外食アワード2021授賞式。FOOD & LIFE COMPANIE、GOSSOなど5社7名受賞

セミナー・イベントレポート2022.02.01

外食アワード2021授賞式。FOOD & LIFE COMPANIE、GOSSOなど5社7名受賞

2022.02.01

外食アワード2021授賞式。FOOD & LIFE COMPANIE、GOSSOなど5社7名受賞

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外食産業記者会は、昨年外食業界で活躍した人に贈る「外食アワード2021」を発表した。受賞者は外食事業者部門で46名、中間流通・外食支援事業者部門1名の計7名となった。

同記者会代表幹事の川端崇嗣氏は、総評として「コロナの影響でダメージが長引き消費環境が劇的に変化するなか、恐れることなくチャレンジを続けた勇気が評価され受賞にいたった」と話す。受賞者の喜びの言葉を紹介する。

目次

競合他社を引き離し、別業態や海外展開でも圧倒的存在感

株式会社FOOD & LIFE COMPANIES 代表取締役社長CEO 水留 浩一 氏

株式会社FOOD & LIFE
COMPANIES 代表取締役社長CEO
水留 浩一 氏

水留氏は、2015年に回転寿司最大手スシローの社長に就任し、様々な手法でブランドコンセプトをブラッシュアップさせ、他社を大きく引き離してきた。

受賞の際のあいさつで水留氏はこう振り返る。「今回の受賞は、スシローとしては2度目になります。前回2011年の受賞の際は、回転寿司業界の将来性を期待されて受賞の運びに至ったと受け止めています」。さらに同氏は、その後の10年間を「いろんな形でこのスシローという業態を進化させてまいりました」と話す。

その言葉通り、同社は郊外ロードサイドの「スシロー」とは別に、繁華街型の寿司居酒屋業態に目をつけ同業態店舗「杉玉」を昨年までに50店に迫る勢いを見せている。また老舗寿司店「京樽」を買収してテイクアウト専門店として強化するなど、回転寿司だけにとどまらない展開を見せている。

とくに水留氏が就任してからは、韓国、台湾、香港、シンガポール、中国と、アジアを中心に海外展開を進めている。その状況を踏まえて、水留氏は今後の抱負をこう語る。

「現今の日本をとりまく厳しい環境のなかでしっかりと競争力をたくわえ、そして今後海外に出て行って、しっかりと勝っていく。その形をわれわれが作り上げて、ぜひ外食産業全体のなかで定着させていきたいと考えています」

コロナ禍で耐えてきた間を「競争力を蓄える期間」と捉える積極性こそが、外食アワード受賞につながったのは間違いなさそうだ。

「0秒レモンサワー®」がブームとなり、オープン以来2年で45店舗に急拡大

GOSSO株式会社 代表取締役 藤田 建 氏

GOSSO株式会社
代表取締役 藤田 建 氏

GOSSO株式会社は渋谷の雑居ビルに出店した創作料理店を皮切りに、創業から5年ほどは空間演出を前面にだして業績を伸ばした。やがて飲食業界のトレンドや消費者のニーズがエンタメ性から商品へ移っていることを感じ取って戦略を変更し、チーズフォンデュを売りにした業態開発がハマり繁盛店に。

様々な業態を展開していくなかで、2019年12月に出店した「0秒レモンサワー® 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」が大ヒットした。同店の出店経緯を、藤田氏は受賞のあいさつのなかでこう話す。「派手な演出でニッチを狙った業態から、味で勝負できる店舗を模索しているなか、仙台のホルモン焼き肉のローカルチェーンの『ときわ亭』に出会った。そのまま東京に出店するだけでは弱いとアレンジを加えました」

それが一大ブームを巻き起こした「0秒レモンサワー®」だった。全卓にレモンサワー専用のサーバーを設置した。お客様がセルフで注ぐスタイルが人気を博し、2019年12月の横浜1号店オープンを皮切りに、2020年7月には旗艦店である東京・渋谷店を出店。その後もコロナ禍でも出店の勢いは止まることなく、2021年11月にオープンした奈良・近鉄奈良店で45店舗となった。

