RPAで受注処理業務を自動化。年間約3,000時間削減した食品卸のIT活用術~株式会社マツヤ

卸・メーカー2022.11.30

RPAで受注処理業務を自動化。年間約3,000時間削減した食品卸のIT活用術~株式会社マツヤ

2022.11.30

RPAで受注処理業務を自動化。年間約3,000時間削減した食品卸のIT活用術~株式会社マツヤ

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ヨーロッパ産の食材をメインに取り扱う食品卸の株式会社マツヤ。大阪を拠点に、東京、神奈川、名古屋、京都、神戸、九州、沖縄と全国へ拠点を展開し、飲食店やホテル、ハウスウェディングと取引をしている。

販路の拡大により増加した注文内容の入力作業を解消するため、受発注システムとRPA(Robotics Process Automation:ロボットによる業務自動化)を組み合わせ、年間で約3,000時間もの業務時間を削減させた。その経緯について同社のシステム管理部次長 小嶋康之氏に伺った。

目次

取引先を巻き込んだ受発注業務のシステム化

食品卸は日々、取引先から多くの受注を受けるが、その方法はFAX、電話、メール、Web経由のシステム受注などさまざまだ。マツヤでは、Web受注が約4割、そのほかFAXや電話による受注が約6割という状況だが、以前はほとんどFAX受注だったという。

マツヤは2019年に基幹システムをリニューアルした。その際、インフォマートの受発注システムの取引データをCSVにして基幹システムに取り込むことで、社内のIT化を進めた。IT化した理由は自社のFAX受注業務による従業員の負担を減らしたかったと話す。

株式会社マツヤ
システム管理部 次長
小嶋 康之 氏

「毎朝、大量のFAXの注文書を基幹システムに入力するという課題がありました。人の手が加わるとどうしても間違いが起こります。受注を間違えばお取引先様にも迷惑がかかるので、注文をデジタルデータで取り込みたいと思っていました。そこで導入したのが、Webブラウザを使った受発注システム『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』です。

飲食店など発注する方は無料なのでおすすめしやすく、約1,000件の取引先様がシステムに登録していただいています。お取引先様もより簡単に発注いただけるようになりました」

取引先を巻き込んで受発注業務をシステム化することで、受注業務の時短化と正確性を実現したというが、取引先にシステムを利用して発注してもらうことが必要だ。マツヤは案内の方法を2段階に分けたという。

「取引先様に対して、まず受発注システムの案内と仮ID・パスワードが入った案内状をFAXでお知らせしました。これで登録いただいた取引先様もありましたが、『何のこと?』と感じる方も多くいます。そのため案内状を紙に印刷して、営業担当者が取引先様のところへ直接出向いてご説明しました。その甲斐あって、登録数も増え、スムーズな稼働につながりました」

RPAによる受注自動化で、出荷作業がスムーズに

マツヤでは受発注システムを使ったことで、従業員が業務負担軽減を実感しIT化に好印象を得たという。そこで小嶋氏が取り組んだのが、受発注システムとRPA、販売管理システムの連携である。

「当社で利用している受発注のシステムはいくつかあり、RPAで受注業務を自動化するにも、当初はどこから手をつけていいかと正直悩みました。そこで、まずは取り扱い件数の多い『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』とホテルの取引先様向けの受発注システムの2つから受けている注文の自動処理をしようと取り組みはじめました」

マツヤがRPAのツールとして導入したのが、ユーザック社が提供するシステム『Autoジョブ名人』だった。

「RPAと受発注システムの導入効果は、朝の業務で出ました。以前は、営業担当者はFAXを手入力するため朝早く出社して作業を開始していました。それが、受発注システムとRPA、基幹システムを連携させて受注データが自動で取り込めていたり、印刷されていたりするようになり、朝の作業が軽減されたのです。営業担当者が出社した時には受注データが基幹システムに取り込まれているので、出荷作業までの時間を短縮する事ができます」

RPAツールの導入にあたっては、プログラミングの知識はいらないものの、どの部分をどのように自動化するのかをあらかじめ決める必要がある。その際、操作のテンプレートが用意されていたので取り掛かりやすかったという。またパソコンの推奨スペックより低かったためPDF出力・印刷時にエラーが多かった。PDF閲覧ソフトを64bit版から32bit版に切り替えるなどして解決させた。

「自動化処理の途中で問題があると何らかのエラーが出るので、注文処理が個別に漏れることはありません。受注は、1件ごとにかかる時間はわずかです。ところが、毎日繰り返すことで実は大きな負担となります。今回、RPAで受注業務を自動化したことで、年間で3,000時間にもおよぶ業務時間の削減を実現することができました。削減時間を算出したことで、こんなにも無駄な時間があったのかと驚きました」

低コストで導入したRPAで、手作業の時間を大幅に削減

受発注業務の自動化によって、「従業員の幸せを加速したい」と話す小嶋氏。最後に今後の展望について伺った。

「RPAツールの導入は、基幹システムを入れ替えるといったこととは違うため、莫大なコストがかかるものではありません。にもかかわらず、業務時間は大幅に削減されました。費用対効果は十分に感じています。

Webで受注したものでもまだ自動化できていない作業もありますので、そうした業務をひとつずつRPAで自動化していきたいです。また、2023年にはインボイス制度や電子帳簿保存法も施行されます。そういった法令などにも対応していきたいと思います」

外食・食品卸の受発注を楽にする。『BtoBプラットフォーム 受発注』

株式会社マツヤ

事業内容:西洋料理食材の企画・開発・製造・販売
本社所在地:大阪市浪速区立葉2-2-23
代表者:代表取締役社長 大本 博敏
公式ホームページ:http://www.mw-matsuya.co.jp/
ECサイト:http://gourmetp.com/

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