複数店舗の仕入・売上などの管理が容易に
まず、間違ってはいけないのは、ITの導入は目的でなく問題を改善するための方法だということです。ですから、その企業や店舗が抱える問題を洗い出すことが先決です。それでは、今回は「ITを活用すればこのような問題を解決できる」という視点から説明しましょう。
経営サイドの大きな課題のひとつに、仕入や売上がリアルタイムに把握できないことが挙げられます。仕入原価のアップに数カ月間気づかず、緊急処置が遅れたため、利益が減少して経営破たん寸前まで追い込まれたというケースもあります。
複数の店舗を運営する企業の場合、本部と各店舗をネットワークで結ぶことで、日々の売上だけでなく、食材や備品の仕入れまで、本部で集中的に管理ができます。さらに、ペーパーレス化やスタッフの日常業務の軽減も図れます。IT活用により、様々な意味でのコストダウンが実現するのです。
本部と各店舗のコミュニケーションの向上
私がコンサルタントを担っているチェーン店では、本部と各店舗の店長、料理長との間のコミュニケーション不足が問題になったことがありました。本部からの連絡が全店舗に届いておらず、情報が共有化されていなかったのです。本部と店は離れた場所にあり、しかもスタッフの勤務時間が異なるため、経営者は「もっと密に連絡を取り合おう」と声をかけるだけでした。
この問題も、ITを活用すれば改善されます。たとえばグループウェアを用いれば、各店舗への連絡も、各店舗から本部への報告も容易になります。
店舗情報や料理などの広報と集客に不可欠
店舗のロケーションも味も申し分ないのに、売上が伸びない飲食店から相談を受けることがよくあります。そういう店舗は、広報や宣伝に力を入れていないか、あるいは宣伝の仕方を間違えているケースが少なくありません。
実は、ITとプロモーションは相性がよいのです。スマートフォンの飛躍的な普及により、消費者は飲食店情報をスマホの画面で見るという習慣が定着しつつあります。店の特徴や地図、イベントや新メニューの告知などはインターネットを介したサービスが機動性に富んでいます。これを活用しない手はないでしょう。
また、ソーシャルメディアネットワークを活用して、口コミを誘発し、店のファンを増やしている例もあります。