藤田氏は受賞後のあいさつで、開口一番「何よりもまず受賞にあたって、店の発祥でもある仙台ときわ亭の加藤社長に御礼を申し上げます。そして、2年という短い間で受賞に至ったのは、当然ながらわが社1社でできることではなく、取引先の関係各社皆様のご協力とご支援があったおかげと考えています」と感謝を口にした。

続けて「何よりもGOSSOという会社の未来を信じてついて来てくれたわが従業員に、本当に感謝の気持ちを伝えたいと思います」と話し、「弊社は、まだまだこれからの会社でありますが、より一層精進してまいります」と結ぶ。

ブームを巻き起こし、急拡大を経たチームのトップとしては謙虚な姿勢で、今後もあらたな風を巻き起こしていくことが期待されての受賞といえるだろう。

カフェ業態を進化させ、パン物販でも繁盛店。その源にあった仲間との絆

株式会社DREAM ON 代表取締役社長 赤塚 元気 氏

株式会社DREAM ON
代表取締役社長 赤塚 元気 氏

「渋谷道玄坂DRAEMON」をはじめ、東京・愛知で居酒屋・バル業態を中心に20店舗展開してきた株式会社DREAM ONでは、2020年9月に愛知県内にオープンしたベーカリーカフェ「ESPRESSO D WORKS(エスプレッソディーワークス)」がヒット。あわせて食パン専門店「One Hundred Bakery」の出店を一気に加速させ、2021年だけで12店舗の出店を数えた。いずれもコロナ禍にありながら行列の絶えない繁盛店となっている。

カフェ業態の開発にあたっては、数人の社員と共に親交の深い仲間であったカフェ事業者の指導助言を受けた。赤塚氏は当時を振り返りつつ、受賞時のあいさつで「わが社が受賞できたのは、カフェ業態開発にあたって協力してくれた皆様のおかげです。また、一緒に会社を作ってきてくれた仲間と、何よりも一緒に走り回ってくれたスタッフ全員にも、あらためて感謝を伝えたい」と、思いを吐露した。

日ごろから「お客様に選ばれるのは店の空気感があってのこと。人と人とのコミュニケーションが他の店とは違うと感じていただくことで、多くのリピートにつながっている」と話す同氏は、

「コロナが始まったときは先が見えず、どうなるか全然わからなくて、じつは怖くてたまりませんでした。でも、このコロナが終息して、もしくは5年後10年後に、“このコロナのおかげでここまで飛躍できたね”と言えるような環境をつくるべく、何事もぶつかっていこうと社員と約束しました」

その約束は、今回の受賞で叶えられたのかもしれない。

異色のコラボレーションが業界に新風を巻き起こすか

株式会社挽肉と米 Chief Meat Rice Officer/CRO 山本 昇平 氏、Chief Executive Officer/CEO 清宮 としゆき 氏、Chief Creative Officer/CCO 小西 利行 氏

株式会社挽肉と米
Chief Meat Rice Officer/CRO
山本 昇平 氏

いまや定番となった人気メニューであるハンバーグ・オン・ザ・ライス。その火付け役となったのが、昨年吉祥寺と渋谷に相次いでオープンした「挽肉と米」。炭火焼きハンバーグと炊きたてごはんという、異色ながらシンプルな取り合わせの専門店だ。

店舗を運営する株式会社挽肉と米は、そもそもの成り立ちが異色そのもの。行列ができる「山本のハンバーグ」を経営する株式会社俺カンパニー社長の山本昇平氏と、「一風堂」を展開する力の源カンパニー元社長の清宮俊之氏。そしてメディアや商品のプロデュースを行う「POOL」社長の小西利行氏。業態も業種も異なる3者が設立した。

まず山本氏がスタートの経緯をこう語る。「挽肉というのは世界中にある人気の食材。これを日本ならではのお米と一緒に食する。それだけのお店を作りたいと思っていました。そこでまず、外食に携わっている方ならば誰でも知っている清宮さんに相談したところ、『飲食においてもデザインやコピーが大事』とおっしゃって、数々の大手の企業のプロジェクトでブランディングをされてきた小西さんを紹介してくれました。わたくしの夢が、この2人のビッグネームと知り合えたおかげで、ここで受賞することができました」

