その歩みと現状
国内外から生鮮食料品が集まる日本最大の中央卸売市場、築地市場。1935(昭和10)年、日本橋の魚市場と京橋の青物市場が築地へ移転し、東京市中央卸売市場として開場以来80年の歴史を積み重ねてきた。
2013年度実績での年間取扱量は、水産物48万3,951トン(約480種類、4,217億2,900万円)、青果物(鳥卵・つけ物含む)30万5,943トン(約270種類、856億4,300万円)にも上り、水産物の取り扱いでは世界最大規模を誇っている。青果物においても、促成野菜や洋菜類、ハーブ類の豊富な品揃えは他に類を見ない。
しかし、各部類の取扱量、取引金額とも減少傾向にあり、水産物の取扱量は1987年をピークに4割近く落ち込んでいる。
その要因のひとつが、築地市場自体が抱える施設面での問題だ。長い年月の中で施設が老朽化。建物の一部が破損して落下するなど、安全面での問題は深刻だ。また、過密化によって市場内外の違法駐車や周辺道路での渋滞、車両の接触事故が多発しているほか、搬入・搬出のスペースが足りず作業が非効率になっている。
さらに、カット加工・小分け配送等の付加価値サービスを提供する場所や設備が十分でないことや、開放型施設であるがゆえに直射日光、風雨、塵埃の影響を受けやすく温度管理が徹底できないなど、課題は多い。
また、少子高齢化による食料消費量の減少、インターネットの普及や大型小売店と生産者組合による市場を通さない直接取引の増加など、時代の流れとともに卸売市場を取り巻く環境の変化は築地市場でも例外ではない。
その状況を打開するためには、移転以外の選択肢も考えられた。1991年、現在地での再整備工事に着手したが、日々の営業活動に与える影響への懸念などから調整が難航し、1996年には工事を中断。都と業界で協議と検討を重ねた結果、1999年に移転整備へと意見集約されたのである。