オタフクソース原材料400種以上、2,000超の商品の品質を支える仕組みと運用方法

卸・メーカー2023.03.17

オタフクソース原材料400種以上、2,000超の商品の品質を支える仕組みと運用方法

2023.03.17

オタフクソース原材料400種以上、2,000超の商品の品質を支える仕組みと運用方法

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2022年に創業100周年を迎えたオタフクソース株式会社。国内のソース類生産量で約3割のシェアを持ち、国民的ブランドに代表されるお好みソースをはじめとしたソース類や酢、調味料などを開発・製造・販売するほか、消費者の要望に応えることで商品群を拡充しており、使用する原材料は約400種類にもなります。

商品の安全・安心のためにも品質管理を徹底しており、工場監査のほか規格書の作成、管理にITを活用されています。同社の品質保証部の担当者に取り組みについて伺いました。

目次

広島から世界へ。積極展開するオタフクブランド

【Q】2022年で創業100周年を迎えましたね。

品質保証部 部長
水野 英樹 氏

品質保証部 部長 水野英樹氏(以下、水野部長):当社は1922年に醤油類と酒の小売業として創業しました。その後、醸造酢の製造を開始し、そのブランド名を「お多福酢」としたところからメーカーとしての歩みがはじまります。以来、お好み焼のオタフクソースとして多くの方に親しんでいただいています。現在は業務用、家庭用のソースや調味料などを製造しており、商品数は約2,000アイテム、使用する原材料は約400種類になります。

業務用ではお客様の要望から商品を作り込み、ノウハウや原材料の知識を蓄積し、それを家庭用に展開していくこともあります。

飲食店様からもロットが見合えば、オリジナルレシピのソースを製造させていただき、「NB商品よりも少し辛くしてほしい」「新商品を打ち出すのでそれに合う調味料を作ってほしい」などのご要望に臨機応変に対応しています。

【Q】家庭用と業務用の売上比率はどのような構成ですか?

水野部長:当社の売上構成比は、業務用と家庭用で半々の割合です。業務用の内訳もお好み焼店様をはじめとする外食、スーパー惣菜、メーカー、コンビニといった主力業種の割合がバランスよく構成されています。

グループ全体の工場監査を担う品質保証部

【Q】商品が多い分、管理も大変そうです。品質保証部の業務について教えてください。

品質保証部 品質保証課
西村 奈摘 氏

品質保証部 品質保証課 西村奈摘氏(以下、西村氏):品質保証部の主な業務は、国内外の法令調査、工場監査のほか、取引先から依頼のある製品規格書※の対応などがあります。

※食品の原材料やアレルギー、原料原産地情報などを記載した仕様書

品質保証部はお多福グループ全体の工場監査も担っています。内部での監査は半年に1回行いますが、監査先が10数カ所あるので担当を分けて監査します。各工場へ出向き、それぞれの製造ラインをチェックして、客観的な視点で品質を見ていきます。当社が委託して商品を製造しているパートナー企業への監査や外部監査なども担当します。

水野部長:製造拠点は広島本社にある本社工場、同じく広島県内にお酢を製造している大和工場、栃木県の日光工場があり、海外ではアメリカのロサンゼルス工場、中国の青島工場、ハラールに対応したマレーシア工場を展開しています。

海外の3工場については、それぞれに品質担当者が日本から1名ずつ出向しています。2022年からは、品質保証部として世界の工場との連携することが大切だということで、2カ月に1回、ウェブミーティングを行っています。現地の担当者や現地法人の社長を交えて、品質について日本で起きていることや、海外での課題やトラブルといった情報を共有し合い、リスク発生の抑制につなげています。

【Q】内部監査を進めるうえで課題はありますか?

水野部長:品質保証部として製造側にこうしてほしいという要望があっても、作業負荷を考えると現実的に難しいこともあります。そういった際は、何より話し合うことが大切です。お互いに話し合うことで落とし所を見つけて、より良くする努力をしています。

ただ、社内の各部署は、とても協力的で品質保証部の意図を理解してくれて、こちらの要望を真摯に受け止めてくれます。改善点をこちらから提案し、改善案をもらい実施することで、PDCAがうまく回っています。

ITを活用して、さらなる効率化を図る

【Q】原材料が約400種類あると、規格書の管理が大変そうです。

西村氏:情報管理の方法は、まず原材料メーカーから各原材料約400種類の規格書を提出いただき、それをもとに品質保証部が商品のレシピに沿った製品規格書を作成します。業務用商品においてお客様のニーズに応えてきた結果、原材料の種類も多くなりました。

原材料メーカーには、当社指定のエクセル書式への記入をお願いしています。ただ、メーカーによって書き方が違うこともあり、確認作業や手直しが必要なこともあります。

当社では独自に構築した情報管理システム『OQAS(オクアス)』という社内データベースがあり、当社書式のエクセルをOQASに取り組み、データベース上で管理しています。

※OQAS(オクアス):Otafuku Quality Assurance System、オタフク社内独自のシステム

OQAS上には、原材料メーカーからの情報を取り込み、当社製品の規格情報とともに管理しています。製品規格書の作成は、OQASから原材料情報を出力し、インフォマートの『BtoBプラットフォーム 規格書』で行います。

水野部長:製品規格書の作成では、OQASの情報を手作業で別の規格書に転記し、確認する作業が発生しています。ただ、社内でこうした非効率的な作業を抜本的に改革しようという取り組みが始まっています。『BtoBプラットフォーム 規格書』には、エクセルをアップロードして自動で取り込むことができるので、この機能を含めて、ツールなども使いながら、できるところから作業の効率化を図っているところです。

粉もの文化を世界で定着させる

【Q】今後の展望についてお聞かせください。

西村氏:部署や部門を超えて連携して協力することが、いかに大事かということを実感しています。今、部署部門に捉われずに勉強会を開きたいという話も出ているので、品質保証に限らず営業担当などとも協力して、より良い品質の商品をお客様に届けていきたいと思います。

水野部長:近年、お多福グループとして海外へ積極的に展開しようという方針に沿って活動しています。それに伴い、海外の3工場はもちろん国内からの輸出も含めて、海外製品の品質をいかに国内と同等のレベルにしていけるか。また、各国の法令など私たちの目の行き届かない点についても情報を収集して、管理しています。

お好み焼は世界でもかなり広まってきていますし、インバウンドでも日本ではじめてお好み焼やたこ焼、焼そばを体験する方が大勢います。その美味しさを知って、国に帰って魅力を伝えていただき、また家庭でも食べていただきたい。さらに現地でお好み焼の店ができたら、これは広島で食べた味だねと、感じていただきたい。そうやって、点から線、線から面で日本の粉もの文化を定着させていきたいと思っています。そこに、品質が高く美味しいオタフクソースを提供できるように、これからも取り組んでいきたいです。

BtoBプラットフォーム規格書

オタフクソース株式会社

設立:2009年10月(創業1922年11月)
代表者:代表取締役社長 佐々木 孝富
事業内容:ソース、酢、たれ、その他調味料の開発・製造・販売
所在地:広島県広島市西区商工センター7丁目4-27
公式ホームページ:https://www.otafuku.co.jp/

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