FAX OCRとは
FAX OCR(Optical Character Recognition/Reader:光学文字認識)機能とは、FAXで届く注文書をスキャナーなどで取り込むことで書かれた文字を自動認識し、テキストデータに変換する機能である。
FAXをOCRで読み取る方法は、大きく分けて2つある。1つ目は、出力されたFAX用紙をスキャナーなどで画像データとして取り込んで、OCRソフトで処理する方法である。導入時のコストが比較的安価な点が支持を得ている。
2つ目は、OCR機能が搭載されたFAXサーバーを設置する方法である。書類をスキャナーで取り込む手間がなく自動でデータ化できるため、紙の印刷コストや保管作業など管理業務の削減といった利点があるものの、初期投資にコストがかかる。どちらも読み取り精度は手書き文字かタイピング文字かで異なり、手書き文字のほうが精度は低下する。
FAX OCRの読み取り方法
OCRソフト | OCR機能搭載のFAXサーバー | |
---|---|---|
導入 コスト | 比較的安価に導入できる | OCRソフトより初期費用がかかる |
運用 コスト | FAX注文書の印刷コストと、スキャナーでデータ化し紙をファイリングするなどの業務コストが発生する | FAX注文書の印刷コスト・保管の業務のコストを削減できるが、月額費用が発生する場合がある |
FAX OCR導入のメリット・デメリット
メリット
OCRを導入する最大のメリットは、FAXの注文内容を手入力する作業が少なくなり、人件費を削減できる点である。多くの企業では取引先から注文をFAXで受注している。受注担当者は毎朝、注文内容を販売管理システムに手作業で入力し、納品伝票を印刷するなどの時間に追われている。FAX OCRを導入することで入力の工程が削減でき、配達の遅れや再配達の防止にもつながるだろう。
また、多くのFAX-OCRは操作がかんたんで、専門の技能や経験も不要だ。最近ではOCRにAI機能が搭載されたサービスもあり、AIの学習機能によって文字の読み取り精度が日々向上する点も魅力の一つだ。また紙媒体で受注書を管理していると、後から見返す際に探す手間がかかる。書類をデータ化することでファイリングする必要がなくなるため、取引先ごとにデータを管理することも容易だ。注文書だけでなく、取引先に送付した見積書などもデータ化できるものもあるので、書類管理にかかる時間と手間を削減し、業務効率を高められるのも利点だ。
デメリット
FAX OCRを導入するにあたって検討するべきポイントは費用対効果である。まずは、1件あたり、1日あたりの受注処理にかかっている人数や時間を把握し、OCR導入でコスト削減になるか試算してみよう。
さらに、FAX OCR機能は用紙の文字情報をテキストデータ化することだ。手書きの文字を正確にテキストデータに変換しても、販売管理システムの商品マスタと紐づいた機能がなければ商品特定に時間がかかり、導入しても効果がないこともある。読み取ったデータを販売管理システムの商品マスタデータと連携することが必要なので、検討しているものが、自社で使っている販売管理システムの商品マスタと紐づけることができる製品であるかも確認しよう。いた機能でなければ商品特定に時間がかかってしまうため、導入しても効果がないこともある。
その他にも、FAX OCRによっては指定の書式のみ対応しているものや、紙の書類をスキャナーなどで読み込ませるなどのひつようがあるなど、一部手間がかかる場合もある。
サービス導入時に必要な機能
メリット・デメリットをまとめると、導入に必要なFAX OCR機能は下記の点になる。
●文字読み取りが高精度
●自由なFAX注文書の書式に対応
●AI学習機能で使用するたびに精度を向上
●販売管理システムと連携して、商品マスタと紐づいた商品特定が可能
上記の機能を備えたサービスの一つに、インフォマートの『発注書AI-OCR』がある。受発注システム『BtoBプラットフォーム受発注ライト』の商品マスタと連携して、あいまいな商品名でも特定が可能になる。自社や取引先問わず様々な書式に対応し、取り込み結果をAIが自動学習するので、使用するたびに商品特定の精度は上がる。
FAX OCRで時間コストの削減を
FAX注文書の処理に悪戦苦闘している企業は多い。システム導入時に初期費用がかかるが、業務の効率化によるメリットは大きい。取引先とのやり取りをFAXでやりつつも、その内容を自動でデータ化し、社内で共有できる点は、業務効率の大きな改善につながる。導入コストと効果が見合うかどうか、自社の業務状況を踏まえて検討してみるのがいいだろう。