食品表示法とは
食品表示法とは、消費者が食品の内容を正しく理解して、適正な商品を選べるように定めた食の安全性を守るための法律で、2013年に公布された。生鮮食品や加工食品を問わず、食品を販売するときは、食品表示法の基準に基づいて原材料やアレルギー物質などを表示しなければならない。
食品表示の義務は製造・販売の場所で異なる

食品表示法では、消費者に販売されるすべての食品に対して食品表示が義務づけられているが、例外もある。
飲食店が客の注文に応じて弁当、総菜をその場で容器に詰めて対面販売する(テイクアウト、デリバリーを含む)場合や、ランチタイムなどの繁忙時に備えてあらかじめ販売見込み量を容器に入れて対面販売する場合、食品表示は必要ない。これは製造者が消費者に直接販売することとなり、品質について説明できると考えられているためだ。
また、製造所と販売所が同じ施設や敷地(スーパーマーケットのバックヤード、菓子の製造小売、パンの製造小売りなど)で弁当・総菜を調理し、容器包装したものを自ら販売する場合は表示義務があるものの、原材料名、内容量、原料原産地名など一部の項目は表示する必要はない。
ただし、セントラルキッチン(自社工場)など別の場所で製造された弁当・総菜を別の場所にある店舗に配送・陳列して販売する場合や、インターネットなどで通信販売する場合は、容器包装に食品表示事項を表示する義務がある。
参考:消費者庁「食品表示基準に係る通知・Q&Aについて 統合版 最終改正令和8年4月1日消食表第237号)」(PDF)
参考:消費者庁「早わかり食品表示ガイド(令和7年4月版・事業者向け)」(PDF)
消費者庁が公開している食品表示法の基準に基づくと、次の表のようになる。
食品表示項目の表示義務
| 食品表示の項目 | 調理した施設と販売する施設が 別々の場合 | 調理した施設と販売する施設が 同一の場合 | ||
|---|---|---|---|---|
| 名称 | 表示義務 | 表示義務 | 客の注文に応じて容器に詰めて販売する場合、表示義務なし (テイクアウト・デリバリー) 繁忙時に備えてあらかじめ販売見込み量を容器に入れて対面販売する場合も表示義務はない。 | |
| 保存の方法 | 表示義務 | 表示義務 | ||
| 消費期限又は賞味期限 | 表示義務 | 表示義務 | ||
| 原材料名 | 表示義務 | ─ | ||
| 添加物 | 表示義務 | 表示義務 | ||
| 内容量又は固形量及び内容総量 | 表示義務 | ─ | ||
| 栄養成分の量及び熱量 | 表示義務 | ─ | ||
| 食品関連事業者の氏名又は名称及び住所 | 表示義務 | ─ | ||
| 製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称等 | 表示義務 | 表示義務 | ||
| 一 定 の 要 件 に 該 当 す る 場 合 | アレルゲン (特定原材料※を含む食品) | 表示義務 | 表示義務 | |
| L-フェニルアラニン化合物を含む旨 (アスパルテームを含む食品) | 表示義務 | 表示義務 | ||
| 指定成分等含有食品に関する事項(含有する食品) | 表示義務 | 表示義務 | ||
| 遺伝子組換え食品に関する事項(含有する食品) | 表示義務 | 表示義務 | ||
| 原料原産地名 (国内製造の加工食品) | 表示義務 | ─ | ||
| 原産国名(輸入品) | 表示義務 | ─ | ||
※特定原材料とは、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の9品目。
この他、都道府県が条例で定める食品の品質表示等(例)東京都消費生活条例に基づく食品の品質表示

特定保険用食品、機能性表示食品、乳児用規格適用食品などの場合も食品表示は必要だが、本稿での解説は割愛する。
なお、パッケージ等に「無添加」「不使用」等と表示する場合は、消費者庁の「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」に基づく制約があり、点検・是正(見直し猶予期間は令和6年3月末で終了)が必要となる。
食品表示ラベルの作り方

弁当・総菜を製造する場所、販売する場所、または取り扱う食材に応じて、食品のラベルには原材料名やアレルギー、消費期限、保存方法などを表示しなければならない。食品表示のラベルを作る手順は、3段階に分かれる。
1.情報収集
食品に含まれる食物アレルギー、添加物などを確認する。仕入れ先から食品の情報が記録された「商品規格書」を取り寄せるのがいいだろう。

