居酒屋業態の低迷とバル業態の台頭
「World Foodians」は、飲食業界の情報ポータルサイトを運営する「飲食業界.com」が主催するイベントで、世界中のワインやビールなどのドリンクが集まるワイン・ドリンク専門展だ。昨年、初開催にも関わらず、7000名を超える業界関係者が来場した、飲食業界で注目のイベントである。
「ここ10年、低価格を売りにした和食ダイニング系のチェーン店が人気を誇り、ドリンクメニューも日本酒ブーム、焼酎ブーム、ハイボールブームと続いてきました。近年その業態に陰りが見えてきた中で、ワインを目玉とした飲食店が増えてきています。具体的には、ワインバーや手軽に本格的な西洋料理が楽しめるバル業態の人気が高まっています」
実際にワインの輸入量も増えている。2013年では、爆発的な「赤ワインブーム」の真っ只中だった1998年を超え、過去最高(参考資料:メルシャン株式会社)となっている。ワインをドリンクメニューの中心にしている、俺のイタリアンやびすとろUOKINなどのバル業態は店舗数を順調に伸ばしており、これからもワインの輸入量は増えると予想される。
低価格帯からより付加価値の高いワインへシフト
ワインと言えば価格帯が幅広いドリンクであるが、どの辺りが注目されているのだろうか。
「数年前に低価格ワインブームが訪れ、多くの飲食店がカスクワイン(箱型ワイン)を導入しました。しかし、中には品質がよくないものもあり、味に満足いただけないお客様がいらっしゃったのも事実です。近年、安くておいしいワインが小売店で販売されるようになり、家で飲む方が増えてきています。そんな中、外食時にはよりよい味や香りを求めるお客様の声が高まり、品質のよいワインを品揃えするお店や、お客様の要望を超えるものを提供したいというお店が増えてきました。西洋料理店だけでなく、居酒屋チェーンの中にも、中~高価格帯のワインを揃えるところもあります」
具体的にはどういったワインを仕入れているのだろうか。
「イタリア産やフランス産のワインを数多く取り揃えているお店や、珍しいワインを提供するお店もあります。また、原料であるぶどうから製造まで、全て日本国内で行う日本ワインを提供するお店も増えてきています」
本当の意味で、飲食店の方に役立つイベントを目指す
なぜ、ワイン・ドリンクの専門展を開催することになったのか。その経緯を聞いてみた。
「以前からワインの試飲ができるイベントはあったのですが、規模が小さいものや各国ごとでの開催といったものしかありませんでした。そこで、世界中のワインが一同に集まるイベントを立ち上げて、日本中の飲食店の方に来場していただき、仕入の参考にしていただきたいと思い、このイベントを立ち上げました」
昨年来場した飲食業界の方からは、「ここまで大規模なワイン中心の展示会がなかったのでとても新鮮だった」、「仕入れに直結した有意義なイベントになった」、「ワイン・ドリンク展という名前通りのドリンクに特化した専門性のある展示会だった」と好評の声が集まったという。
「今年は世界のワインを各国毎に分けて、テイスティングできるイベントを行います。また新たに問屋の方に待機していただく、相談所をご用意いたします。昨年は、商品を気に入っても仕入ルートがないため、扱うことができなかったという飲食店さんもいらっしゃいましたが、相談所を利用していただくことで、問屋経由での取引が可能になると思います」
インポーターがまだ決まっていないワイナリーが来日するコーナーもあり、日本未上陸のワインを試飲することができる。また「めったにイベントに出ないワイナリーさんも出展」するなど、希少価値の高いワインを見つけることができる絶好のチャンスとなる。
他にも、日本酒造組合による國酒の提案ブースや、日本ソムリエ協会の世界各国のワイン情報パビリオン、全日本司厨士協会のホテルシェフキッチンセミナーも開催され、飲食店の方からの注目が高い。客層が多様化する中、料理だけではなく、ドリンクメニューでの差別化はますます必要になってきそうだ。
World Foodians 2014-飲食業界人のためのワイン・ドリンク展-
会期:2014年10月22日(水)~23日(木) 場所:池袋サンシャインシティ 文化会館4F
入場料金:3,000円 (事前登録者は無料) ※業界関係者のみ入場可能
公式サイト:http://world-foodians.com/