飲食店の多店舗展開、出店時の課題・対策と出店後の店舗運営のポイント

飲食・宿泊2021.11.22

飲食店の多店舗展開、出店時の課題・対策と出店後の店舗運営のポイント

2021.11.22

アルバイト・パートのシフト管理も求められる

たくさんの従業員を抱えられるようになっても、無駄な人件費が掛かっていないか、責任者の負担が大きくなり過ぎていないか気を配る必要がある。来客が少ない時間帯には従業員をたくさん入れる必要はないが、どの時間帯にどれくらいの人数を入れればいいのか把握できていないと、人材の配置もうまく行えない。

また出店エリアが異なれば、客数やターゲット層も変わるので、既存店舗のノウハウを活用できないケースもある。店舗ごとに売上や客数などの細かいデータが求められるので、週次や月次だけでなく日次管理を実施しておくことが重要だ。 

一方、売上や来店数の多い店舗に対して従業員数が少ないと、店舗責任者の負担が大きくなり過ぎてしまう。責任者が過労で倒れると運営自体が回らなくなるため、前年のデータを元に繁忙期と閑散期を把握し、適切な人材配置や最適なシフト管理を心がける必要がある。

本部による店舗管理は、省人化と正確性がポイント

多店舗化による最大の懸念事項といえば、店舗数の増加に伴い各店の売上の集計や発注、勤怠といった本部の管理業務が複雑になることだ。本部は膨大なデータ量を処理しなければならないうえ、入力作業や数値計算でミスなども発生しやすい点にも注意が必要となる。

本部の業務負担が増えることで、新商品の開発や企画などにリソースを避けなくなるため、事業の拡大に向けた取り組みも滞りやすい。そこでいかにして事務作業を効率化するか、管理体制を整えるかが重要となってくる。

紙でのデータ管理は業務負担が大きい

店舗が1~3店舗くらいであれば、売上データの集計や受発注などを電話やFAX、従業員の勤怠記録を紙で管理することもできる。しかし店舗数が増えれば増えるほど、そうしたアナログでの業務管理は負担が大きくなる。

多店舗展開において管理業務のデータ化は必須事項だ。たとえば、管理・受発注システムを導入すれば、本部の人員をそのままに入力や計算作業を自動化することが可能になる。パソコンやスマホからデータを確認でき、発注ミスなどがあっても迅速に対応できる。

正確かつスピーディーな原価や仕入れ管理を実現できれば、これまで行なっていた事務作業を大幅に削減し人件費を抑えることで、他の業務に割けるリソースも増えるだろう。

本部・店舗運営はITツールで省力・正確な仕組みづくりを行う

飲食店の多店舗展開において、重要性が高まっているのがITツールの導入だ。ある程度の費用はかかるものの、作業の効率化や人件費の削減などのメリットがあり、大手チェーン店では導入しているところも多い。具体的には、以下のようなものが挙げられる。

セルフオーダーシステムや電子マネー決済の導入

現在、不特定多数の人が集まる飲食店などでは、様々な感染対策が求められている。その1つとしてセルフオーダーシステムや電子マネー決済は、従業員とお客様の接触を避けられるメリットがあり、安心して来店できる環境づくりにつながっている。

システムによる売上や発注・勤怠などの管理

店舗管理システムや受発注システムを導入すれば、業務の効率化や売上・仕入れデータの見える化を推し進められる。本部の業務負担や人件費を抑えるだけでなく、仕入れと消費の最適化で食品ロスの削減にもつながるだろう。

また「どのメニューが売れているのか、利益につながっているのか」「適切な仕入れ量になっているか」などのさらなる改善点を見出しやすい。入力作業の自動化で入力や計算ミスも抑えられるはずだ。

今後を見据えた経営戦略で多店舗展開の成功につなげる

飲食店の売上や利益の拡大を目指すなら、単独店舗では限界があるので多店舗展開が欠かせない。店舗数が増える分、新たな課題が生まれることも多いが、改善を繰り返し、運営体制を整えることで、より良い環境づくり実現していくことが重要になる。

特に最近は、新型コロナウイルスの感染者数がかなり減少しており、いずれは外出する消費者も増えていくことが予想される。とはいえ、感染対策の意識は確実に高まっているので、安心して来店できる店舗環境を整えることが大切になっている。

そうした今後のニューノーマル時代に飲食店を発展させるためには、限られた人員で店舗を回せるよう管理システムやセルフオーダーなどの導入も必要になってくるはずだ。コロナ対策やコスト削減しつつも、お客に自店舗の価値を提供し、従業員のやりがいにつなげていってほしい。


仕入れ金額の計算を自動化する発注システム
 

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