受注管理業務とは?
受注管理とは、顧客から注文を受けたのち、注文内容や在庫、納期の確認をするなど、受注に関わる一連の業務作業のことを指す。企業によっては、新規顧客の見積業務から出荷準備・配送伝票の起票までの一連の流れを受注業務としているケースもある。
似たような言葉に販売管理があるが、こちらは見積業務から仕入れ、売上の計上・請求・入金までの販売に関わる幅広い業務を指しており、受注管理はその中の一部として扱われる。
受注管理業務の流れ
受注管理は1つの部門だけでなく複数の部門が連携を取る場合や、取引先などとこまめに連絡を取る場合がある。受注管理の流れを細分化すると6ステップに分かれている。具体的に見ていこう。
1.見積書の作成
取引先から注文を受けると、その内容に応じて見積書を作成する。発注者は複数の企業に見積書を依頼し費用や納期、発注できる数量から、業務を依頼するかの判断材料にする場合も多い。
また、見積書には、発注側と受注側の取引内容への認識を一致させトラブルを未然に防ぐ役割もある。金額や数量などで記載ミスや誤認が起こらないよう、あらかじめ見積書を発行する際のルールを定めておくことも重要となる。
2.契約の締結
初回の取引の場合では取引先が見積書を確認し、当事者間で同意を得られれば双方の企業が契約を交わす。
これから取引を始める企業との言った言わないのトラブルを未然に防ぐためにも、納期や支払い、その他の約束事項を明記した契約書の作成が必要になる。
3.注文内容・取引先の登録
注文が確定した後、商品や数量、金額などの受注内容の情報を販売管理システムに登録する。それらの情報をもとに仕入や在庫管理、生産部門などの担当者は出荷準備などを進める。また新規顧客の場合、次回以降の受注をスムーズに進めるために取引先の登録も行う。
4.在庫の管理
注文された商品の数量に応じて在庫の確認を行う。数が足りない場合や受注生産の場合には、必要に応じて仕入や生産を行い、予定通りの数量を確保する必要がある。
5.納期の連絡
在庫や仕入などの状況から、納品日の予定を取引先に伝える。もし期日に間に合わない場合には、各部門と相談して納期の調整を行った上で連絡する必要が出てくる。
6.伝票と注文請書の作成
受注日や納品日、取引内容や金額などを記載する受注伝票の作成と、注文内容を受領した旨を通知する注文請書の作成を行う。
注文請書に関しては義務ではないが、「この条件で注文する」「その条件で受注した」という双方の意思確認ができるため、後々のトラブル防止につながる。
受注管理業務で発生する課題
受注管理を行う上では、情報の取り扱いに気をつけなければならない。少しのミスが納期遅延などにつながり取引先に迷惑をかけることもあるため、トラブルやクレームに繋がりかねないからだ。
とはいえ日々の業務に追われていると、見落としてしまうケースもある。では具体的に受注管理ではどんな課題があるのか解説していく。
受注業務の煩雑さ
受注管理といっても、前述したように企業によっては伝票の起票から出荷準備まで幅広い工程がある。様々な取引先からの注文に対応していると、受注管理だけでもかなりの工数がかかってしまうのが課題点だ。
また食品卸の中には、まだまだアナログな方法で受注している企業が多い。特に電話やFAXなどの様々な窓口があると、取引先や注文内容などの情報が手書きのメモや書類、メール受信ボックスなどの様々な媒体に散らばってしまう。近年ではLINEを用いて受注を受けている企業もある。
どこにどのような情報があるのか確認しきれないだけでなく、ヒューマンエラーなども発生しやすいのが難点だ。例えば、以下のようなトラブル事例が挙げられる。
・FAXの記入ミスや商品名・単位の省略、文字が消えてしまい読み取れない ・電話での口頭によるやりとりで商品や数量、金額を聞き間違える、言った言わないが発生する ・商品名や数量、納品場所などの受注内容を入力する際に打ち間違いなどのミスが発生 |
また食品等事業者の場合、商品の個数や納品日だけでなく、産地や賞味・消費期限など取り扱う情報も多いため、アナログなやりとりだとどうしても把握するのが困難になってしまいがちだ。
特定の従業員に属人化した業務となる
受注管理の中でも、電話の窓口や取引先の担当者に業務が依存することで出てくる課題もある。