株式会社挽肉と米
Chief Executive Officer/CEO
清宮 としゆき 氏

清宮氏も、笑みを含みながらこう振り返る。「山本さんという商品の天才を活かすためにはブランディングのプロを引っ張ってくるしかないと、かなり無理して小西さんにお願いしました。いわば山本さんのわがままに引っ張られた印象です」

話を受けた小西氏はどうだったのか。「とにかく最初にコンセプトを語ってもらった時の山本さんのキラキラした目の輝きに惹かれました。サービスを含めた料理の天才を生かすために、飲食とは無縁ながら、とにかくやってみようと思いました」

株式会社挽肉と米
Chief Creative Officer/CCO
小西 利行 氏

情熱の相乗効果が、いまや「最も長い行列を作る店」とまでいわれる人気店を生んだ。その相乗効果を、山本氏はこう分析している。

「どんな会社でもお店でも、多くの方の力が集まってできているというのは当然ですが、われわれはとりわけ離れた場所にいた違う個性、違う会社の面々が集まった。そこに大きな可能性を感じています。店舗数や売り上げを伸ばすことよりも、全てのお客さん、全ての従業員に『この店に来てよかった』『この店で働けてよかった』と思ってくれる店を作りたかった。それがお二人の才能に巡り合えたことで実現できたかもれません」

アフターコロナを見据えた時、飲食の新たな可能性を提示したことが、今回の受賞につながっている。

1年で1300か所に展開 冷凍自動販売機は飲食事業者の“希望の星”になった

サンデン・リテールシステム株式会社 専務執行役員コールドチェーン事業部長 野口克 氏

サンデン・リテールシステム株式会社
専務執行役員コールドチェーン事業部長
野口 克 氏

外食事業者部門に引き続いて、「中間流通・外食支援事業者部門」で唯一受賞したのが、冷凍自動販売機メーカーのサンデン・リテールシステム株式会社だ。

2021年1月末に冷凍自動販売機「ど冷(ひ)えもん」を発売。コロナ禍において、24時間、非対面・非接触のまま、冷凍で食品が購入できる点が支持されて圧倒的な勢いでシェアを伸ばし、わずか1年で全国1300か所に設置されている。

表彰について、同社専務執行役員コールドチェーン事業部長の野口氏はこう話している。

「受賞と聞いた時には、本当にうちが受賞に値するのかどうか大いに悩みました。当社はいわゆる冷凍庫メーカーです。本来主役は冷凍庫に入れられる食材であるはずです。飲食店の皆様が努力し、コロナ化でわずかでも販路を増やそうとして冷凍庫を使ってくれているだけで、あくまでも主役は飲食店の皆様です。ですから、今回の受賞は、わが社の冷凍庫に納品してくれる飲食店の皆様を代表しているのだと考え、受賞させていただくことを決めました」

同社の冷凍自動販売機「ど冷(ひ)えもん」によせられる飲食店からの思いは切実なものがあるという。「自粛要請で苦しんだ飲食店が、中身商品の開発を積極的に行い、売上げ減を補おうと導入してくださいます。人件費を抑え食品ロスを削減するといった効果もありますが、なによりも自分にかわって販売してくれる大事な存在だと、飲食店のオーナーさんはおっしゃいます。なかには『ありがたくて毎日磨き上げている』という方もいました。そういうすべての飲食店の思いを背負って、さらに故障や不具合を抑え、業界全体に貢献できればうれしい限りです」

まさにwithコロナを担うあらたなツールとして、冷凍自動販売機は中小飲食店の希望の星と目されているという。

授賞式の最後に、前出の外食産業記者会・代表幹事の川端崇嗣氏がこう締めくくる。

「未曽有の環境変化を強いられているなか、飲食業界にはまだまだ可能性があることを示してくれた今回の受賞者には、業界に携わる一人として、敬意と称賛を送らせていただきます」


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