2.ラベルデータ作成
食品表示のルールに従って、ラベルデータを作成する。最新の消費者庁ガイドライン「早わかり食品表示ガイド(事業者向け)」を確認しよう。
3.ラベル印刷
食品表示のラベル印刷は、専用のラベルプリンターを利用するのが最も簡単な方法だ。
ラベルプリンターには熱転写式や感熱式、ラミネート式などさまざまな印刷方式の機種があり、食品表示では感熱式のラベルプリンターがよく使われている。特に弁当や総菜など、消費期限が短い商品向きで、導入コストも比較的安価なため、飲食店のテイクアウトには最適と言えるだろう。
なお、商品規格書の情報収集からラベル作成・印刷までを一元管理できるサービスもあるので、検討するのもいいだろう。
栄養成分表示の計算方法
食品表示法に基づく食品表示基準では、消費者へ販売される食品に栄養成分表示が義務付けられている。必ず、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量に換算したもの)の5つを表示する必要がある。
表示する値は分析する方法とデータベースから計算する方法のふたつあるが、一般的な飲食店であれば計算する場合でいいだろう。データベースの例としては、文部科学省が公開している日本食品標準成分表のほか、事業者団体が作成したデータベース、加工用原料製造者等による原料の栄養成分表示値等がある。
なお、この計算のもとになる「栄養素等表示基準値」は2005年3月28日に改正された最新値(経過措置期間は令和10年3月31日まで)に準拠する必要がある。
冷凍・冷蔵でテイクアウト販売する場合は、保健所の許可が必要になるケースも
飲食店は「飲食店営業許可証」を取得しているので、その範囲内でのテイクアウトは可能とされている。だが、場合によっては別の許可が必要になる場合がある。たとえば、とんかつ定食屋がとんかつ弁当を提供するのは何ら問題ない。ただし、店内で切り分けた未加熱の生の食肉をそのまま販売するには「食肉販売業」の許可が必要だ。なお、あらかじめ仕入先でパック(容器包装)された状態の生肉を仕入れてそのまま販売する場合は、許可は不要(営業届出は必要)となる。
営業許可の例
| 乳飲料 | 乳製品製造業(仕入れ販売は乳類販売の届出) |
| 食肉(生) | 食肉販売業※仕入れたパックを未開封でそのまま売る場合、許可不要(届出のみ) |
| 鮮魚介類 | 魚介類販売業※仕入れたパックを未開封でそのまま売る場合、許可不要(届出のみ) |
| 弁当・惣菜(仕入れ販売) | 営業届出※仕入れた既製品をそのまま売る場合、許可不要(届出のみ) |
| 冷凍品(仕入れ販売) | 営業届出※仕入れた既製品をそのまま売る場合、許可不要(届出のみ) |
一般的に製造業の許可は高度な設備が必要で、飲食店が取得するのはかなり難しいが、販売業の許可であれば比較的とりやすい。上記以外にも別途許可申請が必要なケースはあるので、テイクアウトやデリバリーを始める際は、必ず事前に、管轄の保健所に確認しておくべきだ。
食品表示に迷ったら、保健所に相談しよう
もし、食品表示に迷ったら、独自で判断せずに管轄の保健所に問い合わせて確実な回答を求めてほしい。食品表示は、食物アレルギーを持つ客にとっては命に関わる重要な情報だ。消費者の安全や企業の信頼のためにも、しっかりと確認してから記載しなければならない。
消費者の食の安心・安全のためにも食品表示をしよう
飲食店が食品販売を始めるには、食品表示法に基づいた適切なラベル表示と、取り扱う商品に応じた各種の許可申請が必要になる場合がある。食品表示は事業者の義務であり、消費者の安全と健康増進、食にかかわる企業の信頼性を確保するためには知らなかったでは済まされない。今あらためて、適切に対応しておきたい。
食の安全性に対するニーズにも合わせて、食品表示も適切に行っていこう。
【参照文献】
■消費者庁「食品表示法等(法令及び一元化情報)」
■消費者庁「早わかり食品表示ガイド(令和7年4月版・事業者向け)」(PDF)
■消費者庁「【事業者の方向け】栄養成分表示を表示される方へ」
■消費者庁「食品表示基準に係る通知・Q&Aについて 統合版 最終改正令和8年4月1日消食表第237号」(PDF)
■消費者庁「食品表示法の概要(平成25年6月)」
※最新の情報は食品表示法等(法令及び一元化情報)(消費者庁)をご覧ください。