例えば、取引先から商品名や数量などを省略して「いつもの商品をお願い」と注文を受けるケースがある。もちろん常に同じ従業員同士のやりとりであれば、業務の簡略化につながるかもしれないが、いつもの担当者が不在の場合には再度確認する必要があり、通常より手間がかかってしまう。
また同じ商品名でも味やロット数などが複数ある場合だと、今回どの注文内容を指しているかすぐに分からず、過去の受注履歴を確認したり客先に再確認したりするなどの業務が発生し時間がかかってしまう。
受注管理を効率化する方法3選
受注管理の業務負担を減らすには、既存の作業環境を見直さなければならない。まずはアナログで実施している業務の改善から始めることで、より伸び代のある効率化に繋げられるはずだ。
具体的には、以下のような方法が挙げられる。
メリット | デメリット | |
エクセル管理 | ・個店でも導入しやすい ・かかる費用が少ない ・社内ネットワークでデータ共有できる | ・手入力が多く入力ミスがおこる、時間がかかる ・同時に複数人の入力ができない ・支店間、他部門で共有がしにくい ・数式が崩れやすい |
システム管理 | ・データ入力の手間を削減 ・基幹システムと連携し一元管理できる ・情報共有がスムーズ | ・導入コストがかかる ・システム移行に手間や時間がかかる ・取引先が対応していないことがある |
アプリ活用 | ・場所を選ばず利用できる ・取引先が気軽に導入できる ・取引先との連絡が取りやすくなる | ・モバイル端末へのインストールが必要 ・単純な操作に向いており、PC上での作業に比べてできる操作・業務が限られる |
エクセルによる管理
表計算ソフトであるエクセルは、商品名や数量、金額や納期、産地や消費期限などの様々な項目を作成して利用できる。必要に応じて項目を増やしたりレイアウトを変更したりと自由度が高いため、自社に適したフォーマットを作りやすい。Microsoft Officeが入っているPCを導入している企業も多いため、比較的安価に済ませることができる。
その反面、受注情報の整理はできるものの入力の手間はかかり、アナログ業務の削減にはつながりづらいといえるだろう。
システムによる管理
受注管理システムでは、主に受注業務における様々な工程を1つのツールでまとめて遂行できる機能を備えているものが多い。基幹システムと連携すれば、会計業務や出荷・配送までもシステムで一元管理しやすいメリットも挙げられる。
例えば『BtoBプラットフォーム 受発注』であれば、取引先の注文内容から自動入力できるため、書類作成や請求業務まで正確かつスムーズに一括で処理できる。インボイス制度や改正電子帳簿保存法にも対応しており、既存のフォーマットや様式を新たに作り直すなどの手間も掛からない。
また取引先が受発注システムに対応できずFAX発注が多い場合には、『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』のオプション『発注書AI-OCR』機能を使うことで、FAXの受注もデジタル化できるため、既存顧客との取引も継続して行いやすい。
モバイルアプリの活用
モバイルアプリは、システムと同様に受注管理を一括で行える機能を備えたツールを、スマホやタブレット端末から操作できるのがメリットだ。外出先やリモートワークなどの様々なシーンにおいても、すぐさま受注内容の確認などを実施できる。
またアプリなら取引先にPCやインターネット環境が整っていない場合でもスマートフォンから利用できる点も大きい。例えば受発注システム『TANOMU』では、取引先がLINEのアプリを使用して発注するため、システム移行のようなハードルの高さがなく、取引先からの理解も得られやすい。
販売画面で特価品や新商品などの提案ができるので、販売促進による利益アップや食品廃棄の削減などに繋がるのもメリットだ。
煩雑なアナログ業務は受注管理システムで改善
食品卸売企業では飲食店などへ多くの食材や食品を提供するため、受注業務に多くの時間を取られやすい。当たり前の業務になっているかもしれないが、アナログ業務となっている部分のデジタル化、ITツールの導入などで大幅な改善も可能となる。
システムやアプリを導入検討に当たって、まずは自社の運用に適したツールを選ぶためにも「電話やFAXによる注文対応からミスやトラブルが発生しがち」「伝票や請求書作成などの事務作業に割く時間が多い」など、受注管理においてどんな課題があるのかを明確にしてみよう。